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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏のぼうけんと小助くん
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つゆのきせつと小助くん

 じめじめとするつゆのきせつ、山おくのほうでも雨がふったりやんだりしています。


 今日も雨がふりつづいていますが、小助はそんなことを気にすることなくあそびに出かけて行きます。小助の後ろには、ワン太が雨の中をうれしそうに走りかけています。


 これから行くところは、カエルたちに会うことができる大きな池です。その池は、小助がくらす家からまっすぐ行ったところにあります。


 けれども、小助はそこへ向かうとちゅうでむちゅうになるものがあります。それを見たとたん、小助はかわいい声で大はしゃぎしています。


「わあ~っ! みじゅたまり(水たまり)! みじゅたまり!」


 小助は、水たまりの中で足を入れるとその場で楽しそうにパシャパシャさせています。このようすに、ワン太も同じことがしたいと小助のいる水たまりに入ってきました。


 楽しそうにかわいい声を上げている小助たちの近くには、やさしい目つきで見まもる犬のお母さんがいます。


「あらあら、小助くんもワン太くんも水たまりで元気にあそんでいるわね」


 小助たちは、同じ水たまりにいつまでもいるわけではありません。前のほうに水たまりを見つけると、小助とワン太はすぐにそこへ入ってあそびます。


「パシャパシャパシャ、パシャパシャパシャ」


 水たまりであそんでいるうちに、うすぐらい空からふっていた雨のほうもしだいにおさまってきました。すると、あの鳴き声が小助の耳に入ってきました。


「カエルさん、いっちょ(いっしょ)に歌おう! いっちょに歌おう!」


 小助は水たまりから出ると、カエルたちのいる大きな池のほうへかけ足で走っていきます。池にうかぶハスの上には、カエルたちが何びきかあつまって鳴き声を上げています。


 大きな池へたどりついた小助は、元気いっぱいにいきおいよく水中へとびこみました。ドボンと水しぶきを上げる音に、みんなで歌っていたカエルたちはびっくりしています。


「いっちょに歌おう! いっちょに歌おう!」

「いきなり池の中にとびこんできたから、みんなびっくりしちゃったよ」

「てへへ、ごめんごめん」

「ぼうやは、いつもえがおで元気なのがとりえだからね」


 池のまわりには、カエルたちがのっているハスがいくつもうかんでいます。小助は、カエルたちになりきってかわいい鳴き声を出しはじめました。


「ケロケロケロッ、ケロケロケロケロッ」


 これに合わせるように、カエルたちもいっせいに鳴き声で歌い出しました。池のほうからひびきわたる元気な歌声は、そのようすをながめているワン太にもつたわっています。


「ワンワンワン、ワンワワンワンワワン」

「ケロケロケロケロッ、ケロケロケロケロッ」


 小助とカエルたちが鳴き声を上げているところにワン太もくわわって、元気でかわいい歌声が空に向かって広がっていきます。うすぐらい雲の切れ間からは、青空が見えるようになりました。


 そんな時、小助のいる水中から元気いっぱいの音を鳴りひびかせました。


「プウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」


 小助は、池の中でものすごくでっかいおならをするのと同時に水しぶきを上げて空中へとび上がりました。その間も、小助はおならを空中で何回も出しつづけています。


「ふふふ、ぼうやはあいかわらず元気いっぱいだね」


 ワン太といっしょにいるお母さん犬は、いつも元気な小助のようすをやさしく見つめています。空中でくるりと回った小助は、ふたたび池の中へいきおいよくとびこみました。


「ぼうや、さっきのでっかい音は?」

「てへへ、おなら出ちゃった」


 元気すぎる小助のかわいいえがおに、ハスの上にいるカエルたちはいっせいにわらい声を上げています。雲の少ない空にうかぶたいようも、大きな池にいるみんなのすがたをえがおで見まもっています。

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