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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
山おくのにぎやかな春
143/343

小助くんとワン太くんと木のぼりどうぶつ

 森の中に入ると、そこには大きさのちがういろんな木がたくさんあります。


 そんな時、リスが大きな木のえだのそばにあるあなから出てきました。リスは、食べものをさがすために木からおりようとします。


 すると、となりの木にいるサルが声をかけてきました。


「おっ、今日もエサをさがしているのか」

「じめんに生えている草を食べるところだよ」


 リスは、まわりにたくさんある草を口に入れてかみながら食べています。くるみやどんぐりが手に入る秋とはちがって、春の食べものは生えてきたばかりの草花をよく食べます。


 これを見たサルは、リスのとなりにすわって草を食べはじめました。サルも、リスと同じように食べものを見つけたらすぐに食べます。


 しばらくすると、森の中に小さい人かげが見えてきました。サルとリスは、その場からすぐに近くの大きな木の上へもどりました。




 小助とワン太は、森の中を元気よくはしりながらすすんでいます。今日も、あそびあいてをさがそうとまわりをキョロキョロしながら見ています。


「サルさん! サルさん! リスさん! リスさん!」

「小助は、あいかわらず元気いっぱいだなあ」


 かわいい声を上げている小助のすがたに、サルたちは上のほうから見下ろしています。小助は、さっそく木にのぼってどうぶつたちのそばへきました。


「ねえねえ! ねえねえ!」

「小助、どうしたの?」

「口にちゅいてる(ついてる)の、なあに?」


 小助のことばに、サルとリスはあわてて口についているのを右手でぬぐいました。このしぐさに、小助はふしぎそうに見つめています。


「どうちたの(そうしたの)?」

「な、なんでもないって、ははははは!」


 サルが気にしているのは、自分のことを木のぼりの先生であることを知っている小助のようすです。小助は、サルたちの顔をじっと見ていますが何も気づいていません。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 小助が見せるいつも通りのえがおに、サルたちはホッとむねをなでおろしました。すぐに気もちを切りかえようと、サルは高いところにある太いえだへとびうつりました。


 これを見た小助は、大きな木にしがみつくと手足をつかいながら上へ向かってのぼっていきます。


「木のぼり! 木のぼり!」


 小助は、すっかりなれた手つきで木のぼりをつづけています。下のほうでは、ワン太が小助のようすを見上げるようにながめています。


「こちゅけくん(小助くん)はいいなあ……」


 ワン太は、自分からのぼることができないので木のぼりのできる小助がうらやましそうです。ずっと上のほうを目ざしてのぼっている小助のすがたに、サルもリスもついていくことができません。


「あんなに高いところまでのぼっていったらおいつけないよ」


 すっかりまいってしまったサルたちをよこ目に、小助は大きな木のてっぺんにたどりつきました。小助は、えだの上に足をのせてワン太のいるじめんのほうを見下ろしています。


「えいっ!」


 高い木のてっぺんからとびおりた小助は、とちゅうで2回つづけてグルグルと回りました。そして、小助は森の中のじめんへみごとに自分の足でちゃくちしました。


「あんなところからとびおりることなんかできないよ」

「やれやれ、小助はあぶなっかしいなあ」


 高いところからちゃくちした小助のすがたに、サルとリスはヒヤヒヤしているようすです。そんな2ひきをよそに、小助はいつもいっしょのワン太と森の中をかけ回っています。


「いちゅもいっちょ(いつもいっしょ)だよ」

「ワン太くん、くちゅぐったい(くすごったい)よ」


 ワン太は、大すきな小助にとびつくようにだきつきました。小助は、ワン太から自分の顔をペロペロなめられながらもうれしそうにわらっています。

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