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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんのどうくつたんけん
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どうくつにあらわれたかわいいおばけ

 小助たちは、どうくつの中をさらにおくへ歩きながらすすんでいます。しかし、くらやみであるはずのどうくつがほのかに明るいことに気づかないはずがありません。


「ねえねえ、どうしてどうくつなのに明るいの?」


 子グマたちは、お母さんグマといつもほらあなの中でねたりおきたりしています。そのほらあなは、おくへいくほどくらいのを子グマたちは知っています。


「う、う~ん……」


 子グマのしつもんに、サルは考えこんでしまいました。小助はもちろんのこと、どうぶつたちにとってもどうくつのおくまでへ入るのは生まれてからはじめてのことです。


「もしかして、こわ~いおばけが……」

「お、おばけ……」

「へへへ、どうしたのかなあ?」

「おばけなんか、こわくないもん!」


 タヌキの足がふるえているのを見て、キツネはタヌキをバカにするようにわらっています。そんなキツネのことばに、タヌキはふくれっつらで言いかえしました。


 そんな小助たちの前に、どうくつのおくから火の玉がつぎつぎとあらわれました。これを見たとたん、どうぶつたちはその場でみうごきがとれなくなりました。


 タヌキがしゃがんだままふるえているのを見て、キツネはニヤリとわらっています。


「火の玉……。こ、こわい……」

「へへへ、なさけないなあ。こんな火の玉ぐらい、おれなんか……」


 キツネは、自分の強さをタヌキに見せつけようと火の玉の前へ出てきました。しかし、いくつもあるこわい火の玉に、キツネは思わず後ずさりしてしまいます。


「おい! さっきまでちょうしにのっていたのはどうしたんだ?」

「い、いや……。あの、その……」


 このようすを見ていたサルからの一言に、さすがのキツネも火の玉がこわいとも言えずに口をまごまごするだけです。


 なかなか火の玉に近づこうとしない中、小助はよちよちと歩きながら火の玉のいるとことへ足をすすめました。


「小助! 本当に大じょうぶか!」


 どうぶつたちがしんぱいそうに声をかけても、小助は火の玉のそばからうごこうとはしません。


「おばけさん! おばけさん!」

「ぼうや、どうしてここへきたの?」


 小助の目の前にあらわれたのは、かわいくてやさしい顔つきのおばけです。空中をういているおばけのすがたを見て、小助は友だちになりたいと思っています。


「友だち! 友だち!」

「こんなぼくを友だちと言ってくれて本当にうれしいよ。だって、ぼくはここでずっとひとりぼっちなの」


 おばけがどうしてこのどうくつにいるかは、小助も分かりません。そんな小助は、おばけにだきついたままはなれようとしません。


「ねえねえ! いっちょに行こ! いっちょに行こ!」

「いっしょにって、このどうくつの先へ行くのか?」

「うん!」

「しょうがないなあ。ぼくがあんないしてあげるから、後ろからついてきてね」


 おばけにすっかりなついた小助のすがたに、どうぶつたちもおそるおそるとついて行くことにしました。

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