雪の中の小助くんとオオカミたち
いよいよさむい冬がやってきました。小山おくのほうも、すっかりとふかい雪におおわれています。
そんな中であっても、小助ははらがけ１まいで雪道を元気いっぱいにかけ足で走っています。ワン太も、小助について行こうと後ろから４本足でかけ出しています。
「わあ～っ！ 足あと！ 足あと！」
小助は、自分のはだしの足あとが雪の上にあるのを見て大はしゃぎしています。雪道のほうには、小助とワン太の足あとがつづいているのがはっきりと分かります。
うすぐらい雲におおわれた空からは、白い雪がふりはじめました。小助もワン太も、つぎつぎとおちてくる雪を見るのがうれしそうです。
「わ～い！ 雪だ！ 雪だ！」
雪がふりつづくのを見ながら、ワン太は小助のまわりをなんどもよろこんで走り回っています。子犬にとって、冬は雪の中をかけ回るのにぴったりのきせつです。
小助は、森のおくへ向かってあるくにつれて足が雪の中へふかく入ってしまいます。けれども、小助はそんなことを気にすることはありません。
そのとちゅうには、雪にほとんどうもれたほらあながあります。そのほらあなには、いつもあそんでくれるクマの親子が冬ごもりをしています。
ワン太は、じっと立ち止まっている小助のすがたをふしぎそうに見ています。小助とちがって、ワン太はクマたちがどこにすんでいるのかまだ知らないからです。
小助の頭の中では、お母さんグマのおっぱいをいっぱいのんでいる時のことを思い出しています。そんな時、雪がつもった草むらからちびっこオオカミがあらわれました。
「いっちょにあちょぼう（いっしょにあそぼう）！ いっちょにあちょぼう！」
ちびっこオオカミは、小助たちと雪の中でじゃれ合うようにあそびはじめました。どんなに雪まみれになっても、みんなえがおいっぱいです。
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」
そこへやってきたのは、草むらのおくからもどってきたオオカミのむれです。オオカミたちは、雪あそびをしている子どもたちのようすをじっと見つめています。
「ふふふ、みんな元気にあそんでいるわね」
お母さんオオカミのやさしそうな顔つきに、小助はすぐにかけよりました。小助がオオカミのお母さんのそばへやってきたのにはりゆうがあります。
「おっぱい！ おっぱい！ おっぱい！」
「あらあら、しょうがないわね」
小助は雪の上であお向けになると、さっそくお母さんオオカミのおっぱいをのみはじめました。お母さんオオカミは、小助のかわいい顔を見ながらほほえんでいます。
「ぼうや、いっぱいのんですくすくと大きくなろうね」
オオカミのお母さんにあまえようと、小助はおっぱいをたくさんのみつづけています。これを見たワン太もちびっこオオカミも、小助と同じようにお母さんのおっぱいをのもうとしています。
「ふふふ、あまえたいのはみんな同じだね」
お母さんオオカミのやさしさは、おっぱいをのんでいる小助たちにつたわっているようです。
