みんなでおしくらまんじゅう
秋がふかまるにつれて、森の中にあるいろんな木のはっぱが色づくようになりました。そんな中、小助はいつも通りに子グマやちびっこオオカミとじゃれ合いながらあそんでいます。
「うんしょ! うんしょ!」
「わっ、わわわわっ!」
小助は、どうぶつたちといっしょにおすもうごっこをしています。でも、どうぶつの子どもたちは小助のあまりの力強さにすぐまけてしまいます。
「ねえねえ、おちゅもう(おすもう)! おすもう!」
「つまんないなあ。いつもまけてしまうんだもん」
子グマたちは、おすもうにかつことができないのでおもしろくありません。そんな時、お母さんグマが子どもたちのそばへやってきました。
「すこしさむくなってきたことだし、みんなでおしくらまんじゅうをしようかな」
「おちくらまんじゅう(おしくらまんじゅう)?」
はじめて耳にするあそびの名前に、小助とワン太は何のことか分かりません。これを見たお母さんグマは、小助にやさしくことばをかけました。
「とってもかんたんだから、ぼうやもだいじょうぶだよ」
クマのお母さんは、小助と子グマたちがせなかを向けるようにうでを組んでいるか見ています。ちびっこオオカミのほうも、自分たち3びきにワン太もなかまに入ってせなか合わせにおしくらまんじゅうをするところです。
「それじゃあ、いくわよ! おしくらまんじゅう、おされてなくな!」
お母さんグマのかけ声に合わせて、小助たちは同じかけ声を上げながらせなかを何回もおし合っています。
「おちくらまんじゅう、おちゃれてなくな(おされてなくな)!」
かわいい小助の声に、子グマたちもいっしょに声を合わせながらおしくらまんじゅうをつづけています。同じようなかけ声は、オオカミと犬の子どもたちのほうからも聞こえています。
しばらくすると、みんなの体もしだいにあたたかくなってきました。これなら、すこしぐらいさむくても大じょうぶです。
「みんな、あたたまってきたかな?」
「うん!」
お母さんグマからの声にたいして、小助たちのほうもみんな元気な声でことばをかえしました。小助たちは、すっかりこのあそびにむちゅうになっています。
「おちくらまんじゅう、おちゃれてなくな!」
小助は自分のかわいい声にのせて、子グマたちとせなかをおし合いながらあそんでいます。ワン太も、ちびっこオオカミといっしょにおしくらまんじゅうをしています。
子どもたちの元気なかけ声は、森の上に広がる空に向かってひびきわたっています。その中でも、小助の大きな声は空をとび回る鳥たちの耳に入るほどの元気さです。




