表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
秋も楽しさいっぱいの小助くん
129/343

小助くんもワン太くんもおっぱいのんだよ!

 小助は、ワン太といっしょに森の中へやってきました。森の中へ入ると、そこには大すきなクマとオオカミの親子がいます。


 お母さんグマのところへやってきた小助は、子グマたちとならんでおねだりをしようと元気な声を上げました。


「かあちゃ、おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、しょうがないわね。こっちへおいで」


 小助たちは、お母さんグマにだかれながらおっぱいをのみはじめました。そのようすを見ていたワン太は、自分のお母さんのことを思い出しました。


「かあちゃ……」


 ワン太は、お母さんがいなくなってからおっぱいをのんだことがありません。小助たちがクマのお母さんのおっぱいをのんでいるのを、ワン太はうらやましそうに見ています。


 すぐ近くでは、ちびっこオオカミがお母さんオオカミのおっぱいをのんでいます。ワン太は、オオカミたちのほうへ向かうことにしました。


 しかし、ワン太が近づくのを見たお父さんオオカミは子犬をにらみつけています。これでは、ワン太がオオカミのむれに近づくことができません。


 このようすに、お母さんオオカミはお父さんオオカミにやさしく声をかけました。


「そんなににらみつけなくても……。まだ小さい子犬なんだし」

「もしものことがあったらと思って……」


 オオカミにとって、一番だいじなのはえものを見つけてとらえることです。オオカミのお父さんにとっては、小さな生きものであってもゆだんできないものがあります。


 けれども、子犬のワン太がオオカミたちをおそうようなことはまったくありません。ワン太がここへきたのは、お母さんオオカミにおねだりをするためです。


「ぼうや、どうしたのかな?」

「あ、あの……」

「どうしたの? 言ってごらん」


 お母さんオオカミは、なかなか言い出せないワン太にふたたび声をかけました。これを聞いたワン太は、自分の気もちをそのままつたえようと口をひらきました。


「おっぱい! おっぱい!」

「あらあら、おっぱいがのみたいのかな?」

「うん!」


 ワン太は、お母さんオオカミのそばへやってきました。そこには、おっぱいをのみおえたばかりのちびっこオオカミがいます。


「さあ、こっちへおいで」


 オオカミのお母さんにあまえようと、ワン太はさっそくおっぱいをのみはじめました。かわいい子犬のようすは、お父さんオオカミにもつたわっています。


「オオカミと犬はこの目で見たらにているけど、毛なみを見るとぜんぜんちがうなあ」

「この子犬はねえ、ここにいる子どもたちと同じようにかわいい顔つきだわ。だって、かわいい子どもにわるいやつなんかいないんだもの」


 お母さんオオカミは、子どもたちへのやさしい気もちをだれよりも強くもっています。それは、どうぶつだけでなく人間にたいしても同じです。


「あらあら、ぼうやもここへきたの?」

「おっぱい! おっぱい!」


 小助は、お母さんグマにつづいてお母さんオオカミのおっぱいをあお向けになってのみつづけています。お母さんオオカミは、小助とワン太のかわいいすがたをあたたかい目で見つめています。


 そして、おっぱいをのみおえた小助があお向けのままであんよを上げたその時のことです。


「ジョパジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 小助は、元気いっぱいのおしっこを上のほうへいきおいよく出しつづけています。そばにいるワン太は、おしっこしている小助のようすをじっと見ています。


「おちっこ(おしっこ)! おちっこ!」


 いつもえがおいっぱいの小助のすがたに、まわりにいるどうぶつたちの明るいわらい声が森の中にひびきわたっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ