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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
秋も楽しさいっぱいの小助くん
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小さな子犬と友だちになったよ

 小助は、大きなたきのそばにある岩のかべをよじのぼっています。そのようすを見ているのは、クマとオオカミのお母さんと子どもです。


「ふふふ、ぼうやはあいかわらず元気いっぱいだね」

「でも、ここからおちたらたいへんだわ」


 お母さんたちは、岩のぼりしている小助のすがたを遠くからやさしく見つめています。てっぺんまでのぼり切ると、小助はそこからたきつぼの池へ向かってとびこみました。


 大きな水しぶきを上げると、小助はすぐに池の中から顔を出してえがおで手をふっています。どうぶつの子どもたちは、小助が池から上がるのを見てすぐにしがみつきました。


「ねえねえ、いっしょに水あそびしようよ」


 どうぶつたちは、小助みたいにたきのてっぺんからとびこむことはできません。でも、池のそまで水をかけあったりすることは大すきです。


「わ~い! みじゅあそび(水あそび)! みじゅあそび!」


 小助は、池の中へ入ると子グマやちびっこオオカミに向かってパシャパシャと水をかけています。水をかけられたどうぶつの子どもたちも、すかさず小助の小さな体に水をかけかえしています。


 そんな時、どうぶつのさけび声が小助の耳へかすかに入ってきました。小助は池から上がると、おくのほうにある岩場へかけ足で走っています。


 岩場には、たくさんの岩がいくつもかさなっています。どうぶつのなきさけぶ声は、この岩場からはっきりと聞こえています。


「うんしょ! うんしょ!」


 小助は、ごつごつとした岩の上をゆっくりとあるいています。すると、岩の間にはさまれた子犬がたすけをもとめようとなきさけんでいます。


「うええええええ~ん! たちゅけて(たすけて)!」


 かわいい子犬を何とかたすけようと、小助はでっかい岩をすさまじい力でもち上げています。小助は、その岩を大きな池に向かっていきおいよくほうりなげました。


「え~い!」


 でっがい岩が池の中へ大きな水しぶきを上げるのを見ると、小助はすぐに子犬のところへかけよりました。


「う、う、うえええええええええ~ん」


 小助は、りょう手でやさしく子犬をだき上げました。ずっとないていた子犬は、小助のすがたを見てようやくなみだが止まりました。


「どうちてここにいるの?」

「かあちゃがいなくなって……。う、うえええええええ~ん」


 子犬は、お母さんがいないさみしさでふたたびなき出してしまいました。そのようすを見た小助は、いつものかわいいえがおで子犬に話しかけました。


「ぼくといっちょ(いっしょ)! ぼくといっちょ!」

「ねえねえ、名前は? 名前は?」

「小助! 小助! 小助!」


 小助のえがおに、子犬のほうもうれしそうにしっぽをふっています。でも、この子犬にはまだ自分の名前をもっていません。


 かわいい子犬の顔をじっと見ながら、小助は新しい名前を思いつきました。


「ワン太くん! ワン太くん!」

「こちゅけくん(小助くん)! 名前をつけてありがとう!」


 ワン太は、自分の名前をつけてくれた小助を見ながらよろこんでいます。クマとオオカミの親子も、大きな岩の上にいる小助とワン太のうれしそうなようすをながめています。


 小助は、新しい友だちになったワン太をりょう手で自分の顔の前まで上げました。そんなワン太は、うれしさのあまりに小助の顔におしっこをめいちゅうさせてしまいました。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」

「わっ!」


 ワン太のおしっこで顔がびしょぬれになった小助ですが、このくらいのことで気にすることはありません。


「てへへ、かけられちゃった」


 小助は、小さな子犬をかかえながらいつも通りのえがおを見せています。

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