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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
大きな池の向こうでぼうけん
122/343

池の中で小助くんとバケギョのぼうけん

 茶色いかいじゅうは、小助の顔をじっとにらみつけながら口をひらきました。


「どうせ、おめえはおれの口にのみこまれるだろうけどな」


 ぶきみな声を出すおそろしいかいじゅうですが、小助は新しい友だちになろうとそばによってきます。


「いっちょにあちょぼう(いっしょにあそぼう)! いっちょにあちょぼう!」


 茶色いかいじゅうは、大はしゃぎする小助のすがたにいかりがこみ上げてきました。


「おい! ふざけるのもいいかげんにしろ!」

「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 どんなにかいじゅうがどなりつけても、小助はいっしょにあそんでくれていると思っています。小助は、こわいかいじゅうの顔を見ながら楽しそうにわらっています。


「いいか、おれの名前はバケギョというやつだ!」

「小助! 小助! 小助!」

「おめえの名前じゃない! おれの名前はバケギョだ!」

「わ~い! バケギョ! バケギョ!」


 小助は、かいじゅうの名前をはじめて知るとうれしそうにはしゃぎながらバケギョのせなかにまたがりました。バケギョは、自分のせなかですわりながらピョンピョンしている小助をふりおとそうといきなりおよぎ出しました。


「わわわっ!」

「おれをおこらせたらどうなるか、おめえにたっぷりと思い知らせてやるぜ!」


 バケギョは、池の中をものすごいはやさでおよぎ回っています。あまりのはやさに、小助はあやうくふりおとされそうになりました。


「ぐぐぐぐぐっ……」

「ふっはっはっは! これでおわりと思ったら大まちがいだぜ!」


 ぶきみなわらい声を上げるバケギョにたいして、小助のほうもりょう手であいてのせなかにしがみついています。バケギョは小助を空中でふりおとそうと、いきおいをつけて池の中から水しぶきを上げて一気にとび出しました。


「わ~い! ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」


 バケギョといっしょに空中にういている小助ですが、そのすがたを目にしたケモスケはすぐに大きな声でさけぼうとしています。


「小助くん! そのかいじゅうは……」


 ケモスケは、小助に何か言おうとさけび声を上げました。しかし、さいごまで言う前に小助はバケギョといっしょに水中にふたたびとびこんでいきました。


「そのかいじゅうって?」

「あれはねえ、バケギョというおそろしいかいじゅうなんだ。そのかいじゅうにはぜったいに近づいてはいけないと言われているの」


 小助をたすけたいという思いがあっても、こわいかいじゅうがいるところへはなかなか近づくことができません。そんなみんなのしんぱいをよそに、小助は水の中をあばれるようにおよぎつづけるバケギョにしがみついています。


 小助は、水中から空に向かってふたたびとび上がろうとするバケギョの頭の上にまたがるようにすわりました。そして、バケギョが池から空中に高くとび上がったその時のことです。


「プウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「うっ! おれの顔にくさいおならを……」


 空中で鳴りひびいたでっかいおならの音は、ケモスケのせなかにのっているどうぶつたちの耳に入るほどのすさまじさです。バケギョは、小助のおならこうげきによってそのまま池にたたきつけられるようにおちてしまいました。


「くそっ! おぼえてろよ!」

「またあちょぼう(またあそぼう)! またあちょぼう!」


 バケギョは、小助に何されるか分からないのでそのまま池のふかいところへさっていきました。茶色いかいじゅうの後ろすがたを見ながら、小助は手をふりながらまたあそべるのを楽しみにしています。


 池の中で大ぼうけんをくり広げた小助は、ケモスケやどうぶつの子どもたちとともに山のてっぺんからおりていきました。

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