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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
大きな池の向こうでぼうけん
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小助くんのおならこうげき

 小助はカエルになりきっておよいでいると、森が広がる向かいがわが大きく見えるようになってきました。どうぶつたちの子どもたちがのっている大きな木を、小助はくくりつけたなわで引っぱるように池をおよぎつづけています。


「うんしょ! うんしょ!」


 どんなことがあっても、小助はみんなをつれていこうとカエルおよぎで前へすすもうといっしょうけんめいです。


「どんなところかなあ」


 大きな木にまたがる子グマたちは、向かいがわの森をこの目でじっと見ています。森のたんけんは、どうぶつの子どもたちにとってはじめての体けんです。


 大きな池の向かいがわにたどりつくと、子グマとちびっこオオカミはすぐに大きな木からおりました。小助は自分の体をむすんだなわをゆるめて外すと、大きな木を池にながされないところへもっていきました。


「いっちょに(いっしょに)行こう! いっちょに行こう!」


 小助が先に森の中へ入るのを見ると、子グマとちびっこオオカミはその後をついていくことにしました。さいしょは楽しみでいっぱいだったどうぶつたちでしたが、木のしげみからガサガサと聞こえるにつれてしだいにおびえるようになりました。


「こ、こわいよう……」

「ねえねえ、もう帰ろうよ」


 子グマとちびっこオオカミは、小助にしがみついたままはなれようとしません。そんな中にあっても、小助はいつもえがおでみんなをはげまします。


「みんないっちょ(いっしょ)! みんないっちょ!」


 どうぶつの子どもたちは、元気いっぱいに歩きつづける小助からはなれないようにすすんでいます。


 そんな時、小助はしげみから何かがとび出してきたのに気づきました。すかさずとび上がった小助の目の前には、どうもうなおそろしい犬がきばをむき出しにしておそいかかってきました。


「このチビめ、おれの前にまたあらわれやがって」


 小助はおそろしい犬の体をりょう手でつかみましたが、どうもうな犬は1ぴきだけではありません。


「この前はよくもやってくれたな」

「ただですむとは思うなよ」

「わっ! わわわわっ!」


 空中でとびかかってきたどうもうな犬たちのすがたに、小助はそのままじめんへおちてしまいました。これを見た犬たちは、おき上がろうとする小助にかみつこうとします。


「どんなににげようたって、ねらったえものはにがさないぜ」


 犬たちのあまりのおそろしさに、子グマとちびっこオオカミはすぐに草むらへかくれました。


「ぼくも父ちゃんみたいになりたいなあ……」


 3びきのちびっこオオカミは、だれにも気づかれないように小さい声でつぶやいています。いくらオオカミといっても、小さい体でどうもうな犬たちに向かっていくのはかなりきけんです。


 どうぶつの子どもたちが草むらからそっと顔を出すと、小助が小さい体で木にしがみついては上へのぼろうとしています。これを見たどうもうな犬たちは、小助のせなかに向かってとびかかろうとかまえています。


「へっへっへ、あのチビをえものとしてかみついてやるぜ!」


 おそろしい犬たちが、ぶきみな声を出しながら小助におそいかかろうとしたその時のことです。


「プウッ! プウウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「うぐっ! く、くさっ……」

「くさいおならをしやがって……」


 小助は、どうもうな犬たちへ元気いっぱいのでっかいおならを食らわせました。まわりに広がるおならのにおいに、おそろしい犬たちはじめんでのたうち回っています。


 後ろをふり向いた小助は、木の高いところにある太いえだに足をかけました。そして、えだのはしまで近づくとすぐさまとびおりました。


「えい~っ! プウッ! プウッ! プウッ!」

「うっ! くさい……」


 小助は、空中でじめんにいるどうもうな犬たちに向かっておならこうげきを3回もつづけました。ふたたびおならを食らえば、おそろしい犬たちにとってもたまったものではありません。


「くそっ! おぼえてろよ!」


 どうもうな犬たちは、小助たちがいるその場からおくのほうへさっていきました。草むらからおそるおそる出てきたどうぶつたちは、小助のいるところへもどってきました。


 子グマとちびっこオオカミは、小助がおならこうげきでどうもうな犬をやっつけたことにびっくりしているようすです。


「でっかいおならでやっつけたの?」

「おならでやっつけるなんて、本当にすごいなあ」

「てへへ、いっぱい出ちゃった」


 かわいいえがおを見せる小助のすがたに、どうぶつの子どもたちのにぎやかなわらい声が森の中にひびきわたっています。

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