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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと夏の出会い
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大きなスイカを食べる小助くんとゴロ太くん

 さっきまでふりつづいた雨がやむと、お母さんは家の中で大きなスイカを切り分けています。お母さんのそばには、小助がしがみついたままはなれようとしません。


「ねえねえ! スイカ! スイカ!」

「でっかいスイカだけど大じょうぶかな?」


 切り分けられたスイカを見て、小助はうれしそうにピョンピョンとびはねています。なぜなら、スイカは小助の大すきな食べものだからです。


 そんなようすを、ゴロ太が後ろのほうから見ています。ゴロ太は、スイカがどんなものなのかまだ分かりません。


「スイカって、本当においしいのか?」

「おいちい(おいしい)! おいちい!」


 ゴロ太は、スイカを食べるのが楽しみな小助のすがたをふしぎそうに見つめています。お母さんは、黄色いとらがらのふんどしをつけているゴロ太がいることに気づくとすぐに声をかけました。


「ぼうやの名前は?」

「ゴロ太という名前だけど」


 お母さんは、2本の角が生えているかみなりの男の子に切ったばかりのスイカを手わたしました。そばでは、スイカをほしがっている小助がだだをこねています。


「スイカ! スイカ! スイカ!」

「小助くんの分もちゃんとあるからね」


 小助は、大すきなスイカにさっそくかぶりつきました。ゴロ太は、スイカをほおばるように食べる小助をじっと見ています。


「本当においしいのかなあ」


 ゴロ太は自分のスイカをはじめて食べると、そのおいしさにはじめて気づきました。となりにいる小助は、大きなスイカをのこさずにぜんぶ食べきりました。


「スイカ、おいちい! スイカ、おいちい!」

「あんなに大きいスイカをもうぜんぶ食べたのか」


 小助がおいしそうに食べるようすを見て、ゴロ太もいそいでスイカを食べきろうとしています。スイカを食べおわった小助は、お母さんにしがみついていつものおねだりをしています。


「ねえねえ! おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、しょうがないわねえ」


 お母さんにだかれると、小助はすぐにおっぱいをのみはじめました。小助のかわいい顔つきに、お母さんもやさしいえがおを見せています。


「やっぱり、小助はまだまだ赤ちゃんなんだなあ」


 ゴロ太がスイカをぜんぶ食べようとしている間、小助はお母さんのおっぱいをのみつづけています。


 その夜、小助とゴロ太はお母さんとともにおふとんの中に入ってねむっています。ゴロ太のゆめの中では、うすぐらい雲にのってかみなりを鳴らしながら雨をふらせています。


「むにゃむにゃ、むにゃむにゃ……」


 小助は、カエルたちといっしょに歌おうと大きな池の中へ向かっていきおいよくとびこみました。




 つぎの日の朝、きのうとはちがって雲がすくない青空から太ようがてらされています。セミの鳴き声でめをさました小助は、お母さんの前でいつものえがおを見せています。


「てへへ、やっちゃった」

「ふふふ、今日もでっかくてみごとなおねしょをしちゃったね」


 小助は、元気いっぱいのおねしょをおふとんにやってしまいました。おねしょをしちゃっても、お母さんは小助のえがおをやさしく見つめています。


 そんな時、ゴロ太がとらがらのふんどしをおさえながらしょんぼりしています。ゴロ太のおふとんには、でっかいおねしょがえがかれています。


「雨をふらせるゆめを見ちゃって……」


 ゴロ太は、夜中にみたゆめのことを思い出しながら顔を赤らめています。そのようすを見たお母さんは、ゴロ太に語りかけようとしています。


「そんなこと気にしなくても大じょうぶだよ」

「で、でも……」

「お外にほせば、おねしょのおふとんもすぐかわくから」


 お母さんのやさしいことばに、ゴロ太もしだいに明るい顔つきにもどりました。


 おにわには、小助とゴロ太のおねしょぶとんがならんでほされています。大きな池へかけ出す子どもたちのにぎやかな声は、晴れわたる空に向かってひびきわたっています。

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