表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと夏の出会い
109/343

夜中のゆうれいと小助くん

 山おくのほうも、すっかり夜がふけてきました。小助はどうぶつたちとあそびつかれたのか、すやすやとねむりの中へ入っています。


 そんな夜中にあらわれたのは、青白くてぶきみなゆうれいのすがたです。ゆうれいは、小助のいる小さい家の前であやしげなわらい声を上げています。


「ひっひっひ、この家には小さい子どもがいるようだな。どれどれ、この家に入っておどろかすとするかな」


 ゆうれいは、家の中へすりぬけるように入りました。家の中では、小助とお母さんがそれぞれのふとんに入ってねむりつづけています。


「こんなにかわいい男の子なら、小さくなってふとんの中へ入ったほうがいいかもしれないなあ」


 ぶきみなわらいを見せるゆうれいは、くらやみの家の中で小さいすがたになりました。そのすがたは、まるではっぱのように小助のふとんの中へするりと入りました。


 その間も、小助はかわいい顔つきですやすやと楽しそうにゆめを見ています。森の中から大きなたきへやってくると、池の中へいきおいよくとびこんで……。


 しばらくすると、小助のふとんからあのゆうれいがかけぶとんから出てきました。ゆうれいの体からは、白いゆげが立ちのぼっています。


「やっぱりか……。見事におねしょをしているとはなあ……」


 元のすがたにもどったゆうれいは、おねしょをしたままでぐっすりねむりつづける小助のかわいい顔をじっと見ています。小助のゆめの中では、はらがけの下をおさえながらかけ回る小助のすがたがあります。


「ひっひっひ、わしの顔を近づけてこわがらせてやろうかな。この子が目をさましたら、こわくて大声でなくだろうなあ」


 ゆうれいは、自分のこわい顔を小助に近づけようとします。そんなゆうれいに、小助がすやすやとねむったままであんよを上げたその時のことです。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」

「う、うわわっ! ねむったままでわしの顔に……」


 小助は、ゆうれいのこわい顔へおねしょをつぎつぎとめいちゅうさせています。ゆうれいにとっては、いきなりのおしっここうげきにたまったものではありません。


「このままでは、わしがいることに気づかれてしまう……」


 ゆうれいは、あわてふためいたようすで小助たちの家からすりぬけると、くらい夜のやみにきえていきました。




 つぎの日の朝、小助はおふとんからおき上がるといつも通りのかわいいえがおでお母さんを見つめています。


「ふふふ、きょうもやっちゃったね」

「かあちゃ、おねちょ(おねしょ)! おねしょ!」


 小助は、この日も見事に元気いっぱいのおねしょをおふとんにやってしまいました。今日のおねしょは2回もしちゃったので、おふとんにはいつもよりもでっかくえがかれています。


「どんなゆめを見たのかな?」

「てへへ」


 家の中にゆうれいがきていたことは、小助もお母さんもぜんぜん知りません。セミの鳴き声がひびきわたる中、小助は今日もどうぶつたちとあそぶために森の中へ向かっていきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ