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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと夏の出会い
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おとまりは子グマたちといっしょ(その2)

 日がくれて、小助たちがくらす山おくもすっかりくらくなりました。いつもだったら、小助はすでにふとんの中でぐっすりねむっているころです。


 けれども、今日はいつもとちがいます。小助は、おとまりにやってきた子グマたちといっしょに外へ出てきました。お母さんも、小助たちのようすを見ようと後ろからついていきます。


 小助たちが、こんな夜中に外へ出たのにはわけがあります。それは、夕ごはんをたべているときにお母さんがあることを話しました。


「いつもだったらおねむの時間だけど、今日は夜中に池のほうへ行ってみようかな」

「なになに! なになに!」

「ふふふ、夏の夜中に池のほうへ行けばあるものが見えるよ」


 お母さんのことばを聞いた小助は、大きな池に何があるのか今から楽しみです。子グマたちも、小助といっしょに見たがっているみたいです。


 月の明かりにてらされる中を歩いていると、池のほうに何か光っているものがあつまっているのが見えました。池に近づくと、小さく光るのがいくつもとび回っています。


 小助たちがふしぎそうにそのようすをじっと見ていると、後ろからやってきたお母さんが光っているものがどんなものか教えようとしています。


「みんな、夜中に光っているこれは何かな?」

「う~ん……」


 小助と子グマは、くらい中を光ってとんでいるのがどんなものか分かりません。


「これはホタルという虫だよ」

「ホタル?」

「ホタルはねえ、夜中に池や川のほとりで光りながらとんでいるのよ」


 お母さんが教えてくれたホタルを見ようと、小助たちは池のまわりを行ったりきたりしています。そんな時、小助の耳にあの鳴き声が入ってきました。


「ケロケロッ、ケロケロケロッ」


 その声を聞いたとたん、小助は大きな池の中へドボンと大きなしぶきを上げてとびこみました。お母さんは、月の光でかすかに見える小助のようすをながめています。


「おやおや、どうしたの?」

「カエルちゃん! いっちょに(いっしょに)歌おう!」

「ぼうやがそう言うなら、みんなで歌おうかな」


 小助は大すきなカエルになりきると、元気でかわいい鳴き声を出しながら歌い出しました。その鳴き声につられるように、ハスの上にあつまったカエルたちもいっせいに歌声をひびかせています。


「ケロケロケロッ、ケロケロケロッ」

「ふふふ、小助くんはカエルになりきるのがとても上手だね」


 お母さんや子グマたちは、小助のかわいい鳴き声に耳をすませています。小助とカエルたちの歌声は、この後も夜空に向かって鳴りひびかせています。




 つぎの日の朝、小助の家の中では子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきました。


「てへへ、やっちゃった」

「あらあら、みんなおねしょをしちゃったんんだね」


 お母さんが見ているのは、小助たちがてれわらいしているすがたです。


 小助は、この日もおふとんにでっかいおねしょをやってしまいました。子グマたちのほうも、おふとんに見事なおねしょをえがいています。


「どんなゆめを見たのかな?」

「カエルちゃんといっちょ! カエルちゃんといっちょ!」


 どうやら、小助はゆめの中でもカエルといっしょに歌おうと池の中へとびこんでしまったようです。わんぱくで元気いっぱいの小助のおねしょは、水中にとびこんだときの大きな水しぶきとそっくりです。


 ものほしにほされた子どもたちの3まいのおねしょぶとんですが、やっぱりまん中の小助がやってしまったおねしょのでっかさにはかないません。


「小助くんはいつも元気いっぱいなんだね。スイカもいっぱい食べて、あれだけの元気なゆめを見ているんだもの」


 お母さんのやさしいことばに、小助は顔を赤らめながらもいつものえがおを見せています。そんな小助は、子グマたちといっしょにおにわでじゃれ合いながらあそんでいます。


「わっ、わわわわっ!」

「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 子グマたちは、おすもうごっこであいかわらず強い小助のすがたにタジタジです。


 森から出てきたお母さんグマも、小助と子グマたちがなかよくあそんでいるようすをやさしそうな顔つきでながめています。

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