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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと夏の出会い
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キツネとタヌキがばけたのは?

 森のおくまでつづく道のそばにある草むらには、キツネとタヌキがそこにかくれながらだれかがくるのをまっています。


「今日こそうまくいくかな」

「大きな声を出すな! おれたちがかくれているのがばれるだろ」


 何かとはり合うキツネとタヌキですが、今日はどういうわけか2ひきがそろってばけようとしています。草むらからそっとのぞいていると、はらがけ1まいで元気に歩く小助のすがたが見えてきました。


「大じょうぶかな?」

「いっしょにばければ、向こうだって気がつかないから」


 キツネとタヌキは、頭の上にはっぱをのせるとその場でけむりにつつまれながらくるりと回りました。


 そのころ、小助はどうぶつたちとあそぶために森の中をすすんでいます。森のおくへ向かっているとちゅうで小助が目にしたのは、はじめて見る人間の男の子です。


 人間の男の子たちは、さっそく自分たちの名前を小助の前で口にしました。


「ぼくは、ぬた助という名前だよ。よろしくね!」

「おれの名前はねつ吉だ! よくおぼえておけよ!」


 かわいい顔つきのきぬたろうと元気でぽっちゃりなねつきちは、小助と同じようなはらがけをつけています。小助は、さっそく2人といっしょにあそびたがっています。


「ねえねえ、いっちょにおちゅもうちよう(いっしょにおすもうしよう)!」

「ぼ、ぼくたちは……」


 大すきなおすもうがしたがっている小助ですが、きぬたろうとねつきちはおすもうをあまりしたくないようすです。


「おちゅもう! おちゅもう!」

「う~ん、どうしようかなあ」

「じゃあ、向こうの川で水あそびをするのはどうかな?」

「わあ~い! みじゅあちょび(水あそび)! みじゅあちょび!」


 小助がピョンピョンとびはねながらよろこんでいるのを見て、2人の男の子はホッとしています。


「よかった……。おすもうをしたらまけてしまうもん」

「ここでおすもうしたら、おれたちが人間の子どもにばけているのを知られてしまうからな」


 きぬたろうとねつきちは、タヌキとキツネが人間の男の子にばけたすがたです。2ひきがばけたのは、もちろん小助をおどろかせるためです。


 男の子たちは、小助といっしょに草木をかき分けながら歩いていきます。草むらをぬけると、小助たちは川に向かってはしゃぎながら走り出しました。


「キャッキャッ! キャッキャッ! パシャパシャパシャ!」

「わっ! よくもやってくれたな!」


 小助は、2人の男の子にいきなり川の水をかけてはかわいいえがおを見せています。このようすに、きぬたろうとねつきちはおかえしとばかりに小助に水をパシャパシャかけまくっています。


「みじゅあちょび! みじゅあちょび!」

「やったな! おかえしだ!」

「キャッキャッ! キャッキャッキャッ!」


 その後もみんなと水あそびを楽しむ小助ですが、そのうちきゅうにくるしそうな顔つきにかわりました。小助はおしりをおさえながら川から上がると、草むらに入ってしゃがみこみました。


「うんっ! うんっ! うううう~んっ!」


 草むらでふんばった小助は、しだいにいつものかわいいえがおにもどりました。その場で立ち上がると、小助は足元に出たばかりのあるものを見つめています。


 そんな小助の耳に入ってきたのは、聞きおぼえのあるどうぶつたちの声です。小助のいる草むらに入ってきたのは、森の中でくらすキツネとタヌキです。


「あっ! でっかいうんこだ」

「もしかして、ここでうんこをしたのって……」

「てへへ、いっぱい出ちゃった」


 キツネとタヌキは、でっかいうんこをした小助の顔をじっと見ています。そんな小助がいつも元気なのは、いつもでっかいうんこをしているおかげです。


「あれあれ? どうちて(どうして)ここにいるの?」

「う~ん、どうしてかなあ?」


 小助は、さっきまであそんだ男の子たちがいないことに気づきました。キツネとタヌキが草むらにいることに、小助はふしぎそうにそのすがたを見つめています。


「どうやら気づいていないみたいだな」

「気づかれなくて本当によかった」


 キツネとタヌキは、自分たちが人間の男の子にばけたのを小助が知らないことに一安心しました。

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