あの男は奪った
俺は平凡な家庭に生まれた
平凡に育ち中学までは楽しく生活していた
高校になってある男が現れた
その男は俺の楽しい学生生活を奪った
その男は人を集めて俺をいじめた
3年間常にその男からいじめられた
それでも勉強を頑張って大学に行った
その男とは大学が別だった
俺はいじめられる日々から解放された
俺には友人も彼女もできた
俺はバイトにも精を出してある程度の支持を得た
俺は卒業して大手企業に就職した
俺は大学でできた彼女と結婚した
俺たちには2人の子供ができた
俺は社会に出て仕事も家庭も順調だった
あの男が来るまでは
あの男は高校で俺をいじめた男だった
あの男はよりによって俺の取引先の相手だった
あの男はそれを利用して俺の支持を最底辺まで下げた
あの男は俺の妻の浮気相手だった
俺は妻と離婚することになった
2人の子供はどちらも妻の元についていった
その次の月に元妻はあの男と結婚した
仕事も家庭も
あの男は俺から全てを奪った
それでも俺は耐えていた
頑張って今日まで生きてきた
しかし
あの男は更に俺から金を巻き上げた
あの男のせいで俺は借金を背負った
あの男のせいで俺は家を出ることになった
あの男は徹底的に俺から奪えるもの全てを奪った
そして
俺はあの男に耐える力すら奪われた
俺はあの男に生きる気力すら奪われた
最後、唯一あの男が残したのは
たった一本の刃物だった
そして唯一あの男から残されたものを俺は
俺の血が沁みたたった一本の刃物に変えた
甘味爲宿です。
普段書いてるものとは少し違ったものを書かせていただきました。
とても短い文ですが読んでいただきありがとうございます。