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終末都市ーコーディング

その都市は、これまで通ってきたどの都市よりも“小さかった”。


地図上では確かに小さい。回りの都市に囲まれ、真ん中にポツンとあるからだ。が、眼にしたその都市はそれらの情報を加味しても、より小さかった。


『……ァ……ア、ァ、ア……』


5mはあろうかという巨大な椅子に腰かけた男、サンスィヤは椅子に応えるよう、いや、椅子よりも巨大な存在にならんと巨大化している。


手枷、足枷がつけられ、眼にも拘束具のような物がついているが、最早そんなものは関係ない。


『ア……アァアァァァアッッッ!!!』


この巨大な力はその全てを破壊した。


「なんだよ、この化け物……!!」


「……そういうことか」


「えっ?」


「妙だと思ったんだ。あの負けたら命が奪われるバリア。やったところで何の得があんのかと思ったらコレだ!」


「どういうことよ?」


「負けた奴の魂を吸収して、その分強くなってる!!」


「!!」


「正確には途中のエリアで虐殺された住民やキッシュが殺った分も含まれてるぞ、これ!」


「……逆に言えば、アイツを倒したら皆生き返ったりしない?」


「……そうはならねぇだろうな。生き返ると不味い奴もいる。多分、何かしらの対策をしてるんだろう」


「……」


「アレが七紅魔の大ボスか、フウヤ?」


「……。まあ、そんなとこ。最後の七紅魔だ」


「……今回あのバリア無いみたい、フウヤくん!」


「みたいだな!じゃ、全員でやるぞ!」


『おうっ!』


「あの、私はどうすれば?」


「お前にも重要な役割がある。ライラ!」


「は、はい!」


「このエリアのどっかにハナさんっていう人がいるはずだ!探してきてくれ!」


「わかりましわわっ!!」


咆哮があがる。その咆哮の衝撃波がオレ達を襲った。


「ぐっ……!」


『…………っっ!!』


オレ達は大丈夫……けど!


「おい、ライラ!大丈夫か!?」


「――っっ!!――っっ!!」


声が僅かに聞こえる。ライラの方を見ると、もうできればお目にかかりたくない奴らがライラを抱え、離れていた。


咆哮が止み、少し息をつく。ライラの姿はない。


「ちょ、ライラさんは!?」


「アイツは大丈夫。親衛隊ファンの奴らが連れてった」


「着いてきてたのか!?おっそろしいファン魂だな……!」


「……作戦どうする?フウヤ」


「アイツの能力も動きも知らない。けど、咆哮だけであまり動いてこない……なら」


水にぃと、全員と視線を合わせる。一人ミレンがポカンとしてたけど、まあいい。


同時に、ミレン以外が一斉に動く。


「え、えっ?ちょっ!」


ミレンの動揺する声に耳を貸さず、一斉に各々の最大火力を叩き出す。


「全力でぶん殴る!!」


「はぁぁっ!!」


「やぁぁっ!!」


「おりゃあぁ!!」


剣で、銃で、素手で。サンスィヤに襲いかかった。


「~~っ、もう!人の事言えないじゃない、アイツ!ガード・ゴーレム!」


「カシコマリ~」


「不安だからライラさんを守ってて!私達は攻める!」


「カシコマリ~」


「っ、アレスタ・フォートレス!」


ミレンが背後でゴーレム達を喚び出す。一方、


「おいおい、マジかよ……」


水にぃが思わずサンスィヤを見上げる。オレ達の猛攻を、奴は全く意に介していない。どころか、


「……ダメージ与えた側から回復してる」


深く抉ったり、斬った箇所があっという間に元通りになった。……これは。


「奴の能力は超回復か……!」


「いや、そんだけじゃねぇ。これ、多分……!」


サンスィヤがオレ達の方を見下ろした。瞬間、


『ア゛、ア゛アアァァアァ!!』


元々でかかった両腕を更に肥大化させ、


『ア゛ア゛ッッ!!』


振り下ろした。床が砕け散る。


「っと!」


「!みんな、無事か!?」


「大丈夫、みんな無事だよ水くん!」


「……ゴーレム殆ど壊滅したんだけど。なにあの衝撃」


「また来るぞ!!」


「ウソでしょ!?」


『ア゛ア゛ア゛ァ!!』


再度振り下ろされる。残っていたミレンのゴーレムが砕け散った。


「これ、ゴーレム意味ないわね。というかアイツの能力、何!?」


「多分、再生と増殖だ。ダメージを再生で自動的に回復して、内側の細胞を増殖して巨大化させてる!」


「なにそのチート!?」


「オレらが言えた義理じゃねぇだろ!くっ……!」


また振り下ろされる。目障りな奴を排除せんと。


「フウヤ!お前の能力でなんとかなんないか!?」


「ムリだ、水にぃ!さっきからやってるけど……破壊する度に能力で再生してる!!」


「二人とも、上!!」


「「!!」」


あ……やっべ。これ避けらん――


「うぅおぉぉぉ!!」


水にぃが咄嗟に、剣でその巨大な力に立ち向かう。


「!!」


瞬時にオレも、水にぃと力を合わせ、


「「うぅおぉぉぉおお!!」」


『あ゛ぁぁ!!』


押し返した。


「……二人とも、化け物かよ」


「感心してる暇はないよ、レンドくん!」


「っ!そうっすね!!」


「ミレンちゃん、行くよ!!」


「はい!!」


「はぁぁぁぁぁ!!」


「バリスタ・フォート、グレネード・ランチャー!!」


「アレスタ・フォートレス、ブラック・ボルト!!」


アキハねぇが、レンドが、ミレンが一斉にサンスィヤに襲いかかる。


「はっ、はぁ……っ」


「さ、サンキュー……水にぃ……助かった」


「お前が合わせてくれて良かったわ。おれ一人だと多分、ぺっちゃんこだったぞ」


「だね……」


「フウヤー!」


「ん、なんだミレン!」


「弱点どこ!?」


「男の弱点は一つに決まってんだろー!!」


「っ!変態!!乙女にどこ攻撃させる気よ!?」


「フウヤくーん!ダメ!そこ弱点じゃないみたい!集中的にやったけどビクともしない!!」


「「ヒッ……!!」」


オレと水にぃが同時に股間を押さえた。敵とはいえ、躊躇なく攻撃するなんて……アキハ、恐ろしい子……!!


「頭もダメだ!破壊しきれねぇ!」


「っなら心臓かしら……!!アレスタ・フォートレス、破裂矢クラック・アロー!!」


弓と矢を精製し、放つミレン。狙いは肥大化した心臓部分。


「……」


命中し、破裂した……が、


「心臓もダメとか不死身じゃないコイツ!!」


「……。ううん。それは違うよ、ミレンちゃん」


「アキハさん?」


「生命体である以上、死なないなんて事ない。いつか必ず終わりが来るの」


「……」


「多分、彼は死にきれてないだけ。だから私達で終わらせよう」


「……でも、どうやって」


「四の五の考えるのはフウヤくんに任せるよ☆私はただ――」


再度、サンスィヤの前に立ったアキハねぇは、


「フウヤくんの敵を倒すだけ!」


股間にワンパン、飛び上がって脳に強烈な右フック、下降しながら心臓に正拳突き。端から再生する中、殴れる箇所を殴り蹴る。


「……水にぃ」


「ああ。男だからってすくみあがってるばかりじゃいられないな。……おれ達でアイツを消耗させる。フウヤは何かいい案考えててくれ」


「……わかった」


水にぃも戦線に参加し、サンスィヤを斬りつける。……考えろ、考えるんだ。


「アキハねぇの言う通り、生命体には必ず終わりが来る。……絶対、何かあるはずだ」


「BL!」


考え込むオレの側に暴言年増が飛び込んできた。


「その呼び名ヤメロ。ってか無事だったんだな」


「今はその軽口に付き合ってる暇はありません。重大連絡です。この都市の上空から“巨大な岩”が落ちてきてます!!」


「岩?……!!」


誰かが意図的にそうしたのか。はたまた偶発的か。あるいは何かのトリガーでそうなったのか。


見上げた曇天そらは無機質な隕石それに覆われていた。

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