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弟とは酷い目に合うものなり

「ここね」



すばらく歩くと、えらく金ぴかな部屋の前にたどり着いた。さっき私が連れてこられた場所。ここに恐らく、三連凶の残りと皇帝がいる。……3対1、か。まあ、どうにかなるかしら。



「あ、あのミレンさん。フウヤさんは待たなくて大丈夫でしょうか?」



「待ってたら警備兵がイヤになるほど来そうだし、さっさと行ってアイツを助けに行った方がいいわよ」



「……無事、でしょうか?」



「大丈夫よ。ギャグ補正で死にはしないわよ」



「ぎゃ、ぎゃぐほせい?」



「なんでもないわ。とにかく行きま――」



「すぅ……と~し~ま~!!」



後ろから随分と失礼な怒号が飛んできた。……愚かね、あのバカ。自ら私の怒りを煽るなんて。



「アレスタ・フォートレス、サンド・ゴーレム」



「ん?ってふごっ!」



砂のゴーレムが奴の背後に現れて大量の土砂を頭から下ろした。ふっ、ざまあ。



「み、ミレンさん」



「大丈夫よ。死なない程度にやってるわ」



「そうじゃなくて……!」



「こぉの年増ぁ!単体崩落!」



……どうやらあの変態、ようやく魔法が使えるようになったみたいね。私のゴーレムが崩れさった。



「ようやく魔法が使えるようになったのね。にしても酷い。私のゴーレムが」



「酷い、だと……?オレを囮にした奴の言うことじゃねえなあ年増っ!?」



「口には気をつけなさい、変態」



チョークを数本創造して、変態の口めがけて突っ込んだ。……小さいものなら詠唱なしでいけるみたいね。



チョークを引っこ抜いて変態は、今度は涙を流して叫んだ。



「お前のせいでなぁ!ゴリラに捕まって掘られかけたんだぞ!マジで男としての死が見えた!」



「それは……ごめんなさい」



「悪いと思ってんならなあ!今すぐオレに永久服従し、ハルちゃんを明け渡」



「それとこれとは話が別」



「んごっ!!」



再度チョークを創造し、変態の口に突っ込むと、ハルちゃんが焦った口調で言った。



「お二人とも、争ってる場合じゃないですよ!ここ、皇帝の部屋の前ですよ!」



「ごめんごめん。そろそろ向かおうか」



「ーーその必要はない」



「っ!」



真横から執事服を来た男が現れた、と認識したと同時に、



「空間――絶光」



「くっ……!!」



強い光とともに何か重いものが私の脇腹付近に攻撃を仕掛けた。



「ミレンさんっ!!」



「年増ざまぁ!!」



「ったた……アンタ、後で覚えてなさい」



「ちっ。無事か」



壁に激突した私に舌打ちした変態はぶちのめそう。そう決めた。



「ほう、軽傷とは……。なかなかやるようだな、侵入者」



「……アンタ、三連凶とやらかしら?」



「いかにも。三連凶のリーダー、優柔 剛健だ。わが主の命により、貴様らを始末する」



リーダーね……一人、姿を見せてないけど、後で不意討ちするつもりかしら。



「空間――光速」



奴の姿が一瞬にして消えたかと思うと、



「ぐふぁっ!!」



「ナイス!!」



離れた所にいる変態が吹き飛ばされた。……アイツ、光速で行動できる魔法かしら。



「ってー……。年増、あとで覚えてろ」



「こっちのセリフよ、変態」



「お、お二人とも。喧嘩してる場合じゃ……!」



「……なるほど。全力を用いて貴様らを葬ろう。空間――阿弥明光」



「っ!」



「うぉっ!」



奴の姿が消えると同時に無作為でバラバラな方角から衝撃が襲いかかってきた。風を切る音がしきりに響くなか、三連凶の声がこだまする。



「我が魔法は空間を操る。異空間からの無差別攻撃に耐えられる者などいない」



「っ、は、ハルちゃん……!」



衝撃の中、ハルちゃんを見る。……今のところ、無事みたい。だけど、奴の攻撃がいつ飛んできても不思議じゃない。早いとこ決めないと……!



「……なるほど。んじゃ、打ち破るのはオレが初めてになんのか?」



「変態?」



「オレがどうにかする。……お前が決めろ、年増」



「打ち破る?それが出来るといいな!」



「出来んだなあ、それが……魔法崩落!」



「っ!」



変態が魔法を唱えると同時に、無差別の攻撃がやんだ。



「な、なんだ今のは……!?」



「年増っ!」



「ええ、よくやったわ!アレスタ・フォートレス……」



「や、やめっ……!」



「ビッグ・ハンド!!」



「ごあっ……!」



大きな手を創造し、そのままペチャンコにした。



「…………」



ピクリとも動かない三連凶。……残すは一人ね。



「さあ、出てきなさい、三連凶!いるのは分かってるのよ!」



辺りを警戒しながら叫ぶ。けど、出てこない。……隙を窺ってるのかしら。



「なあ、年増」



「なによ」



「途中で変なオカマに遭遇したんだが、アレ、お前が倒したんだよな?」



「そうよ。アイツも三連凶。でも、あと一人いる」



「……いや、いないな。さっきオレが言ったゴリラも三連凶っていってた。名前の通りならもう主だった敵は皇帝だけじゃねえかなあ」



「……いない?」



「多分な。一応警戒はした方がいいとは思うが」



「……私、いもしない相手に出てこいとか言ってたってこと?」



「そうなるな。ぷぷっ、恥じゅかちいー!」



「……良いわね、弟っていうのも」



「は?げじゃぶっ!!」



「こういう時に思いのまま殴れるんですもの」



「し、心淵崩落!……魔法使えねぇ!どうなってごぱあっ!!」



「思い知りなさい、姉の力ぁ!!」



しばらく弟(仮)でストレス発散した。

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