表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/74

ディブトーニ・レーテリアの専守戦 その8

「…………」


「……我らの勝ち、ということで構わんな?七紅魔」


戦争が終わりを迎えようとしていた。各所の敵兵が概ね無力化され、隻眼の兵士ゲンさん、そして四砲手の方々が集結していた。


「ざっけんなよ……。俺達は、まだ負けちゃ……!!」


「……。いいえ、私達の負けです。ロレット」


「クミル……!?」


「あなたはもう瀕死。強がっていても誰の目にも明らかな程。……私も重傷です。そして兵士も粗方やられました。この戦、私達の負けです」


「てめぇ……!!なに腑抜けた――!!」


「なにより!!……なにより、あなたに死んでほしくない……!!」


「っっ!」


「……あなたは、違うのですか?ロレット……」


「……~~っっ!!くそっ……くっそぉぉぉぉ!!」





「……」


少し離れた所。布に包まれた遺体を前に、四砲手のレービルさんが膝を着く。


「馬鹿者……。貴様は私の活躍を記録に残さねばならんのだぞ……!!」


「レービル……」


「……」


「レビィ……」


綺麗なまま、布に包まれる間もなかったのか、安らかな顔で横たわるキースさんを前に、レビッチェルさんが呟く。


「……あんたらしいわよね。最後まで人を助けてたんだってね。……けどね」


その目から、一滴の涙が溢れた。


「自分を大事にしなさい。そう言ったわよね……っ!?」


「……レビィ」


「……皆無事、とはいかないか」


「レーちゃん!!大丈夫だった!?」


「うむ。……姉上、無事で良かった」


「……前皇帝はどこ?」


「父上と言ったらどうだ、姉上。……敵の襲撃に遭い、療養中だ」


「!!」


「幸いにも命に別状はない、との事だ。気に病む必要はないぞ、姉上」


「っ!?べ、別に心配なんて……!!」


「ふふ。……皆がそうであれば、どれほど良かったか」


「……」


四砲手の方々が悲壮に包まれる。一方、ゲンさんの昔馴染み、ナヴィスさんが一人、国の方へ歩き出した。


「どこへ行く気だ?」


「戦の対局はついた。そうは言っても小競り合いは止まらんじゃろうて。雑兵同士の諍いを止めてくるだけじゃ」


「……何故お前がそこまでする?」


「少々頼みたい事があってのう。この国を変えおった者共に。これはその前金、というやつじゃ」


「…………」


ナヴィスさんが翼をはためかせ、国の方に飛んでいく。……。


「放っておいて大丈夫なんでしょうか?」


「全面的に信用した訳ではない。が、嘘をつくような奴じゃない。今言った事以外はしないだろう」


「……」


「それよりもハドソン。被害の全容は?」


「……現状まとめている最中です。が、家屋の倒壊などが今までの比ではなく、味方の死傷者も民間と兵を含め千はいくかと……」


「……。そうか」


「…………」


「そんな顔をするな、ハドソン。……皆、分かってたはずだ」


「……」


「あの人数差で勝てたのだ。四砲手、そして剛健殿がいなければこちらが全滅することすらあり得た」


「……けれど」


「戦とはそういうものだ。得る物は少なく、失う物は多い。そして権力者はそれに気づかない」


「……」


「……四砲手達も、そしてフウヤ殿達も。その覚悟はあったはずだ」


「……」


覚悟はあった。確かにそうかもしれない。ううん、きっとそうだ。望みながら覚悟をしていたんだろう、あの人は。――それでも。


「……なに、あれ」


『!!』


レヴィさんがそれを見、震える。同時に全員が目撃し、半数は構え、半数はレヴィさんと同様に震えた。


「な、なんだあれは……!!っ、どうしたレヴィ!姉上!」


「……わかんない?陛下」


「っ?」


「なんて、魔力量……!!」


「……私よりも上、とは……!!」


「!!」


全員が畏怖ないしは戦闘態勢に入る中、国の中央に浮かぶ人間の形をしたそれは、遠く離れたボク達にも聞こえる不思議な声でこう言った。





『――恩返し。ボクがキミ達を、助ける番』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ