表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/74

天神

「……ふふ。はっはっは。やはり、さすが私の孫だ、フウヤ。……いつから気づいていた?」


「……。ディブトーニの牢屋で会った時は何にも疑問に思わなかった。胡散臭いとは思ってたが、姿はオレの知るじいちゃんじゃなかったし、あの時はそんな事勘繰る余裕もなかった。……けど、追われる身から解かれて一息ついてた時、アンタがいなくなった事を知って、その時に初めて疑問を抱いた。……トドメはミレンの前にも現れた時。オレ達の前に忽然と二回も現れ、その二回とも忽然と消えた。……敵じゃない。敵だったらとっくにオレ達を潰してる。味方でもない。味方ならそんなコソコソする必要はない」


「……なるほど。続きを」


「敵でも、味方でもない。なら“中間”だったら?最初のオレ達の目的はディブトーニを救う事、二度目にアンタと会った時の目的はレーテリアとディブトーニの戦争を止める事。そして三度目、グゲンで会った時、オレ達の目的は裏で戦争を起こそうとしてる奴らの画策を止め、ハルちゃんとサウルちゃんの母親を助け出す事」


「……」


「これら国家間の諍いの中間にいる存在なんてまずない。いや、他国の人間ならそれに当てはまるが、わざわざオレ達の前に現れる必要なんてない。……オレ達の前に現れる必要があり、中間的存在。考えた時に浮かんだのが痴神の存在。そしてじいちゃん、アンタだ」


「……」


「元々、じいちゃんは変人だった。どこか突飛な考え、行動。覚えてるようで覚えていないのがいくつもあるけど、その中でもハッキリと覚えてる言葉がある。人を救え」


「……」


「違和感がバリバリあったのを、今でも強烈に覚えてる。そしてじいちゃんは、死んだ」


「うん。悲しんでくれていたのを覚えてるよ」


「うん、めっちゃ悲しんだ。けど……死んでない。そんな変な気持ちもずっとしてた」


「……」


「ふと、考えたんだ。もしじいちゃんが生きてたら?いや、厳密に言うなら神として行動していたとしたら?妄想だけはめっちゃ得意だから、戦いの合間に何度も現れる老人について考えた時に、さっきの考えに至った。ミレンには笑われたけどな」


「……」


「人を救え?人の為になるとか、人を助けろとかじゃなく?死んだ気がしない?なんで?……生前に疑問に思ってた事がすんなりはまっていく。すぐにオレは神と呼ばれる存在、天界という場所について記された書物を片っ端から読んだ。……痴神、主にオレ達の住む世界をまとめる神。天使、神々に仕える者達。冥神、神の中でも異端で自らの力の証明として世界を滅ぼそうと企み、幽閉された存在。そして、天神。そんな神々をまとめる唯一神。時折下界に現れ、自ら人々に救いの手を与えると言われる存在」


「……」


「天界に存在すると言われる規則も全部読み漁った。そして、驚きと同時に求めていた答えが得られた。――神々の祖、天神。それに仕える事で天神から地位を与えられ、天神が役目を終えたその時、代わりを務める者が現れた。その名は、カリミヤ」


「……うん、よく頑張りました」


「なーにが頑張りました、だよ。オレがそれらの本を読み終わった次の日には、それらの本が全部消えてたんだぞ。……その本も、アンタの差し金なんだろ?」


「さて、なんの事やら」


このジジイ……!!


「さて、本題に入ろうか」


じいちゃんが指を鳴らすと、椅子とテーブルが現れた。


「これ、いる?」


「少し長話になるからね」


二人同時に腰かける。柔和で優しい笑顔を崩すことなく、じいちゃんが事実を突きつける。


「フウヤ。キミは死んでしまった。他ならぬキッシュちゃんの手によって」


「……だよな」


「冷静だね」


「慌ててほしかったか?」


「少しは見てみたかったかな」


「あばばばばば……!!」


「うん。やっぱりいいや」


くっ、かおす先生流はお気に召さなかったか。


「キミには二つの選択肢がある。一つ、このまま死んで意識を手放し、輪廻の輪に入る。記憶等は無くなってしまうが、新天地で暮らせる。キミの望む、たくさんの妹との生活も望めるかもしれない」


「……もう一つは?」


「今、ミレンちゃんがキミを蘇生しようと試みてる」


「っ」


「正確には現時点ではまだ、だけどね。今、あの世界の時間は止まってる。キミが死んだ瞬間でね」


「……」


「新天地で暮らすか、再び皆と共に戦うか。どっちを選んでも構わないよ」


「んなもん、オレの性格上どっち取るか知ってんだろ、じいちゃん」


「……」


「“どっちも選ばない”。それがオレの選択だ」


「……ほう」


「ミレンが蘇生しようとしてるって、多分ミレンの創造魔法で人を蘇生する魔法を、って事だろ?そんな貴重なのオレに使ったが最後、オレ、一生アイツの靴を舐めないといけない人生送っちまうぜ」


「……生き返る気はあるのかい?」


「勿論。だってオレ、まだ誰も救えてない。それにハルちゃん、サウルちゃん、そしてマナとの約束も果たせてない」


「……次は、今回よりも遥かに苦しい死に方をするかもしれないよ?」


「だとしても、オレは止まる訳にはいかない。……オレは止まらねぇからよ……!!」


「……。それで、ミレンちゃんに蘇生してもらわないとしたら、キミはどうやって生き返るのかな?」


んー、団長も流された。……頼む訳だし、おふざけは終わるか。


「それは、さっきの“どっちも選ばない”の答えにもなるかな。……じいちゃん、オレを生き返らせてほしい。アンタなら可能なはずだ」


「うん、可能だよ。……ただ一つ。たとえこのまま生き返っても、キミはキッシュちゃんには勝てない」


「……」


「キッシュちゃんに勝つには、キッシュちゃんの事をよく知らないといけない」


「……調べてはみてた。けど、分からなかった。この世界の人間じゃないから、情報源がなかった」


「だよね。だから私の方から特別サービス。キミにキッシュちゃんの過去を話そう」


「!」


「聞いてどうするかはキミ次第だ。聞くかい?」


「……お願いします、じいちゃん」


「うん。よろしい」


じいちゃんがその容姿を変える。無造作に伸ばし天然パーマ気味な髪。目はシュッとしていて、でもどこか優しげで。オレの知るじいちゃんの姿。


「この方がリラックスして聞けるだろう?」


「ああ。……懐かしいよ」


「私もだ。……これは地球上で、キミが死ぬ前のお話だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ