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ディブトーニ・レーテリアの専守戦 その6

――西地区、郊外――


「ちぃっ!うっとうしいわね、このっ!!」


「グガッ!!」


「どっかいって……ください!!」


「ゲギャッ!!」


西地区外れ。敵国の兵士が押し寄せていないこの場所で二匹の魔物が戦っていた。


「まったく、妾がこのように人間に奉仕するとはなっ!!」


「ゲギャッ!?」


「……ごめんなさい、姐さん。ボクのわがままで」


「いいよ。可愛い我が妹の頼みなら、たとえ大陸でも越えてみせるわ」


「……姐さん」


ゲーハ砂漠でレンド達と相対したサキュバス姉妹だ。


「にしても、魔物多いわね」


「大半が群れをなして行動していますね。……その群れはどうやら味方のようですが」


「ゲギャッ!」


「ふんっ!」


「ピギャッ!?」


「……喧騒に乗じてか、あるいはその敵兵が率いてるのか。人を襲う魔物もチラホラいるわね」


「その魔物達を退治して、少しでもあの人の役に立たないと!」


「なに、妾の妹。健気すぎるんだけど?」


「う、うわぁぁぁ!!」


「っ!」


少し遠くで住民の悲鳴が聞こえた。サキュバス姉妹は共にすぐに駆けつけ、


「ミ……ギェ……」


数匹の魔物を瞬時に屠った。


「あ、ありがとう……」


「礼なんていらないわ。今回は妾が妹のためよ」


「家に隠れていてください。危険です」


「わ、分かった。……魔物でもアンタ達みたいのもいるんだな。助かった!」


家屋に駆け込む男性。その男性を視線で追いながら姉サキュバスがポツリと呟く。


「……エネルギー貰えば良かったかしら」


「姐さん」


「わ、分かってるわよ。……可愛い妹のためにも頑張りましょう!」


「お願いします」


その後、この地区に現れる魔物を次々と屠るサキュバス姉妹。その活躍は後にディブトーニ・レーテリア共和国(仮)の上層部の耳にも届くことになる。




――南地区――


「妙な感じじゃのう、ゲン」


「……」


隻眼の兵士、ゲン。彼と共に戦う金髪の空飛ぶ美女は、楽しげに笑いながら魔物を使役していた。


「ぬう。答えんか、ゲン。わっちは寂しいぞ」


「……ああ。そうだな。妙な感覚だ。十数年前までは殺し合った仲だというにな。どういう風の吹き回しだ?」


「なぁに。ここに面白そうな輩が現れ、殺伐としたこの国を変えおったと聞いたからな。見に来たんじゃ」


「……彼はここにはいない。が、必ず戻ってくる」


「うむ。大体の事は聞き及んでおる。わっちの使い魔によってな」


愛おしく肩にいるリスのような、しかし尻尾が三又に分かれている魔物を撫でる美女。


「……流石、かつてはこの地区を脅かした吸血鬼、ヴィンシュトリム=ナヴィス。一度封印した程度でおいそれと隠居生活を送らんか」


「当たり前じゃ。いつの世も、真に人間は面白く、愚かな生き物じゃからのう。貴様ら人間みせものが滅ぶまで隠居などするものか」


「っ!!」


ゲンの刀が横に一閃、振り切られる。ナヴィスの横顔すれすれに刃は止まっていた。


「……過ぎた言葉であった。謝罪する。じゃからその矛を納めよ」


「……」


凍てつく程の殺気と剣を仕舞い、眼前の戦況を見るゲン。


「いかんのう。久々に人間と話すもんだから、ついつい口が滑る」


「……確認したいことがある」


「なんじゃ?」


「……お前の立場は、変わらないままか?」


「……ふっ。戯れ言を」


戦塵から飛び出してきた敵兵十数名がナヴィスの前に現れる。――瞬間、ナヴィスはその敵兵全てを気絶させ、


「今も昔も、情勢が変わろうとも。わっちの立場は――――人間の敵よ」


戦塵へ、嬉々として向かった。

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