ディブトーニ・レーテリアの専守戦 その2
「ヒャッハァァーー!!皆、業火に焼かれちまえー!!」
「……業火はダメ。……火祭りくらいで」
「……それはそれでいいのか?」
「オー、イエー!!他でもないスリーピィーちゃんの頼みだから、ちょっぴ火ぃ弱めるぜェー!!」
「っ!~~!!」
「……スリーピィー。大丈夫か?顔が赤いぞ」
「な、なななんでも……」
ミレン殿の残していったゴーレムが着実に敵兵を無力化していく。やはり個性的な性格だが性能が優れている。中でも、
「ムフー。……まだヤられてない奴はいないか?」
「ひ、ひぃっ!!」
「お、そこにいたか……」
「お、お助けを!!」
「そうだなぁ……後ろ向け」
「ひっ!?……イヤだぁ~~!!」
「逃がさんぞ……!!」
「……」
一人、いや何体も同じのがいたな。あの名前を呼ぶのも躊躇うゴーレム達が辺り一面の兵士の戦意を削いでいる。敵味方問わず。
「地獄絵図、ですね」
「ああ……。ハドソン、手はず通りにしてくれたか?」
「ええ。……すみません。今まで隠していて」
「いや、いい。よく話してくれた」
「……あの、この事は彼女にも?」
「ああ、話してきた。……どうするかはあの子が決める事だ」
「…………」
「たっ、大変です!!」
ハドソンと話している最中、兵が駆け込んできた。
「にっ、西地区にてレールさんが……!」
「なっ……!」
「失礼します!東地区、レミール氏達が敵に包囲されました!!援護を!」
「そ、そんな……兵なんてもう足りない……」
「……っ!!」
舌を噛みきりたくなる歯痒さと無力さが打ち寄せる。が、そんなことをしている間などない。
「ハドソン、残りの兵を率いて東地区に加勢を!私は西地区に……!!」
その時、翼音が聞こえた。
「お困りのようじゃな。手を貸そうか?」
「……お前、は」
「久方ぶりじゃのう、ゲン」
昔の馴染みが、そこにいた。
――北地区――
「あぁ、くっそウゼェ!!」
「っ!!」
七紅魔の二人、ロレットとクミルが優柔剛健と激戦を繰り広げている。
「その魔法、いい加減消えろよぉっ!!」
ロレットの闇魔法、暗黒消失が放たれ、剛健の魔法を打ち消さんとする。が、
「っ!くっ!」
それを避け、逆に攻勢に回る剛健の一撃を、クミルの使役する水竜 レータニアが防ぐ。
「水竜暴風!」
凄まじい程の水流が暴風に乗って前方を吹き飛ばした。
「何してやがるてめぇら!!」
「ろ、ロレット様……!」
「てめぇら棒人形か!?突っ立ってないで斬りかかれ!」
「しかし、我らの突け入る隙などありません!」
「レベルが違いすぎる……!」
「っこの……!!」
「待って、ロレット」
剛健と距離を取り、ロレットを制すクミル。
「っんだよ!!」
「この場においての最善策は、私達二人で彼の魔力・体力を減らし、疲弊した所を兵士にやらせるのが一番です。一時の感情で優勢なこの現状を崩さないで」
「……。わぁった」
「いきましょう」
「ああ」
「水竜よ、我の望みを聞きたまえ……」
「暗黒が世を、海を、天を統べる。すべての嘆きは力に変わる……」
「……」
「水竜排撃!!」
「暗黒排撃!!」
水竜と闇の力。その二つが重なり、剛健を襲う。
轟音が大地を揺らした。




