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ゲーハ砂漠の魔物 その4

砂塵が舞い、疲労が重なり、口数が減る。そうして4時間強歩いていくと、目の前の砂塵が少し晴れ始めた。


「お、出口が……」


希望を与えられ、それを奪われる。その時の顔が最高だとか、どこぞのファンサービス野郎が言ってた気がするが、今のオレらがまさにそれだった。今度、アイツのスレ立ったら罵っとこう。


ライオンの鬣、シーサーの顔、ゴリラの体、尻尾は馬のそれを巨大化したもの。魔物に詳しくないオレでも分かる。合成獣キメラだと。


「き、キメラ……こんなものまで」


……こんなもの“まで”?


合成獣キメラは厄介だ。色んな攻撃手段がある。みんな気をつけて」


「あのさ、ここはオレに任せてくんない?」


「は?なんでまた」


「ちょいとな」


「あー、分かった。アンタ、一人なにもしてないどころか、モンスターに食べられてるからちょっと活躍したいんでしょ?」


「言いにくいことをズバズバと言ってくれてサンキュー。くたばれくそ年増」


「そっかー。生きて帰ってきたらホモ・ゴーレム50体ぶつけてあげるわ」


「理不尽すぎんだろ。……ま、いいや。行ってくる!」


「あっ、おい」


「止めてもムダだよ、レンドくん。フウヤくん、一度決めたら考え変えないから」


「……仕方ない。ヤバそうな時に備えて銃だけ準備しておくか」


「私はコイスさんの護衛しとくわ」


「す、すみません」


「……コイスさん。あなた、もしかして」


「は、はい?」


「……。ううん、なんでもない」




さって、後ろで何やらやってますが、一丁頑張っていきますかね。国宝と謳われる刀の力も見たいし。


「じゃ行くぜ。新しい相棒」


鞘を抜き、まず距離破壊ディスタンス・デストラクションで一気に距離を縮めようとしたのだが、


「っ!!」


咄嗟に嫌な気配に気づき、魔法を取り止めた。それが吉だった。


「グガァッ!」


なんか真っ白な光が轟音を立てて奴の前に稲妻のように落ちた。距離を取り、砂埃がやむのを待つ。


「うわー……命拾いした」


奴の前の砂が焦土と化していた。……怖っ。


「せこい真似なんてしてないで攻めろってか?分ぁったよ!」


真正面からまっすぐ突っ込む。奴はそのまま口をこちらに大きく開け、


「グォッ」


真っ白なブレスを再度放った。


「霜月流剣華、凪の型――釈花空乱しゃっかくうらん


避けよーかとも思ったけど、後ろにアイツらがいるんで、まっすぐ斬って消滅させる。


「ふっ。またつまらぬものをぶべっ!」


ドガッと真横からなにかがぶつかりへの字になって吹っ飛んだ。


「ってて……なんだ?」


「グルゥ……」


合成獣キメラの方を見れば、尻尾が大きく揺れていた。


「あー、なるほど。ズルして近づくな。まっすぐ近づくなって奴ですか。ワガママだなぁ」


「グルァウ!!」


ライオンの鉤爪が襲いかかり、刀で対抗する。が、


「ごはっ」


「フウヤ!」


あえなく吹っ飛ばされた。


「ってて……。ヤンチャだなぁ」


「アンタ、遊びも大概にしとかないとやられるわよー」


遠くからミレンが呼び掛ける。いや、ずっと全力だよ、オレ?いやまあ、様子見してたとこはあるけど。


「グルゥ……」


「……悪いな。そろそろ終わらせるぞ」


多分、コイツにこれ以上厄介な技はない。なら、これで終わりだ。


刀を右肩の上に構え、突きの姿勢を作る。オレの殺気を感じたのか、距離を取るキメラ。ああ、正解だよ。普通・・ならな。


「霜月流剣華、五の型――牙突竜華がとつりゅうか


右肩の上から真っ直ぐ斬撃を放つ。通常の斬撃なら離れた相手には届かないが、


「グルッ……グルゥオ!!」


この技は離れた相手にのみ効果を発揮する。斬撃の波に乗った竜が奴の胴体に噛みつく。


「グルッ……!」


だが、離れすぎてるため威力は大したことない。ああ、分かってるさ。そっちは囮だからな。


技を放った瞬間に、既にオレは動き出していた。目測10mってところでキメラが近づくオレに気づいた。


「グルゥッ!!」


ブレスを放つ。今度は後ろにアイツらいないんで、普通に避ける。さすがオレ、反射神経マジパないっすよ。


「グルァッ!!」


「残念ながらそっちも読んでんだよ。……お前、オレがただやられてると思ったな?」


「グルッ……グガァッ!!?」


異変に気づいた時にはもう祭りの後。奴が振り回そうとしていた尻尾は既に微塵切りになっていた。


「気づかなかったろ?霜月流剣華、六の型――静流撃華せいりゅうげきか。動いたら斬れるおっそろしい技さ」


「グルァッ!!」


「そして、これが最後だ。霜月流剣華、七の型――罰朱一華ばっしゅいっか


素早くキメラの胴体をクロスし、切り裂く。そのままキメラは地に沈んだ。


「……ま、相手が悪かったと思って諦めてくれや」


「フウヤ!」


レンド達が続々と駆けつけてくる。もう徐々に恒例化し始めてきて若干恐いアキハねぇのハグを受けてると、レンドが尋ねた。


「……気絶してんのか、アレ?」


「いや、死んでるよ」


「え、でも外傷って尻尾だけ……」


「外傷はな。中の心臓だけを思いきり切り裂いたんだ」


「なにそれエッグ」


「それ、オレも思う。強いのは確かなんだけど……惨いからあんまやりたくないんだよな」


「なんでそれを今やったのよ……」


「魔物だからいっかなって。あと、オレを尻尾でぶっ飛ばした時に勝ち誇ってたのが癪に障った」


「なんて蛮族的な考え方……」


「同族を残酷な殺し方した奴がよく言う」


スッと後ろに気配。……砂塵が収まってる、だと……?


「よーやくフラストレーション解放できるわー。ホモ・ゴーレム、遠慮なくやっちゃいなさい」


「久しぶりのメシだぜ、へっへ……」


「あの、ホモ・ゴーレムさん。目据わってません?あの、いつもより恐怖なんだけど、今日はそれ以上というか身の毛がよだつというか……」


「最近、獲物がいなかったからなあ……。食べ飽きた食料もご馳走に見えるってもんだぜ……」


「あー、なるほどね。……いやぁぁぁ!!」


「はーい、コイスさーん。あっち向こうなー」


「一部の人以外には目に毒だからね」


「な、何が起きているのですか?」


「んー……折檻?」

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