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ゲーハ砂漠の魔物 その1

各自、少しの間の別れの挨拶を済ませ、レーテリア・ティブトーニ共和国(仮)を出立した。


え、オレ?何で生きてるのかって?変態紳士は死なない種族だからさ(キラーン)。


いやまあ、危なかったけどな。◯◯◯◯を◯◯◯された時はどうなるかと……話題転換。トラウマを思い出してはいけない。


出立時にはいいと言ったのにまた派手な見送りをされ、レール達には今後のことについてめっちゃ注意された。


それと、今まで(勝手に)使っていた隻眼のおっさんの剣は遂に回収された。是非もないよね。


代わりにディブトーニの国宝の一つという真剣「カラブサ」を貰った。まあ、この期間だけだけど。勿論戦いが終わったら返します。がめたりしません。したいけど。


そこら辺の描写は長くなりそうなんでカットし、道中の旅路も大幅にカット。特に何も無かったし。


出立して10日が過ぎようとした頃、目当ての場所付近に来た。


「遂にだな……」


「ちょっと何、この砂塵」


ミレンの言う通り砂塵が舞い、前の視界が見辛いことこの上ない。


「年増、聞いてなかったのか?ここがクラットス前にある難所、ゲーハ砂漠だ」


「聞いてたわよ!……こんなに酷いと思わなかっただけ」


「だねー。すごい見辛いし、スカートが舞っちゃう。……見ちゃダメだよ、フウヤくん」


「あ、うん」


「……。フウヤくん、知ってる?皇帝になったら一夫多妻制も採用できるんだよ」


「ヘー、ソウダッタノカー」


「一夫多妻制は置いといて。……気を付けろよ、皆。ここには魔物がいる」


「魔物って、この間のゴブリンとか?」


「ゴブリンも魔物だけど、アレは低級だね。ここにいるのは中級以上……噂だと、合成獣キメラやトロール、ドラゴンを見たって言うのまである」


「詳しいのね、レンド」


「一度来たことあるんだよ、この国に。その時には七紅魔なんてのはいなかったけど」


「じゃ、この国の内部とかも分かるのかしら?」


「知ってるけど……あれ、言ってなかったっけ?」


「三日前に説明してたぞ。これだから年増は」


「砂塵が巻き起こってなかったらホモ・ゴーレムけしかけてたわ」


命拾いしたー。


「続きはこの砂漠を抜けてからにしようか。とっとと抜けないと夜になる」


「夜の砂漠は氷点下だからね」


「…………」


「どうしたの、フウヤ?」


「……聞こえる」


「何が……まさか魔物の声?」


「違う、この声は……」


きゃあぁー……。


「幼女だぁぁ!!」


「アレスタ・フォートレス、空洞ホール


「すべがらぐっしゃあ!!」


駆け出した瞬間に地面が沈没した。……年増ぁ!!


「何さらしてくれとんじゃ年むぐぁっ!!」


チョーク突っ込んで黙らせやがった!……チョークは食べ物じゃありません!チョークで遊んじゃいけません!


「もう敵地の近くなのに、本能のまま一人で突っ走ろうとするから止めたんでしょうが」


「大丈夫。一人で突っ走っても、みんな着いてきてくれるって信じてる!」


「なんて信頼のされ方だ……」


「とにかくミレンちゃんの言う通りだよ、フウヤお兄ちゃん。行くなら皆一緒にだよ」


「止めてくれるな、アキハねぇ。オレはあの幼女を果敢に颯爽と助けるヒーローになりたいんだ」


「じゃそのヒーローは置いて向かいましょうか」


「待って、助けて。この穴、蟻地獄みたいになってて、さっきから動けないの」


「そこで永久に眠りなさい、変態」


「MA☆TTE!オレをここで葬るのは大きな戦力の欠損だ!そうなったらオレの愛する幼女達は……どうなる!?……アレ、声聞こえない?まさかマジで行った?え、ウセやろ……?年増ぁぁ!!」


――……。


これより地の文は突如としてどこからか現れたナレーターが担当することをご了承ください。


「置いてきて大丈夫だったのか、フウヤの奴」


「大丈夫よ、変態だもの」


「答えになってないよ、ミレンちゃん……」


「でも大丈夫なのは確かだよ。フウヤくんだもん」


「アキハさんも答えになってないっす……まあ、二人が大丈夫って言うならいいけど」


「それより……この辺かしら?フウヤが聞いたって言う声が聞こえたの」


「多分そのはず……っ、あそこ!」


レンドが目にしたのは魔物に襲われてる幼女……ではなかった。分類的には魔物、しかし見えるのは両者・・だった。


宙吊りになる幼女の姿をしたそれは力なくぶら下がる。が、それは疑似餌にすぎない。本体は奥だ。


深海魚のように白く妖しく光る目。大きく上に上げられた左手は疑似餌と繋がっている。右手はこの疑似餌に釣られた哀れな獲物を捕らえんと待ち構えており、大きく開かれた口は獲物を捕食するのを心待ちに子弟る。


足や胴体が存在しないそれは、細く長い腕と巨大な頭で構成された不気味な生物だった。


「なっ……なによあれ、気持ち悪っ!」


「近づいちゃダメだよ、ミレンちゃん。レンドくん」


「ええ、分かってますよ。……あの女の子は疑似餌だ。その姿をしているだけで本物の女の子じゃない。……中級魔物、グラップスイーター、別名ロリコンホイホイだ」


「その別名、なに!?」


「いや、由来が暗い森をさ迷った多くのロリコンを食べ尽くしたことからで」


「まんまじゃないの!!」


「とにかく、フウヤいなくて良かったわ」


「間違いなく突貫してたもんね」


「変態が来る前に片付けましょ」


「バリスタ・フォート、グレネード・ランチャー!」


「アレスタ・フォートレス、サウザンド・ブレード!!」


レンドの銃器による大量乱射、ミレンによる千本の斬撃。それらを受けたグラップスイーターことロリコンホイホイはもう間もなく絶命する程瀕死に追いやられた。……そう何もなければこのまま死ねたのだ。彼が現れなければ。


「なっ……何してんだお前らぁぁーー!!」


「フウヤ!?」

「フウヤお兄ちゃん!?」


ロリコンホイホイを庇うようにミレン達の前に立ち塞がるフウヤ。彼はそのままこう宣った。


「幼女に手を出すなんて……お前らそれでも人間かぁ!!」


「聞きなさい、フウヤ!そいつは……!」


「だぁまらっしゃい!見ろ、この幼女を!お前らのせいでズタボロだ!号泣してんじゃねぇか!!」


「……?」


何が起きている?と言わんばかりに困惑するロリコンホイホイ。勿論のことだが、悲鳴こそあげど、号泣はしていない。


「……な!」


「何も言ってないし、泣いてもいないわよ、ソイツ!」


「オレには分かる……!彼女の心の叫びが。ほら、オレが助け」


幼女の姿をした疑似餌に優しく笑いかけた瞬間、ロリコンホイホイの大きな口がフウヤを頭から丸ごと飲み込んだ。


「フウヤ!?」

「フウヤ!?」


ミレンとレンドが叫ぶ。……一方で様子が変わった人物が一人。


「ねぇ、アナタ……」


「?」


「私の弟に……フウヤくんに何をしてるのぉぉぉ!!!」


真正面から向かって走るアキハ。ミレンとレンドの制止も聞かずに走る。


「グモォ」


消化しようとしてるのか、口にフウヤを含みながら相対するロリコンホイホイは、長く細い腕をアキハに振り下ろす。


「……?」


しかしそこに、アキハの姿はない。


「フウヤくんを……!」


「グモォ!?」


「返せぇぇぇ!!!」


この少女のどこにこんな力があるのか。彼女は武器も魔法も一切使わず、素手で体長10何mとあるロリコンホイホイの体を宙に打ち上げた。


「グモッ……ゴパァッ!」


「ぐはっ!」


吐き出されるフウヤ。どうやら無傷のようだ。だが、フウヤに手を出された事に怒り心頭の彼女は、


「地獄に……堕ちろぉぉ!!!」


「グキッ……グガッ!!」


どういうカラクリでこの現象が起きたのか。皆目検討のつかない私ではありのままを伝える事しかできない。


宙に打ち上げられたロリコンホイホイと同じ高度にジャンプしたアキハは、そのまま回し蹴りを決めた。本来的ならそのまま飛んでいくはずだ。が、今回は違った。


ロリコンホイホイは身体の内側に爆弾を埋め込まれ、そのまま起爆したように空中爆散した。辺りに飛び散るロリコンホイホイの体液。これはSAN値チェックものではないだろうか。


「……」

「……」


呆然と見つめる二人。一番体液を浴びたアキハは一瞬、しかめ面をした後に、


「フウヤく~ん!」


「ぶべぼぉっ!!」


フウヤに突撃した。


「良かったぁ。フウヤくん生きてた~!!」


「……あの、アキハねぇ」


「フウヤく~ん!!」


「まったく。危ないところだったのよ。アキハさんに感謝なさい」


「いやあの、何が起きたかサッパリなんだが……さっきの幼女は?」


「フウヤ。あれはグラップスイーターっつってな。魔物の一種で」


「幼女は!?」


「……」


ダメだコレ。そう思ったレンドは、自分の服に飛び散った体液を指す。


「…………」


「フウヤくん!?」


レンドのジェスチャーの意味を悟った彼は気絶した。……もっとも、彼はすぐに意識を取り戻し、レンド達に詳細を聞いて立ち直ったが。


以上、どこからともなく現れたナレーターでした。

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