血塗られた場所
ミレンのあまりにマヌケな発言で、まあ対応が少し後手に回ってしまったが今後の目処は立った。すぐさまオレ開発の通信機を通してレーテリアに知らせる。この国の他の街には兵が早馬で伝達。
魔法の行使予定は二日後。と、少し間があるんで、ある場所に赴く。
「…………」
ゴーレムを配置できず、ゴブリン共が侵入してきた場所。
「…………」
目を瞑り、違和感を感じ取ろうとするが……やっぱダメだな。そんなスキル、オレにはないし。
「イヤな場所じゃのう……」
不意に聞こえてきた声で目を開けると、隣に白い百合を持ったじいさんが……確か。
「ゲシュタ=イルトさんだったか?ここで何を……」
「お参りじゃよ。好んでおった訳じゃないが、花くらいはな」
そっと花を地面に置いたゲシュタはオレに向き直る。
「昨晩はご苦労じゃったのう。お陰で助かったわい」
「……。アンタ、ここについて何か知ってるのか?」
「……ああ。知っとるのは最早ワシだけかもしれんのう。この場所じゃよ。野心から戦争を起こした発起人、元祖とも言うべき三十四代皇帝、シャウリーヤ=ハウゼーニがクーデターで死んだのは」
「っ!」
「跡継ぎとなる三十五代皇帝シャウリーヤ=ディゼスタンによるものじゃった。彼もハウゼーニに触発され野心を抱き、父を殺した。国を征服し、周囲の国をも自分のものにせんと」
「……」
「それ以来、この場所には不穏な噂がやまぬ。亡霊を見た等と言う者もおる。そういった不穏な噂で、あまりこの辺に住人が住んどらんかったのは不幸中の幸いなのかもしれんのう」
「…………」
「すまんな、何かの邪魔をしたか?」
「いや、逆だよ。貴重な情報、ありがとう」
「ほっほっほ。長年生きた故の知識じゃわい。少年も長生きせぇよ」
ゆっくりと立ち去って行くゲシュタ。……長生き、か。
「できるようにするためにも、一丁頑張りますか。“現実破壊”」
パリィンと割れるような音がした。オレが居るのは紫色のぐにゃりとねじれたような空間。空間の外にはさっきまでいた場所が広がる。これ、何て言えばいいのかな……あの世と現実の境目的な?
「おぉ……おぉ……!」
そこに立ち塞がっていたのは、ゆらめく炎のように儚く、強い執心を持ってると主張したげな険しい顔つきのガイコツ。……いや、ホントに険しい顔してんのか分からないけど。
「……亡霊、か。なぁ、アンタがこの――」
「ゴアッ!!」
紫色の炎のような何かがガイコツの手から放たれる。……が、的外れ。
「警告か?出てけ的な。……悪ぃけど、知りてぇことがあんだよ」
「ゴアッ!」
ダメだ、話通じねぇ。……けど、どうやらコレが元凶だな。コレさえどかせば、あるいは……!
「ゴアッ!」
遂に狙いに来たな。上等だ!そのまま成仏させてやる!
「単体崩落!」
……!ダメだ、消えねぇ!
「くっ!」
辛うじて避ける。……掠った髪がパラパラと焦げた。当たったら終わりだな。
「霜月流剣華、一の型――艷花緑光」
8の字に印を刻み、レンドの時とは異なり容赦なく分解する。
「ぁ……」
綺麗に細切れになったガイコツはそのまま消滅……。
「……」
「おぉ……おぉ」
「……しねぇか。どうすりゃ倒せるんだ、コイツ?」
「ごぉっ!」
「ちっ……!」
「ごぉっ!」
「くっ……れ?」
ヤベ、足つった。
目の前に紫炎が迫る。……オレの二度目の人生、ここまでか。
「させませんっ!守護防壁!」
ガキィン!!
諦めたその時、眼前に迫っていた紫炎が弾けとんだ。……これは。
「大丈夫ですか!?」
「あ、アンタは……?」
「私の名前はウィン。あなたを助けに来ました!」
突如現れた人物は、白髪の小柄なショートカットの女子。そして背中には羽が生えていた。




