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その者、牢屋に在り

コンテストから二日経った。夜通し行われる祭りも今日で最終日。様々な催しも全てつつがなく終わっている。


「フウヤくーん、どうして私に入れてくれなかったのぉ~!!」


「…………」


「フウヤくん、小さい時はお姉ちゃんお姉ちゃんって着いてきてくれたのに……もうあの頃には戻れないのぉ~!!」


「アキハねぇ、なに飲んでんだよ!?こっちじゃ未成年だろ!?」


祭の終了エンディングを迎えようと真ん中の広場に集まってる。するとアキハねぇが泥酔していた。


「ぐすっ……。飲んでないよ。ジュース飲んだだけだよ」


「雰囲気酔い!?」


「フウヤくーん、ずっと一緒に居てー!!」


アキハねぇは飲むと泣き上戸になる。ある程度泣いたらそのまま寝るんだが、それまでの相手が面倒だ。


「フウヤさん、濡れタオル持って来ましたよ」


「っハルちゃーん!フウヤくんが、フウヤくんがー!」


「はいはい大丈夫ですよー。……アキハさんにこんな一面があるなんて思ってもみませんでした」


「ウチの妹(?)がすまない」


「いえ、大丈夫ですよ」


中央に設置された組み木に火が灯る。やっぱ祭といったらコレだよな。キャンプファイヤー。


少し離れた所でミレンとレンドがイチャイチャしてる。けっ、リア充が。


「……フウヤさん。ありがとうございました。本当に国を救ってくれて。……まだお礼、言ってなかったので」


「……まだ問題は残ってるんだけどね」


「……その問題はきっともう、私にとって些細なことです」


ハルちゃんが遠くを見つめる。その先にはばか騒ぎしてる人々。


「フウヤさん達が来るまで、この国がこんなに楽しいなんて思えませんでした。……この国の人達が、こんなに笑えるなんて思ってもみませんでした。……まだ問題は残ってると、フウヤさんは言いましたが、この国の人達なら……この国の人達をこんなに楽しませるようにしてくれたフウヤさん達と一緒なら、何も怖くありません」


「…………」


「って、ごめんなさい。その問題を解決しようとしてくれてるのに、こんな……」


「ううん、そんなことない。……確かにそうだ。みんなとなら、何も怖くない」


「フウヤさん……」


「ところで、さっきの発言は告白と受け取っても?」


「ダメです」


「ちぇー」


「ふふっ。……あ、友達が呼んでますので、ちょっと行ってきますね」


「カリットちゃんとサヴェズダ=マキニちゃんか」


「……名前、覚えたんですか?」


「モチのロン。今度写真撮らせてもらうよって伝えてほしいな」


「フウヤさんがカメラ構えたら逃げるように伝えておきますね。それじゃ」


ぐすぐす、ハルちゃんってば……。……さて、と。アキハねぇも寝てるし、行くか。


「どこか行かれるのですか、フウヤ様?」


立ち上がったタイミングでマナが現れた。


「まあな。ちょいと野暮用だ」


「私も着いていって構いませんか?」


……野暮用っつってんのに。やれやれ。


「いいが、一つ条件がある」


「条件?」


「今から行く先で起きたこと、話したことを誰にも話さないでくれ」


「それは構いませんが……」


「よし、交渉成立だ。行こうか」





「フウヤ様、ここは……?」


マナを伴って来た場所。そこは牢獄。


「……前の皇帝たち、重罪を犯した奴らを閉じ込めた牢獄だ」


「な、なんのためにこのようなところに……?」


「確かめたいこと、訊きたいことがあってな」


コツコツ、と靴音を響かせて連なる牢獄を突き進む。


限りなく奥深い場所にある牢獄の一つで立ち止まる。


「フウヤ様、この方って……!」


マナの問いかけに答えず、牢獄にいる人物に話しかけた。


「ずっと疑問だったんだ。なんであの時、アンタはハルちゃんに攻撃しなかったのかって」


「…………」


「最初はアンタもロリコンなのかと思った。けど違った。アンタの周囲からはそんな話は聞けなかった。実直で堅物。酒もタバコもギャンブルもしない、真面目な人物だと」


「…………」


「……調べたよ、アンタのこと。そして戦慄した。アンタ、おっそろしく強いな。レンドや他の四砲手からその武勇を聞いたとき、愕然とした。アンタはあの時のオレらじゃ、まかり間違っても倒せない相手だった」


「え。で、でもフウヤ様達は実際のところ、勝ったんですのよね?」


「簡単な話さ。手を抜いてたんだよ。……オレ達が勝てるように」


「な、何故そんな……?」


「そう。オレもそれが気になってた。……で、突破口が見えた」


「突破口……?」


一枚の紙を取り出す。祭の前、ハドソンに調べさせていた物。疑惑を確信へと導く物。


「コレはアンタの経歴書だ。……巧妙なもんだな。経歴はめちゃくちゃ。真実が述べられているのは軍に入ってからだ。……それでも確かめたいことは確かめられた。……正式にアンタが軍に入ったのは10年前。同時期、ある人物が姿を消した」


「…………」


「ハルちゃん、言ってたよ。顔はもう覚えてないけど、父は温かくて優しく、家族想いだったって」


「…………」


「アンタ、ハルちゃんの父親なんだろ。









――三連凶が一人、優柔剛健」

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