6 実家に帰る為に
随分、お待たせしました。
…バイト云々は、自分の経験と、知人の経験を元に、組み立ててみました。
皆さんの職場環境が、快適であります様に。
あれから、次の日に、姉の携帯と家の電話の、留守番電話機能に、メッセージを残した。
「バイトを辞めて、実家に戻りたいと思っている。引っ越しの相談にのって欲しい。」
姉は現在、某企業の契約社員をしているとかで、すぐに連絡は来なかったが、早番の日の仕事上がりに、連絡をくれた。事情を話すと、離れて住んでいる家族全員に連絡を取り、瞬く間に引っ越しの日取りを決め、業者への手続きまで取ってくれた。
実家には、姉だけが住んでいて、両親は単身赴任とその付き添いで、地方へ。他の兄弟姉妹は、実家を出ていて、中には結婚している者もある。28歳の私には、羨ましい限りだ。
姉と話した次の日の朝、コンビニの店長には、今月いっぱいで辞めさせて欲しいと、頼んだ。
何と言えば良いか、分からなかったけど、前日にコンちゃんに聞いて、言う通りに店長に話した。
昨年末から今月にかけて、シフトは平均、週に一、二回しか入れていなかった。
週三以上働く契約で雇っているのに、約束を破っている。体調不良を理由に、欠勤・遅刻が続いている。
朝日に寝不足の目を細めながらオフィスに入った店長は、
「あんたは無責任だ。」とカンカンだった。
ところが、私が急に泣き出して、驚いていた。
そうですね、無責任です。
自分でも、ひどいと思います。
でも、ずっと前から、辛かった。
何かあったら、相談してくれと言ってもらえたけど、相談できる状態じゃなかった。
相談したかったけど、出来なかった。
皆も大変なのに、休みたいとは、言い出せなかった。
体力的にも精神的にも、もう限界だった。
とても、もう、頑張れない。
何なら、今日辞めたい位だ。
そもそも、本当に具合が悪かったのに、信じてもらえなかったのが、1番辛かった。
具合が悪いのに、休めない職場はおかしい。
大体、欠勤・遅刻のペナルティがあるとは言われたけど、どんなペナルティかは言われてない。
お給料をこんなに減らされたら、生活できない。
訴えれば勝てるけど、そんな事がしたいんじゃない。
バイトリーダーや、他のバイトさんは、ほとんど良い人達で感謝してる。
でも、一人だけ、問題のある人がいる。
休みの日に呼び出して、品出し等の手伝いをさせていた。
「困っている。」
と、言われたら手助けしなきゃいけないと、休みの日でも行った。
時々、電話で呼び出されて、お店に着いたら、そんな電話はしていないと言われる事もあった。
因みに、私の携帯の留守電に証拠が残っている。
店長の名前を出されて、
「来ないと辞めさせられる。」
と脅されたら、理不尽でも行くしかない。
怖かった。
辛かった。
今、日々のほとんどを、布団の中で過ごしている。
今日で辞めさせて下さい。
もう、無理です。
と、いう内容を、泣きじゃくりながら、一気に話した。
どうせ、辞めるんだ。
嫌われたって、もう構わない。
言いたい事を言おう。
店長は、驚いていた。
私が、感情的になったのを、見た事が無かった事。
そして、人の少ない深夜の時間帯前後に働く事が多かったので、まさか問題のバイトリーダーが、そんな事をしていたとは、思わなかったらしい。
他のバイトやパートさん、バイトリーダーとも、時間を見つけては、話をしていたらしいが、ここまでひどいとは、思いもしなかったらしい。
また、店長自身も、体調不良を押して働くしか無かったので、自分の居ない昼間の時間の管理が、出来なかった様だ。
自分が休めないのに、少し位の体調不良で休んでいると思っていたので、私の事を腹立たしく思っていたと、正直に話してくれた。
お互いに、言いたい事を、完全とはいかないまでも言えたので、私自身は、ほぼ満足だった。
シフトは、この日以降入れていなかったので、即日退職出来る事になった。
その場で、借りていた制服一式を返して、勤務の明細は、実家に郵送してくれる様に頼み、帰宅した。
帰宅するなり、布団に潜り込む。
『コンちゃん、私、疲れた。疲れたよ。』
『おう、頑張ったな! 偉いぞ! 偉い偉い! 』
『……うん、頑張ったよ。』
『おう、寝ろ寝ろ。後の事は、後で良いから。』
『うん、もう頑張れない……。』
『ーーいや、頑張らなくて良いから。寝ろ。な? 』
いつも以上に明るく、軽く声をかけてくれるコンちゃんの言葉を聞きながら、次の日の昼まで、眠った。
ありがとうございます。
お気付きの点がありましたら、ご連絡下さい。