閑話 コンちゃん、本領発揮する
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
ここは、私の夢の中。
和風の邸宅…の回廊をスキップしながら、やってくる者がある。
飛鳥時代の貴族男性の様な衣装、…絵本で見た乙姫様の男性版の如き、白く光る衣をまとい、長い白銀の髪を靡かせてやってくる。キツネ耳をぴょこぴょこさせて。
コンちゃん、である。
「ふんふんふーん! 」
鼻歌交じりに裾を上手く捌き、危なげ無くスキップをしていたが、庭へ下りる階段の前でぴたり、と立ち止まる。ニカッ! と笑うと、前にくるりと一回転しながら、庭に置いてあった履き物の上に飛び降りた。
「とおっ! 」
着地。両足は、ピッタリ履き物の中に収まっている。
「じっ点ゼロ、じゅっ点ゼロ、…百点満点! 流石、俺様! 」
カメラ目線の如く、こちらに決めポーズをして、神の庭に立つ。
「ふーむ。」
と、呟きながら、青空を見上げる。
「今日は、良い天気だなぁ。久し振りに仕事でも、すっかあ! 」
夢の中なので、私は話せない。
だが、恐らくここは神の国。
毎日良い天気であろう事が、何故だか分かる。
そして、コンちゃんは、毎日真面目に仕事をしているに違いないのだ。
どこまでも、ツッコミどころ満点のコンちゃんである。
「ふんっ! 」
と、力みながら空を拭うように、勢い良く左手を振ると、空中に白い紐のようなものが沢山出てきた。所々が繋がり、網目状になっている。
「ふーむ。」
と、またしても呟きながら、青空に浮かび上がった白い紐を眺める。
すると、キリリっと表情を引き締めながら、
「やってやるぜ…。」
と、呟く。そして両腕を胸の前で交差し、構えのようなポーズを取る。右手には、いつの間にか、植木剪定用の和鋏。どこまでも様式美を追求する、コンちゃんである。
すると、
「こっちとそっちは、チョッキンキン。こっちとあっちもチョッキンキン。そっちとあっちもチョッキンキン! 」
と、コミカルに歌いながら、紐を切っていく。
ある程度、切れたのだろう。満足げな顔で眺めると、
「またつまらぬものを、切ってしまった…。あ、つまらなくは無いけど。」
と、時代劇のヒーローの如く呟く。だが、失言であったらしく発言の後半は、真顔でカメラ目線の上、取り繕う。なお、植木鋏は、いつの間にかその手から消えている。
「ふーむ。」
また、青空に浮かぶ網目をじっと眺めると、
「あっちとそっちは、ピッタンコ。あっちとこっちも、ピッタンコ。そっちとこっちも、ピッタンコ。」
と、歌いながら紐の切れ目を、くっ付けていく。
その内、何やら気付いたらしい。
「あっ! 」
切れ長の目を、眇る様に、一点をじっと、見つめる。
なるほど、網目の中に、端が薄紅色に光るものが、ふたつある。
「ふーん。」
呟いてにっこり微笑むと、その薄紅色同士をくっ付けようとして、やめる。
「多分、…こっちだな。」
と、両手に持った薄紅色の両端を、蝶々結びにした。
すると金と銀に光輝き、まるで熨斗袋の水引の様になると、その後薄紅色に戻ったその紐の蝶々結びが、白抜きのハートマークを形作り、ハート自体も、薄紅に染まり大きくなってから、元の網目状に戻っていく。
コンちゃんは、グッと頭上に手を伸ばし、伸びを大きくしながら、その網目を眺めて、
「うーん。良い仕事したわ。俺様って、天才! 」
と後半叫びながら、またニヒルな笑顔でポーズを決める。
そして、ふざけた様子を解いて、穏やかな笑顔でこちらを振り返り、カメラ目線で、
「頑張れよ。」
と言うと、全体的に白く光りながら、その夢は消えていった。
「コンちゃん、新年早々、素敵な夢を見たんだけど…。」
『そうか、初夢か! 良かったなっ! 』
「あの夢って、何だったの? 」
『…お年玉だっ! 』
「…。」
『ちょっと! 無視してるんじゃないぞ! 俺様に、新年のご挨拶は? 』
「あけおめ、ことよろ。」
『…雑! 』
…今年もよろしくね、コンちゃん。
お読み頂き、ありがとうございます。
本編にしようか迷いましたが、お正月向けの話として、投稿しました。
今年も、マイペースですが、少しずつ投稿できたらと、思っています。




