14 としこさんとおしゃべり
ご無沙汰してます。
久々に投稿します。
「と、いうわけでね、何だか威張ってるから、つい、私も暴言吐いちゃって。」
「なるほどねえ、でも、コンちゃんも、わざと、やってるんじゃない? 今の話だと、真面目に話す時もあるんでしょ? 」
「うん、……やっぱり、わざと、かな? 」
「堅苦しく、崇めたてられるのが、あまり好きじゃないのかもね? 」
「うん、ご本人は、さ、
『俺様は、今時のナウい言葉を、重んじる! 分かりやすい方が良いだろ? 』
って、言うけど……そもそも『ナウい』って言葉がもうナウく無いし、現代風じゃないのよね。」
「やだあ! あはは。」
まさか、大声で、乳酸菌飲料の配達をしてくれてる人と、狐の神様の話で、玄関先で盛り上がっているとは、誰も思うまい。
彼女は、私が高校生の時からの、付き合いで、この国で1番有名な乳酸菌飲料の、配達員さんだ。
配達レディのとしこさんは、聞き上手でとても頭が良く、心優しい素敵な人だ。
一度だけ、そう誉めたらユーモアたっぷりに返事をしてくれた。元々性格がぼんやりしている私には、そのユーモア、反応の速さ、輝かんばかりの笑顔は、まぶしかった。
これだけ長く付き合いがあると、何処かしら欠点が鼻に付いたり、破綻したところが見え隠れするものだと思うが、初対面の頃と変わらず、丁寧な接客と明るく朗らかな笑顔は、本当に素晴らしいと思う。
配達中は、雨風や紫外線にさらされるはずなのに、薄化粧の顔には、シミ1つ無い。
お手本にしたい、少し年上の先輩、と言った存在なのだ。
彼女の様な美しいお肌を目指す為に、乳酸菌を摂取しようと、配達を続けてもらってる。お腹が弱いので、冬は常温に戻してから、飲んでいる。
K稲荷神社に行ってからというもの、自宅に居る時、限定で、話しかけてくる神様の御使い様がいるなんて、普通なら誰にも話せないはずだった。頭がおかしいと、思われてしまう。ところが、今日に限っては、ある事が切っ掛けで、話せる様になってしまったのだ。
「ねえ、今日、外出の予定は、ある? 」
彼女の配達日は、基本的に、平日に限られている。
なので、金曜日に配達に来てもらっていた。
としこさんの顔を見るだけで、楽しく週末を迎えられるのだ。
保冷バッグを玄関先に出しておけば、入れておいてもらえるけれど、彼女と話すのが、週に一度の貴重な時間なので、基本的に配達までは、在宅するのが、いつもの習慣だった。
「ううん、買い物は昨日したし、今日は家でのんびりしようと思って。でも、どうして? 」
「嘘だと思われるかも知れないけど、……会社の近くのA寺の門の上空でね、黒い渦巻きみたいな、黒い煙みたいなのが、見えたの。」
「本物の煙じゃなかった、って事かな? 」
「うん、怖がらせたい訳じゃないんだけど、朝、その煙みたいなのが見えた時に、A寺がある交差点で交通事故が起きたり、仲間の配達員が、側で転んだりしたの。仲間が転ぶ前に、
『今日のA寺は、おかしな感じがするから、近くを通る時に、気を付けた方が良い。』
って、注意したんだけど、バカなこと言ってるって、思われて。」
「あー、相手にしてもらえなかったんだね。親切で言ったのにねえ。」
「……分かってくれるの? 」
「長い付き合いなのに、知らなかった。身内に霊感ある人とかいたし、私も近頃、不思議な事があって、一言で言うと、狐が付いてきて。」
「き、狐憑き? 」
「あ、そっちじゃなくて。悪い狐の霊に、憑依された方じゃなくて……。」
と、K稲荷に行った話をしたのだ。
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