10 本屋にて
大変お待たせしました。
今年もよろしくお願いします。
自分の為に生きて良い。
自分が幸せになって良い。
家族も友達も他人の事も、その後考えれば良い。
だって、自分が幸せで満たされていれば、嫌でも
周りの人達に、
家族や友達に、
他人に、社会に、
……優しくできるのだから。
だから、まず、
自分を幸せにする事を考えて良い。
あなたは、自分を最初に幸せにする事を、
考えて良いのだ。
『うん、そう、これこれ。』
『これ? 』
『うん、この時代は、これで良いの。』
『この時代? 』
『あー、戦争がある時には、まず自分が生き残らなきゃ、いけないからな、嫌でも自分の事ばかり考えるだろ? 』
コンちゃんが言うには、戦争があると、人の気持ちが荒れる。
他人を押し退けてでも、生きていかないと。
だから、平和な時代にする為には、自分より、他人や社会を思いやる気持ちが大切だ、と教えた。
しかし、今の時代は、それが行き過ぎて、自分を疎かにしてしまう。
それでは、意味が無い。
自分を磨り減らす事なかれ。
自分を粗末に扱う事なかれ。
お前達は、神の作りたもうた宝物。
宝物の様に、己を扱うべし!
命を軽んずべからず!
『そしたら、自分と同じように、周りを大切にできるんだな。簡単だろ? 』
『……。』
『なーんーで、人間てのは、こう極端なのかな!? 』
『極端? 』
『真面目過ぎる奴と、遊びすぎる奴。あー、語弊があるな。言い直す。善人過ぎる奴と、悪人過ぎる奴。ゼロか100。』
『? 』
ため息を付いた後で、吐き出す様に続ける。
『普通で良いんだよ。必要以上に良い人ぶらなくていいし、本当の意味で自分を幸せにしようとすれば、犯罪なんてしなくて良いはずなんだよ。ありのまま。自然体。本当は、幸せになるなんて、楽で簡単なのに。』
『……。』
『あー、まあ、例外もあるから、そこは、俺達も頑張ってる、ってわけよ。分かる? 』
本のページをペラペラめくりながら、しばらく考えて、私は答える。
『それができたら、苦労しないよ。でも、さ。』
『おう! なんだ? 』
『そんな風に生きていきたいよ。これからは。』
『……うん。』
『嘘付くのも、見栄を張るのも、人目を気にし過ぎるのも。もう疲れた。』
『おう、やめなやめな。散々やって飽きただろ? 』
笑うのを完全には我慢出来なくて、口元が緩む。
数冊の本を手に取り、レジに向かいながら、応える。
『うん、もう、良い人ぶるの、やーめた! 』
『おう、よくやった! それでいいよ。』
そして、会計をしようとレジ店員の前に立つと、名字を呼ばれた。
「……様? 」
「? はい。」
……おかしい。
クレジットカードはまだ出していない。
何故この店員は、私の名前を知っているのだろう。
男性店員の顔を見上げてみると、にっこりと微笑んでいる。
「? ……! あーーーー! 」
「久しぶり、元気そうじゃん。」
そこにいたのは、大学の先輩だった。
ありがとうございます。
何かありましたら、お知らせ下さい。




