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怪物は吠える。  作者: ミリタリ狸
2/2

怪物は叫ぶ

あれからどれほど経っただろうか

ここは洞窟なので外のことが分からないからどれほど気絶していたかは分からないが、そんな事は別にいい。


気がつくと奴はいなかった、怪我も無く気絶する前との違いは腰に差していた鉄製の水缶が無くなっていることぐらいだ、それは別にいいのだ水缶ぐらい足元を見ればいくらでもあるものだったし思い入れもない。


そうして私はまた歩き出した、歩いている最中は周りの警戒と一緒に考え事をしてしまっていた、ここは噂の下層なのか?歩いていれば本当に外に出れるのか?入った時は火の星は高いところにあったが今はどれくらい経ったのか?等など色々なことを考えていた


なので反応が遅れてもしょうがないと思うんだ。

そう思っている私は今あの機械人形に肩に担がれて運ばれていた、離せ!!


まずい、どうしよう?というかこいつの目的はなんだ見つかった時に顔を見れたが大きな赤い目玉があるだけでそれ以外には、例えば口だとか鼻に値する物はなかった。

こいつは私を食うのだろうか?喰えるのか?牙は疎か口もないのに?

どうでもいいことほど頭の回転は早くなり、規定値を越えるとなんだかもうどうでも良くなってくる。


私はもう死ぬのか、名も顔も知らぬ母父よさらばだ。

あ、最後にカナンの実が食べたかったな。


そうしては意識を手放した。



─────────────────────────



もう目が覚めることはないだろうと思ったのだがピンピンしている生きている。

どうも殺されることはなかったらしい、今後は知らないが。


今私は最初いたところよりも大きな部屋に来ていた、大きな部屋と言ってもそこまで大きくはなくまぁまあ大きい程度だ。しかし、この部屋いくつもの小部屋に繋がっているので今回私はとりあえずの安住の地をここの小部屋に決めた、別に住むつもりは無い。


そうしてその小部屋無いを少しでも快適に過ごせるようにしていた時だった。



ブオォォォオオン…!!



遠くで謎の鳴き声がした


今回の探索では怖いことがいっぱいあった、だから許して欲しい私はとにかく動きたくて小部屋の外に出てしまった、出てしまったのだやめればいいのに。


外の大部屋にはお前らどこにいたんだという程の機械人形がいた、まあまぁ広かった大部屋はもはや足の踏み場も無くしかし機械人形たちはまるで軍隊のように整然と並んでいた。

あんなに追いかけ回され、担がれした機械人形が、もはや恐怖の偶像たる機械人形が大部屋を埋め尽くさんばかりの光景を見た私の行動を咎めないで欲しい、気絶した。


今回の探索三回目の気絶から立ち直るとそこにはもう機械人形たちはいなかった、よかったまだいたら復帰後即気絶をするところだった。

やはり気絶しても何をされでもないのだが奇妙なことがあった荷物を取ろうと小部屋に入ると気づいたのだが、陣を張る時に骨組みにしようと取っておいた鉄の棒がないのだ、鉄の棒だけだ、意味がわからない。


そんな謎を残し私は小部屋を後にした。

そういえば休憩を摂ろうと考えていたが、休憩を摂る気分ではない、今はとにかく歩きたかった。

そうやって歩いているとまた大部屋に出た。

とても広い部屋だった、壁から反対側の壁を見ても霞んで見えるほどの大きさだった。

今までの大部屋での悲惨な事故を思い出し警戒しながら入ったが特に何も無かった、脅かしやがって


その大部屋には大きな家が建っていたのだがその家は不思議な形の家だった、下部は横に広く上部は箱型で煙突は側面から突き出ているという変な…家なのか?これは。

よく観察してもしなくても分かることだがこれは上と下で分かれているし地面と接地しているところにはベルトが巻いてあったりと観察していればしているほどほどおかしなな家だった。


そして観察していているうちに屋根に値する部分に上っていると見つけた物があった、入り口だ。

この家には扉がないと思ったがこの家の扉は隠し戸のように床にあったのだ。


中に入ってみると疑問は確信に変わった、これは家じゃない。

中はかなり狭く窮屈だ、煙突に見えたものの先に暖炉なんてなかったし中は椅子が数脚に鉄瓶が大量にあるだけだった。

しかもこの鉄瓶がとてつもなく重い、私でようやく持てるレベルだった。


そうして中を調べている時だった。


「ちょっと?あなた、誰?」


背後からガチャリと硬質な音がして背中に何かを当てられる、ルブの洞窟に入ってから久しく聞いていなかったものはとても冷たい詰問の声だった。


「あぁ、別に答えなくていいわ、とにかく外に出なさい?」


相手の態度から言って背中に押し当てている物は武器なんだろう、痛いのは御免こうむりたいので大人しく支持にしたがい外に出ようとしたその時だった。



ブオオオォォォォオオオオオン!!!



あの音がしたのだ。

変化はすぐに訪れた、音の位置はかなり近いことは分かったもしかしたら隣の部屋にでもいるのでは?

そう思ったのだが"それ"はすぐに躰を現した。


"それ"は私のいる部屋のほぼ中央から現れた、なんと地面を突き破って来たのだ。

"それ"は恐らく私の恐怖の偶像たる機械人形とは分類や種族的には似たものか同じものなのだろう、暗い緑色の外套を羽織った機械の躰、だが全く姿形は似ていない、"それ"の大きさは私の入っていたこの変な家を縦に二つ分はあるし姿だけで見れば二足歩行の大きなレプタイルズだ、どこからどう見ても違うものなのにあの機械人形と同じだと認識したのは何故だろうか?


そんな思考に落ちていた私を辛い現実に引き戻してくれやがったのは先程の女の声だった。


「また来たのね!…ちょっと!死にたくないなら手伝いなさい!?」


「うぇっ!?わ、分かった!何すればいい!?」


そうして混乱したまま私はなし崩しに戦闘に巻き込まれた。


終わった後に聞いた話では奴は機龍という魔物でここのところ何回か来るらしいが目的は不明、この大部屋には他にもこれと同じものがあったがほとんど破壊されたらしい。


この鉄の塊を破壊するやつに勝てるのか?

それよりも奴は昔のドーフの一団を襲ったものではないか?


そんな不安を断ち切り覚悟を決めたのだが、私の覚悟は五分でいらないものとなった。


その女が指示したことは、鉄の酒瓶と変な缶を煙突に繋がる器具に入れて蓋を閉めることだった、それが速いと驚いていたがなんてことは無い、ドーフからすれば楽なものだ。


そうすると今度は女が何かの器具に目を当て、集中し、大きな音が響くと機龍は遠くに吹き飛んでいた。


その音に驚いていた私をまた現実に引きずり戻してくれたのはやはりこの女だった。


「あなた力強いのね?驚いちゃった!こんなに小さいのに!」


「…失礼なやつだな、君は人間の子供だろう?それなら私よりも年下のはずだ、年上は敬い給えよ、君」


失礼なやつだ、見た目は私よりは大きいが年は多分私の方が上だろう。


「あなた今いくつ?」


「十歳だ!!」


胸を張って宣言してやったが野郎あろう事か笑いやがった、なんだクスクスてそんな笑い方するやつ本当にいたのか。


「やっぱり年下じゃない!私今十四だもの」


驚きを隠せない、こんな子供っぽい喋り方なのに、こんなバカっぽいのに!!


それよりも今は吹き飛んでいったやつのことが心配だ仕留め損なっていたらと思うと震えそうだ。


「反論出来なくなったからって~無視は酷いよ~?」


ウザったらしい口調でちょっかいを出してくるこの女は放置して外に出て目を凝らすと、やはり仕留め損なったようでヨロヨロと立ち上がるのが見えた


「クソッ!!生きてるぞ!」


ちょっかいのつもりなのか私の尻をつついていた女は真剣な顔に戻ると先程覗いていた器具の前に戻ると一声


「装填急いで!!」


と言った、ふざけてたのはどちらだというのは飲み込み先程の動作を繰り返す。


「やっぱり早いね!」


親指を突き出してなくていいから早く撃て


「FIRE!!」


何語か分からない掛け声と共に戦車内に轟音が響く、鉄の煙突から飛び出したそれは機龍の胸に当たると硬そうな装甲をものともせず貫くと突如機龍が爆発、機龍は活動を完全に停止した。


何とか生き延びたのである。

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