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怪物は吠える。  作者: ミリタリ狸
1/2

少女は吠える。

初投稿です。

計画性は皆無だし、趣味全開ですが読んでいただけると幸いです


また感想やダメだしや文句もいただけると狂喜乱舞します。


私はよく知らないことを知ろうとして大人達を困らせる子供だった。

知らないことがあるのが嫌だったし、知らないままでいいともとても思えなかったからでもある。


私の住むの村は四方を山に囲まれた閉鎖的な村だった、特に特産と呼べるような物も見るべきところもない比較的平均的な『ドーフ』の村である。


ここで我々ドーフについて知ってもらいたい。

我々ドーフは人間の子供のサイズで一生を過ごす、人間的な言い方での人間の亜種だ。

先述したように身長は人間の子供よりは大きくはなれないが、筋力的な面では人間の男よりも幾分か強い、女でもだ。

また、手先が器用で皆何かしら手に職を持つ、織物や機械、芸術等で人間を圧倒していると自負している。

我々に神はなく、また世界に終わりもない、信じるものは自分自身と仲間達で十分だという中々に排他的な種族でもある。



──────────────────────────


「腹が減った…もう何日碌に食べてないんだ…?」


ドーフの村に住む私こと、カル・ヴァロは勝手知ったるはずのルブの洞窟で迷子をしていた。

私には親がいない、生まれている以上いたはずだが顔どころか名前も知らないのでいないでいいはずだ、だが兄弟は沢山いる、孤児院の他人を兄弟と呼べるならだが。


そのおかげで一日二日は村に居なくとも誰も何も思わないだろう。なのであまり焦りもない、だが食料は無いと困るし水も尽きかけている何とかここから出たい。


ここルブの洞窟は神秘の洞窟だ、なんせ異世界の物が流れ着くという噂があるのだから。

ルブの洞窟は奥に行くほど広がっていてまるで木の枝のように複雑に分かれた複数の部屋がある。その部屋の中にはどうやって作ったのかも分からないような物が所狭しと乱雑に積み重なっている。大人達はここに流れ着いた物を漂流物と呼び外への持ち出しを禁止、ルブの洞窟の入り口を閉鎖しているのだ。


ちなみに何故私がここにいるのかというと、内部が気になり忍び込んでいるからだ、それだけである。


話を戻すと私は今何回も忍び込んでいる洞窟で迷子になっていた。

私は自分の中である制限をかけていた、それは前の日に行った場所から進むのは部屋三つまでとしていたそれなら少し迷っても帰れると思ったのだ、そして今回もその制限を守り前回の部屋から三つ目の部屋に入った時だった、床が抜けたのは。


それからは酷いものだった、床が抜け、落ちた先には人骨の床が広がっていたのだ、私はまだ幼い部類に入る歳であるしお化けの存在は信じないがあんなものを見たら大人でも走って逃げるだろう、兎に角私は骨が見えなくなるまで走って逃げた、叫びながら。


結局私が足を止められたのは部屋を十は離れてからだった、そこでようやく落ち着きを取り戻した私は考えた、とにかく現在の場所はどこなのか?まさかルブの洞窟の下層なのか?だとすると非常にまずい、何がまずいかというと下層にはルブの洞窟を閉鎖に追いやった原因がいるのだ。


それはまだルブの洞窟を閉鎖していなかった時の話らしい、その時私は名も顔も知らぬ母の胎内にいたのかそれとも父の中で泳いでいたのかは知らないが、とにかく生まれる前のことだ。


あるドーフの一団がその日も漂流物を発掘していた時らしい、一人が穴に落ちたらしいのだ、何かがクッションになっていたらしく怪我も無く無事だったらしいのだがドーフたちはそれはそれは大興奮だ、我々ドーフは皆総じて好奇心の塊のような種族で未知と謎という言葉が大好きなのだ。


それからその一団はルブの洞窟下層を探検したらしい、そして探検を開始して三日後15人いたドーフが二人に数を減らして怯えながら村に帰ってきた。


その後村長の家で話を聞いた話がこれだ。

その二人が言うにはルブの洞窟下層は正しく宝の山だった、上層にあるような小さなものではなく家より大きなものや霞んで見えるほどに大きな鉄の船などそれを聞いたドーフが飛び出して行こうとするものだった、しかしそれから怯えながら何とか絞り出した話を聞くと誰も動かなくなった


曰く、下層は地獄だ

曰く、下層に近づいてはならない

曰く、下層には何かがいた


我々ドーフは好奇心は強いもののあまり勇敢ではない、もっと言ってしまえば小心者が多い、そんな種族である。

そんな小心者が多いドーフではそんな途切れ途切れの警告でも効果は覿面だった。

その日の内にルブの洞窟は全面閉鎖され、表向きには誰も入れなくなった…"表向きには"だ


私は知っていた、それは本当に偶然でルブの洞窟の辺りを散歩していた時のことだった。

二人のドーフが周辺を気にしながらルブの洞窟に入って行くのを見てしまったのだ。


それから私はルブの洞窟に入り浸り、そして落ちて今に至るのだ。


だから私は考えてしまった、もし今目の前にドーフの一団を壊滅させた"なにか"が出てきたら…と、そんなものが出てきたらどうしよう?ルブの洞窟に於いては魔物が発見されたことはなく、今の私は丸腰だなにか自衛用の武器でもあればいいのだがそんなものは当然ないし腕力だって子供のドーフでは大人のそれも男のドーフより強いわけが無い、大人のドーフを殺せる魔物がいたら私は頭から美味しく頂かれるか振り回されてぺしゃんこになるかだ。


そして、不思議なものでこういう嫌な事というのは考えれば考えるほど、本当に起こるものなのだ。



──────────────────────────








「た、助けてぇーー!!!」


私は走っていた、人骨の床からの逃避行よりも早く何よりも早く走っていた、何故ならば私の後からは魔物なのかそれとも人なのかも分からないものが四足歩行で走って追いかけているのだ。


それと出会ったのはやはり偶然だった、少し疲れたので大きな部屋に出たら休もうと決め歩いていたらお誂え向きの大部屋に出た、そこで腰を下ろして今後のことを考えようと大部屋に足を踏み入れた途端に壁が崩れ、剥がれ、中から奴が出てきたのだ。


やつは暗い緑色の外套のような物を躰に引っ掛け、顔は兜のせいで見えないが恐らくあれは人だが、走り方が人ではない、普通の人間でもドーフでも手足を地面に付けての四足歩行は体格的に無理があるのだ、それを奴はやっている、このことから奴は人間の真似をした魔物だと思うことにした。


「ま、撒いたか?!」


何とか追跡を振り切り袋小路に入り周囲を警戒しながら一息ついた時だった、自分の上から影が降ってきた。


奴は、こちらを見下ろしていた


「ギャアァァァァ……」


私は意識を手放した。





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