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ラプンツェル37

 ララ自身全く身動きしてないように見えたが、ララの尋常のない長さの髪が、まるで意志を持つように蠢きグルグルとララを取り囲んでいく。

 まるで幼虫の繭か毛糸玉みたいだ。大きさはとんでもなく大きいが…………。


「どうするよ。あれ」

「どうするって言われても」


 訪ねられても困る。敵なら頭上にHPバーが現れるはずだ。それがないという事は、まだ変形してから戦うのか?それとも、ただイベントを見て終わるのか?

 二つに一つだ。


「シャーリーはどう思う?」

「そうだにゃ?何か動きがあるまで待つしかないにゃ」

「攻撃してみては?」

「HPバーがないから破壊不可能にゃ」


 HPバーない物体は破壊不可能なのは、このゲームでは常識。つまり、HPバーが存在する物に関しては破壊可能という裏返し。

 キャラやモンスターの他に武器・防具や鉱石等々目立たないがHPバーは存在する。


「にゃ?何か動きがあったにゃ」


 シャーリーがそう呟くと、ララの髪で編まれた繭?にピキっピキっと徐々にひび入り拡がって行くとパカッと割れた。

 その中からは某怪獣映画で有名なモ○ラに似たホルムの目視で凡その推定体長5mはあるだろうと思われる蛾?が現れた。

 割れた繭の中にはララの姿は確認出来ない。というより、蛾のモンスターによる羽ばたきで近寄れない。

 無理矢理にでも近寄るものなら吹き飛ばされそうだ。足腰で踏ん張るのが精一杯だ。


「ど、どうやらボスのようだ」


 蛾のモンスターの頭上にHPバーが現れた。名前は、ヘアーモス。訳せば髪の蛾と、そのまんまだ。


「く、来るぞ」


 バタバタとホバリングをしてる場所からヘアーモスは、風属性の魔法を放って来た。エアーカッターは、ギリギリで俺達の頭上を通り過ぎ周囲の木々を切り倒した。


「うわっ!危なっ!」

「破壊不可能な木々を斬り倒したにゃ」

「多分イベント的なアレじゃないか?」


 切り倒された木々は、ゲームらしくパリンとガラスが砕け散るように消えた。

 残ったのは切り株のみで、どうやら切り株の上もフィールドとして立ち入れるみたいだ。


「広くしてくれた、お陰で戦いやすくなったぜ」

「まぁ悪く言うと見晴らしが良くなったよね」

「それを言ったらお仕舞めぇよ」

「これで戦い安くなったと思えば悪くないな」

『ギャォォォォォォォ』


 ━━━━クエスト━━━━


 ・クエスト:ヘアーモスを倒せ!


 ・クリア条件:ヘアーモスを倒す事


 ・失敗条件:全員の死亡


 ・クリア報酬:???


 イエス/ノー



 もちろんイエスだ。ここまで来てノーはないだろう。

 イエスを押したら、あちらは戦う気になったようだ。空を飛ぶ相手なら、むしろ王子たかしの実験に丁度良い。

 ガンマンや弓術士の職業は、空を飛ぶ相手に対して与えるダメージに補正が付く。


「喰らえ!速撃ち(クロックショット)

「私も聖魔弓ホーリーアロー

『ギャォォォォォォォ』


 射程は十分ある。図体が大きい分、回避は苦手なようで王子たかしとアテナの攻撃は当たった。

 それに加え、弱点である銃と弓矢でダメージをいくらか負わせる事が出来た。

 それでも相手はボスだ。まだまだ大量なHPがあり、時間が掛かりそうだ。


「上からいくにゃ。火龍一閃」


 王子たかしが気付かない内に、ヘアーモスよりも高く飛び上がったシャーリーは、炎を纏った刀でヘアーモスの背中に向けて炎の斬撃を飛ばした。

 その勢いでヘアーモスは、地面に叩き付けられ気絶状態となった。


「今だ。総攻撃をしろ」

「喰らえ、ガトリングガン」

「毒ナイフ投げ」

「みなさんを強くしてあげます。付与エンチャントパワー速度スピード防御ガード中上昇」

「髪なら炎よね?炎の矢(ファイヤーアロー)

「なら、オレも火炎拳ファイヤーブロー

『ギャォォォォォォォ』


 気絶から回復したヘアーモスは、羽ばたき飛び上がるのと同時に鱗粉を撒き散らた。

 広範囲に散った鱗粉を避ける術は無く全員にもれなく被ってしまう。


「ぐっ!これは麻痺か」


 体が痺れ動きが鈍くなる。GWOでの麻痺の定義は、1/3の確率で攻撃や防御、魔法等のモーションを強制的にキャンセルしてしまう状態異常だ。


「に、ニムエ回復魔法を早く」

「は、はい!状態異常回復キュアリー


 麻痺による強制キャンセルにはならなく、魔法が発動出来、どうにか痺れが取れた。


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