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ラプンツェル29

「心配掛けてごめん」


 エラが王子たかしの胸元へ顔を埋めてい離そうとしない。

 俺は、エラの頭を優しく撫でながら落ち着くのを待った。その間、シャルがずっとガトリングガンを撃ち続け、魔女だった怪物の触手を一本残らず根こそぎ粉砕したところでガトリングガンがオーバーヒートを起こし悲鳴を上げていた。


「二人とも、イチャイチャしてないで。今は戦闘中なんですけど」


 シャルのコメカミに血管が浮き出ている。これは後で説教が待っていそうだ。


『弾が切れたようじゃな』


 元魔女の怪物のHPは、ようやく四分の一まで減った。ここまで来ると、ゴールが見えたようで気持ち的に余裕が出来る。

 だけど、元魔女の怪物はシャルのガトリングガンが止まり弾切れと見るや、気持ち悪い口をニヤリと口角を上げニヤけてる。

 そのニヤけ顔は、夕飯の時間帯には見ない方が良い。絶対に食欲を失くす。


「うぇっ、あれ気持ち悪い。これも攻撃の一種なのか?」


 ゲーム内だから食べた物を吐き出さずに済んでいる。これが現実リアルなら腹内なかの物を全て吐き出す自信がある。


「精神的攻撃はなかったと思いますけど」


 魔法が得意なエラが言うならないのだろう。


「ねぇ、これ使っても良いよね?」


 シャルが取り出したのはロケットランチャーだ。一発限りの使い捨て重火器である。

 ただし、その威力は重火器の中でもトップクラスを誇る。でも、その代わりに値段が高い。どの位高いというと想像にお任せしよう。


「……………あぁ、いいよ」


 シャルは撃つ気まんまで、既に肩に砲台を乗せ構えてる。撃つなと言っても撃ってしまうから敢えて了承した。

 シャルを見てる傍ら、王子たかしはステータスを開き、お金の項目を見ると頭を抱えため息を吐いた。

 シャルが構えるロケットランチャー一発で仕留められる事を祈り、元魔女の怪物を見上げていた。


「弾け飛べぇぇぇぇぇぇ」


 シャルが引き金を引くと、ロケットの尻部分が砲台から切り離され噴射した。

 元魔女の怪物は、そのトロそうな体格ではロケットを避けられる訳もなく命中した。

 ものの見事に命中したロケットは、元魔女の怪物内にめり込み爆発し、ほぼ原型を留めない程に弾け飛んだ。

 だが、何故か元魔女の怪物のHPバーが消えない。風前の灯火だが、ほんの1程残っている。

 良く見ると、弾け飛んでいない残った体内から這い出て来る何かがいる。


『ぐっ、このワタシが……………この無様なんて』


 怪物よりも醜く、もはや生物よりも肉塊と言った方がしっくりくる程にヒドイ容姿をしていた。

 こいつを殺せば勝てるが、一つだけ聞きたい事があった。


「じゃぁ、遠慮なく」

「シャル、ちょっと待て。少しこいつに聞きたい事がある」

「こいつが王子様に変な事をしようとしたら撃つから」

「あぁそれで良い。ありがとう」


 王子たかしは、シャルよりも前へ歩を進め、元魔女の肉塊の前へ出た。


「少し聞きたい事がある」

『ふん、本当なら答える積もりはないのだかねぇ。でも、もう動けないしねぇ。なんだい?言ってみな』

「ラプンツェルのララは何処に行った?何処にいる?」


 目元や口元なのか分からないが、元魔女の肉塊の目元が細くなった気がした。


『それを聞いてどうすのかね?』

「ララを見つけ、仲間(恋人)にする」

『ぷっはははははっ、その瞳は本気なのだねぇ。良いよ、教えてしんぜよぅ』


 笑い飛ばすかと思いきや、どんな風の吹き回しだ。何か裏がありそうで、逆に気持ち悪い。


『ラプンツェルは、ワタシが塔から突き落としてやったんだよ。その後の事は知らんがね。生きてるようだが、何処かに行ってしまったよ』


 その言葉を最後に元魔女だった肉塊は、もう形が維持出来なくて朽ち果てるようにチリとなって消えた。

 元魔女の肉塊の話だと塔からララを落としたようだ。ラプンツェルの原作にも一致してる。ただし、気になってる事が一つある。

 それは、ラプンツェルが盲目になってるのか?という事と、妊娠してるのかという事だ。

 ラプンツェルが妊娠した事により魔女に王子様━━━━つまり、俺と恋仲になった事がバレてしまい、塔から突き落とされた。

 そんなラプンツェルのララを今から探しに行きたい気持ちで、頭の中がいっぱいだが魔女の戦闘によりHPや精神的に磨り減って回復が必要だ。


「王子様、ラプンツェルという女を探しに行きたいんでしょ?」

「王子様、私達なら大丈夫です。あの怪物の話だと、危険な状態ではありませんか?」

「良いのか?二人とも」

「「えぇ、もちろん」」


 二人の了承を取り、ポーション等の回復アイテムで回復した後にララを探しに行くのであった。



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