ラプンツェル24
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王子は、杏との待ち合わせ場所として決めていた最寄り駅前にある広場に急いで向かっていた。
まだ時間的に余裕あるが、先に家を出たってことは既に待ってるという事になる。
本当なら男の方が先に待ってるものだが、杏によると待ってる時間も楽しいらしい。
ここら辺での待ち合わせ場所の定番だと、最寄り駅前の広場が一般的だ。
その理由として、ブレーメンの音楽隊に出て来る動物達の銅像があるからだ。物凄く目立つし、遠目から見ても分かる。
「杏はいるかな?」
余裕で最寄り駅前の広場に着いた。俺は杏を探そうと、周囲をキョロキョロと探す。そしたら、直ぐに見つかった。
いや、探す手間もなかった。杏の服装が目立ち、他のカップルよりも異彩を放っている。
「杏、お待たせ」
「兄さん、遅かったですね。約束を忘れられたかと心配になりました」
そういうが口元は笑っており、全然怒ってる素振りを見せてない。むしろ楽しんでいる。
「良く私を見つけられましたね」
そりゃぁ、そんなに目立つ服装をしていれば簡単に見つけられる。
杏の服装は、俗に言うゴスロリファッションだ。黒色をベースに上半身下半身共に、これでもかって位にヒラヒラが付いており、ヘアスタイルもそれに合わせ黒いリボンに、黒いヘッドドレスが何処かの貴族なのかも思わせる様相だ。
逆に俺の方が場違いな気がしてならない。
「それは杏だからね。兄である俺が見つけられるはずがないよ」
「うふふふふ、さすが兄さんです。さぁ行きましょうか」
まるで恋人のように腕を組み、駅の改札を進んで行った。やはり、杏の服装は目立つようで通り過ぎる人という人、老略男女関係なく、ほぼ100%という確率で振り返って見てしまう。
王子は、杏の容姿で振り返ると思っているが、現実はそうではない。
普段は服装のセンスが皆無のせいで顔はイケメンなのに、服装が合っていなく残念イケメンという風に見られている。
だが、今日はどうだろうか?顔と体型にピッタリと合致している。王子が本気を出せば、こんなものだ。
残念を取り除き、アイドル並みのイケメンとなっている。王子自身は、自覚はない。
よって、杏だけではなく王子にも通り過ぎる人々を振り向かせる要因であった。
「なんか、注目されてる気がする」
「それは兄さんが格好良いからです」
「それは違うだろ。杏が、まぁ可愛いから…………だろ」
「兄さん、そこは美しいとか『杏、綺麗だからだよ』と言うところではないですか」
それはもっと杏が成長してから言ってあげる台詞だと内心で王子は思っている。
中学生である杏に言ったら逆に王子は、ロリコンや変態扱いされる可能性がある。
だから、王子はソッポを向き颯爽と改札を潜ろうとする。
「兄さん、さぁ言ってください」
杏は、まだ諦めてないようだ。でも、今の杏を見た感想としては美しいや綺麗よりも可愛いの方がしっくりくる。
ゴスロリを着てるのも要因の一つだが、最大の要因は年齢だろう。まだ中学生という年齢で美しいとか綺麗だとかの言葉を求めるには、まだ幼過ぎる。
せめて杏が高校生になってからじゃないと、王子は杏が求めるような言葉は吐けない。
パチン
「ませてんじゃねぇよ」
杏の額にデコピンを喰らわした。それほど強くやったつもりはないが、涙目になり額を痛そうに擦ってる。
「兄さん、痛いです」
「悪かった」
ポンポンと杏の頭を撫でる。これだけで涙は引き、心無しか杏の頬が赤く染まってるように見える。
「兄さん、子供扱いしないでください」
「止めて欲しいのか?」
満面な笑顔で怒っても全然説得力がないし、怖くない。というか、表情と言葉が合ってない。
「もっとやって欲しいのですけど、電車が来ますよ」
杏の言う通りに数秒後に電車が来た。もしも、電車が来なかったら永遠と頭を撫で続けていそう。
電車に乗る王子と杏。
日曜日という事もあり、そこそこ電車は混んでいる。杏を他の客から守るため、杏を電車の壁側へ王子が杏を覆うように壁役として杏の前へ仁王立ちをする。
これから向かう場所は、色んな店が数百店と構える商業施設であるロロポートというデパートだ。
ここら辺では、一番の規模を誇り何でも揃うと言っても過言ではない。
日曜日になると、やはり恋人だけではなく家族連れも多い。
「兄さん着きました」
電車で揺られること十数分、ロロポートの最寄り駅に着き、王子と杏は降りた。
ロロポートは、交通の便も良く最寄り駅からそのまま渡り廊下にて最寄り駅と行き来が出来る。
「まずは何処に行くんだ?」
「先ずは映画を見ましょう。確か新作の映画が放映開始したばかりです」
王子にとって映画なんて何時振りだろうか ?かれこれ2~3年は見ていないような気がする。
杏の希望通りに杏に手を引かれ映画館があるフロアまで行くのであった。