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ラプンツェル23

一年程お待たせいたしました。

言い訳を致しますと、他の作品を書いてて中々こちらの執筆が進まず、時間だけが過ぎてしまった訳です。

誠に申し訳ありませんでした。

「王子様、今日はありがとう。とても楽しかったわ」

「ラプンツェルに喜んで貰えて男冥利につきるよ」


 時間的に塔へ魔女が来る頃だ。まだ、間に合うが念のために急いでラプンツェルを塔へ送るしかない。

 話ではラプンツェルが王子の子を身籠って服のサイズが合わなくなり魔女にバレる訳だが、俺の年齢的に18禁の要素は取り除かれてるはずだ。

 よって、エロシーンはないだろう。


「王子様、明日も待ってるわ」

「あぁ必ず来る」


 俺は、ラプンツェルと別れログアウトするために、世界の中心都市(セントラル)に向かい宿を取る。


 ━━━━王子たかしの部屋━━━━


「今は何時だ」


 不思議の国のアリスの目覚まし時計は、夜の11時を指していた。

 もう寝ようかとしたが、掛け布団の中に何かがある気がして捲って見た。


「おい、そこで何してるんだ?」


 そこにいたのは妹の杏だ。ドアの鍵は閉めてたはずなのに、毎度のように忍び込まれてる気がする。

 俺は、微動だにしない杏に対して空手チョップを頭に喰らわしてやった。


「痛い…………です。可愛い妹を叩くなんて、兄さん酷いです」


 頭を擦りながら、やっと這い出てきた杏。涙目で、俺に抗議する。

 毎回、自業自得なので俺は特に謝らない。それに自ら可愛いと言ってる時点で、本気で痛がっていないのは明白だ。


「うるせぇ、毎回忍ぶ込むなって言ってるだろ」


 バチン


 ギュッと親指と人差し指に力を込め、杏のオデコにデコピンを喰らわしてやった。


「痛っ…………うぅぅぅぅぅ、兄さんが意地悪です」


 オデコを擦りながら、こちらを睨みつける。端から見ると痛がってる素振りに見えるが、俺から見ると全然痛がってる振りにしか見えない。

 物心付く頃から武術を習ってる杏からしたら大した事のないはずだ。


「ほらほら、もう寝るから自分の部屋に戻れ」

「はぅっ、命令口調の兄さんも素敵。ぽっ」


 だんだんと変態になっていくような妹に対して将来が不安になっていく王子たかしは、杏が部屋から出て行った。

 明日は、杏と約束していたデートする日だ。仲の良い兄妹なら一緒に出掛ける事なんて普通だと俺は思ってるが、クラスメイトの駿によると、そんな事は漫画だけの話だとか言っていた。

 だけど、俺の考えは兄妹が仲悪いよりは良い方が決まっている。ただ、ちょっと行き過ぎる場面もあるっちゃあるかもしれない。


 まぁそれは置いといて明日のデートは、杏がプランを考えてるらしく、俺は服装を気にする事と財布を持って行くだけで良いと言われている。

 その他は、デートらしさを演出するために一緒の家に住んでるのに、態々待ち合わせをする事になっている。

 だから、寝坊は絶対に避けるため多少いつもより早いが俺はベッドに潜り瞼を閉じた。


 そして、翌日。


『お兄ちゃん、朝だよ。起きて』


 パチン

「うーん、もう朝か」


 俺は不思議の国のアリスの目覚まし時計のボタンを押し、上半身を起こし背伸びをした。

 目覚まし時計の針が差してる時間は、8時30分だ。普段なら日曜日は、何もない限りもっと布団に潜ってる頃だ。

 だけど、そうも言ってられない。もしも、遅れたら何を言われるかわかったもんじゃない。


「ふわぁー、おはよう」

「あら、今日は早いわね」


 ダイニングに降りて行くと母さんが一人でいた。母さんは、漫画家だから大抵家にいる事が多い。

 だけど、仕事上の都合により夜更かしする事も多く平日でもお昼に起きて来る事の方が多い。

 そんな母さんが、日曜日なのに朝に起きてるなんて、とてつもなく珍しい。


「そうそう杏から王子たかしに伝言を預かってるんだった。『兄さん、この伝言を聞いてるって事は、ちゃんと起きてこれたんですね。では、先に行ってますので遅れずに来て下さいね』と、一言一句間違えずにちゃんと伝えたから、絶対に行くのよ。ふっふぁぁ、私は寝るから」


 母さんは、背伸びして家族以外の人には絶対に見せられないような大きなアクビをした。

 そうとう眠そうだ。昨日も徹夜だったのだろうと安易に予想出来る。


「母さん、お休みなさい。それじゃぁ、杏と一緒に楽しんで来るわ」


 背中越しで手を振り、母さんは二階にある自分の仕事部屋兼寝室へと引っ込んだ。

 さてと、軽く朝食を済ませ着替えるか。杏ならどんな服装でも似合ってると言いそうだけど、そこは男として格好良く決めたいところだ。

 普段着ないような外出用の衣服を引っ張り出した。駿と遊びに行った時に買った服だ。

 そこまで衣服に金を掛けない王子たかしだが、何故かその時はテンションが上がっており、つい買ってしまったのだ。

 一回しか着ておらず、タンスの肥やしになっていた。まだ新品同様で、今日のデートにはピッタリだ。


「よし、これにするか」


 着替え、杏との待ち合わせ場所に向かうのであった。

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