八十話・ラプンツェル20
どうにか1ヶ月以内には間に合ったようです
現実では食べ終わるのに時間掛かるリンゴ飴もゲーム内なら、ものの数分でラプンツェルは食べ終わった。
食べ終わった瞬間に王子にアナウンスが鳴った。確認してみると、『リンゴ飴ソードを手に入れました』とメッセージが来ていた。
イベントリには確かにリンゴ飴ソードという装備が増えている。ソードというからには剣だろうと推測出来るが、一応ステータスを確認してみる。
・名前:リンゴ飴ソード
・レアリティ:???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で変化)
・攻撃力:???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で変化)
・スキル:甘い香り・微(レベルによって、レアモンスターにエンカウントしやすくなる)
???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で増加)
※ラプンツェル夏祭りイベントが終了するまで装備出来ません。
名前とスキル一つしか解らないな。イベント終了のお楽しみに取っとくか。ラプンツェルの夏祭りという事は他の所でもこういうイベントがあるのだろうか?余裕がある時にでも探して見るか。
「王子様、あちらから良い匂いがしてきます」
ラプンツェルが次に興味を惹いたのは、焼きそばの屋台だ。ラプンツェルの言う通りにソースの香ばしい匂いが漂ってきてゲーム内なのにお腹が減ってくる感覚がある。
いやぁ~、お祭りの屋台で焼きそばって定番中の定番━━━ド定番な屋台メニューだよね。お祭りで焼きそばを買わない人っていないんじゃないかと言う程人気メニューだと思う。
「おじさん、焼きそば二個ください」
「はいよ、毎度あり」
うーん、このソースが焦げたような匂いがやはり食欲がそそる。それに現実と同じくパックに盛られ、割り箸も一緒に渡される。
ここまで現実感があると、たまに現実とゲームの区別がつかない時がある。でもまぁ、女性キャラには喜ばれるじゃないだろうか。いくら食べても太らないところが。
「ラプンツェルお待たせ。焼きそばという料理だよ」
「王子様ありがとうございます。でも、どうお礼をしたら良いのか」
「お礼なんていらないよ。さぁ冷めない内に食べよう」
ここも忠実に再現されており、時間経過と共にアイテム名が変化し効果が減少又は上昇するアイテムがある。
焼きそばの場合は、食べずに時間経過すると"冷めた焼きそば"と名称が変化する。という噂を聞いた事がある。試すには勿体無いから俺はやったことないし、やらかした事もない。
「嗅いた事のない香りで、食欲がそそります」
ラプンツェルは日本から見たら外国人だ。日本独特のソースや醤油等の調味料は不思議な香りがする事だろう。
醤油は嗅ぎ慣れないと、クサヤやブルーチーズみたいに臭い匂いに感じられてしまうらしい。だから、ラプンツェル大丈夫かと思ったが━━━━
「食べると香ばしい際立って…………口が止まりませんわ」
大丈夫だった。むしろ、あっという間にパックの焼きそばはラプンツェルの胃の中へ吸い込まれていった。ここはゲームだからか割り箸を器用に使い食べていた。
ラプンツェルの見事な食べっぷりに俺も我慢出来ずに食べようとした瞬間、リンゴ飴同様アナウンスが鳴った。せめて、俺も食べてからにしてほしかった。
でもまぁ、気になるがこの香ばしい焼きそばを食べるのに勝てず、ズルズルと俺も食べるのだ。うん、お祭りの焼きそばって感じだ。焼きそば専門店の焼きそばではなく、お祭りの焼きそばだ。
焼きそばを堪能した後、イベントリを確認する。案の定、装備品が追加されていた。
・名前:焼きそばの盾
・リアリティ:???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で変化)
・防御力???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で変化)
・スキル:絶対防御・微(レベルによって1日使用回数変化)
???(ラプンツェル夏祭りイベントの結果次第で増加)
※ラプンツェル夏祭りイベントが終了するまで装備出来ません。
やはりか。リンゴ飴と同じだな。それにしても………夏祭りの結果って一体何なんだ?どういう風に決まるのか想像出来ん。でもまぁ、ラプンツェルが喜んで貰えるなら俺は何だって嬉しい。
「旨かったわ。うん、あれは何だ?白くてフワフワな………あれも食べ物なのか?」
次に興味を示したのは、かき氷だ。家庭で作ると、ただ氷を削っただけの代物になる。粗くて食えたものではないが、プロの作るかき氷はフワフワで口に入れた瞬間とろけ無くなる。それ程違うと俺は思う。
「あれはかき氷と言ってな。いろんな味が美味しいぞ」
「色んな味?!何それ、食べたい」
屋台で出すかき氷は専門店で出すのより味のバリエーションはないが、自分の好きな味にカスタマイズ出来るところもある。
かき氷初心者なラプンツェルには、この味を味わって頂こう。かき氷の定番中の定番だ。
どうしても新作の「勇者レストラン」を優先しちゃう時があるので、今度も1ヶ月以内に更新出来れば良いかなと思います。
どうか新作の「勇者レストラン」も楽しんで貰えれば嬉しいです。