七十九話・ラプンツェル19
どうにか前回よりは早く更新する事が出来ました。
忙しい時等なかなか更新出来ない場合があるかも知れませんが、楽しく読んでくれれば幸いです。
着物のレンタルショップから王子とラプンツェルは二人同時に出て来た。別にタイミングを合わせていた訳ではなく偶然にバッタリと知り合いと会うように一緒に出て来た。だが、時間が合わない。
王子は30分で着付けも済み出て来たが、ラプンツェルは選ぶまでに2時間、着付けに1時間で計3時間は掛かっていたようだ。後で知った事だが、そこはゲームらしく時間を調整してくれたらしい。実感はないが、ちょっとしたタイムマシーンを体験したみたいだ。
「王子様、どうですか?私の着物、似合いますか?」
ラプンツェルが選んだ着物は、赤を基調とし夏らしく金魚の柄でなんとも女の子らしいデザインだ。実に可愛らしくラプンツェルに良く似合ってると王子も素直に思う。それに髪を纏めるため、髪型を団子状にし金魚の飾りが付いた赤い簪を装着してる。
ただ、一ヶ所だけ女の子というより大人の女性ぽいところがある。それは………胸元だ。大きく育った胸は着物でも隠しきれずに谷間が現になっている。それに最近流行してる着崩れするよう肩をわざと出して着ている。
そのせいで余計に谷間が強調され、ラプンツェルが動く度に胸がプルンと動いてしまう。王子としては目のやり場にとても困ってらしゃる様子だ。
「す、すごく似合ってるよ」
俺は服装を褒めるド定番な台詞しか出てこなかった。
他のキャラと抱いた事あるのに、今のラプンツェルの着物姿を見るとこう口で説明出来ない程ドキドキと顔が紅潮に染まって来てそんな台詞しか思いつかないのだから仕方ないじゃないか!
「ありがとうございます。王子様に褒められ、このラプンツェル感激です」
神に祈るよう両手を合わせ涙を流してる。嬉し涙だから悪い気はしないが適当に言った手前、多少罪悪感が募ってしょうがない。
ラプンツェルは気付いた様子は全く無いから黙っていよう。もし言ってしまったら折角の喜びから悲しみに変わってしまう可能性がある。
「さぁ折角の祭りだから、歩こうではないか」
祈ってるラプンツェルを立たせ、俗に言う恋人を繋ぎをしカランコロンと下駄を鳴らしながら二人で歩き出したところでクエストが発生する。
・クエスト:ラプンツェルと一緒に祭りを楽しめ!
・内容:ラプンツェルと祭りを回り、ラプンツェルを楽しめる
・クリア条件:時間内にラプンツェルの満足度ゲージを一定値を突破してる事。
・失敗条件:時間内にラプンツェルの満足度ゲージを一定値下回る事。
・報酬:EXP500、ラプンツェルの好感度???
・受けますか?
イエスorノー
もちろん受けるに………決まってるだろう。よし、イエスをポンっと押したぞ。
クエストを受けた瞬間にラプンツェルの頭上にHPとMPとは違う三本目のゲージが出現した。これがクエストの説明文に書いてあった満足度ゲージというものだろう。
満足度ゲージには、既に三割程貯まっており八割程のところに線が引いてある。という事はゲージを八割以上貯まればクリアって事か。既に三割貯まってるから楽勝だな。
「王子様?ボーッとしてどうしたんです?」
「いや、大丈夫だ。この祭りの隅から隅まで遊び尽くそう。ラプンツェルが一生忘れない思い出にしてやる」
「はい♪王子さま♪」
ふぅー危ない危ない。
一瞬ラプンツェルが不機嫌になった気がしたが満足度ゲージが減った気配がない。ラプンツェルもニコニコと満面な笑顔だし、大丈夫だと思いたい。
「王子様、あれは何ですか?」
ラプンツェルが指を指した屋台には"りんご飴"と書かれている。りんごに飴が掛かっており、まるで宝石のルビーみたく輝いて綺麗だ。これをラプンツェルに買ってあげたら………喜びゲージが上がるだろうか?
「あれはりんご飴っていうお菓子だね。折角だし買ってあげるよ」
「えっ!で、でも王子様に悪いですし………私お金なんて持ってないですから」
そりゃぁ、ずっと塔の中で引き込もっていたらお金の使い方事態知らないだろうと思っていたが、お金の存在は知っていたのか?!とラプンツェルには悪いが思ってしまった。俺は内心で密かにラプンツェルに『ごめん』と謝った。
「良いから良いから、オジサンりんご飴一つくださいな」
俺はラプンツェルの制止を振り切り、りんご飴の屋台へと並ぶ。見た感じ屋台の職人兼売り子は全員NPCのようだ。もし、こういうイベントが他にもあれば、自分の作製した物を売り出しても面白いかもしれない。
「はいよ、りんご飴一つ毎度あり。彼女がいるとはニクいね、がっははははは」
りんご飴のオジサンNPCは、ラプンツェルをチラリと見詰め高笑いをする。一人とカップルと言ったら良いのか不明だが、人数によって反応が違うのか?実験してみたいが、それはまた今度だ。
「はい、ラプンツェルこれがりんご飴だよ」
「まぁ、まるで宝石みたい。こんな食べ物があるなんて夢みたいです。王子様、ありがとうございます」
買って来たりんご飴をラプンツェルに渡す。赤い金魚の着物姿のラプンツェルが赤い宝石みたいなりんご飴を持つと実に絵になるというか、本当に似合い過ぎてスクショでも撮ろうかと自然にボタンを押していた。
パシャパシャと音はしたが、ラプンツェルはりんご飴を舐めるのに夢中で気づいていない。これを皆に………特にあの記者に見せたら羨ましがられるのが目に見えるように思い浮かべられる。
もうすぐ夏コミ間近と仕事にとあるライブが控えてますので、最高で1ヶ月は更新出来ないかもしれません。
お待ちさせるかもしれませんが、これからも宜しくお願い致します。