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七十六話・ラプンツェル16

 シオンが王子たかしの筋肉を長い時間触っていたため、水着の写真を撮影でその日は終わった。これで写真撮影のバイト一日目が終わり、撮影バイト二日目は次の日曜という事で話がついた。

 そして、その日の夜に王子たかしはGWOへログインした。再開場所はラプンツェルの塔の近くにある街中の宿だ。みんなはまだログインしてないらしく、メッセージはきていない。

 妹であるフローラは珍しく現実リアルの友達の家に泊まるという事でログイン出来ないと母さんが嬉しそうに言っていた。今まで学校の友達の話を聞いた事がなかったせいか今日の夕飯、赤飯であった。

 恋人であるアテナは現実リアルの学校の生徒会で今日中に片付けてはいけない案件があるという事で同じくログイン出来ないとラインに連絡が入った。

 今日、会ったばかりのシャーリーは俺の写真の編集に忙しらしくパスと言っていた。後のメンバーは分からない。


「仕方ない、今日は一人で行くか」


 俺は軽く森のモンスターを倒しながら塔へと進んで行き、シャーリー調べによると魔女ババァが塔に滞在する時間は決まっており、今がちょうど不在の時間に当たる。

 なので、そのまま森から塔へ直行する。いつものラプンツェルの髪を降ろすセリフを言い、髪が降りて来たのを見計らって塔を登る。


「やぁ、ラプンツェル元気だったかい?」


 塔を登り終え、俺は挨拶するとそこには机に突っ伏してスゥスゥと寝てるラプンツェルの姿があった。

 塔に入った瞬間、ラプンツェルの寝顔に俺のハートがドキュンと撃ち抜かれた感覚に襲われる。それだけラプンツェルの寝顔に見惚れてしまった。

 でも、不思議と思った。寝てるならどうやって髪を下ろしたのだろう?後々、聞いてみたら塔の根元で、あのセリフを言うと自動的に髪が動き塔の根元まで来るみたいだ。

 俺はラプンツェルの寝顔を見ながら、起きるのを待つ事にした。今思えば、フローラとアテナが俺の寝顔をジーーっと見てる事が多いが、その気持ち理解出来たかもしれない。


「うぅん」


 パチパチとラプンツェルの瞼が瞬きし、焦点が上手く合ってないのかこちらをジーーっと見詰めて来る。そして数秒後、バンッと机を叩くように起き上がった。


「王子様?」


 寝起きでまだ頭がハッキリと覚醒してないせいか、目の前にいる人物が王子たかしと確信持てず、つい聞いてしまった。


「あぁそうだよ」


「~~!!」


 本当に王子たかしと分かった直後、ラプンツェルの顔がゆでダコの様に赤くなっていく。

 その後、自分の寝顔を好きな人に見られた羞恥心で、両手で顔を隠し奥に引っ込んでしまう。


「えっ?ちょっ!ラプンツェル何処に行くんだ?」


「王子様、ちょっと待ってて。今出て行ったら………恥ずかしくて死んじゃう」


 ラプンツェルが入った箇所は、プレイヤーが侵入出来ない侵入禁止エリアであり、プレイヤーである王子たかしはこれ以上奥に進む事が出来ない。よって、ここで待つしかない。

 まぁまだ魔女ババァが来るまで時間はあるし、気長に王子たかしは待つ事にした。


「王子様、お待ちしてごめんなさい」


「いや、そんなに待ってないよ」


 寝てることろに現れた俺が悪いのだからラプンツェルが謝る必要なんてない。それにラプンツェルの寝顔が見られただけで役得だ。


「よ、良かったぁ。あのぉ~、今日は王子様一人なんですか?」


 頬が赤らみ指をモジモジしながら王子たかしに問う。周囲を見渡せば王子たかし以外、誰もいない事わかるもんだが、そこは女心というもんだ。

 今日は好きな人と二人きりだと、確認したくて堪らない。王子たかしの仲間なら楽しくて嬉しいが、やはり王子たかしと二人きりの方が嬉しいに決まっている。


「あぁ俺一人だ。他のメンバーは忙しくらしくてな。俺一人で残念だと思うが………」


「いえ、そんな事はありません。王子様と一緒にいると楽しいです」


 ラプンツェルにそう言われ心底嬉しく思う。ラプンツェルみたいな美少女に喜ばれるなんて男冥利に尽きるってもんだ。自然と笑みがこぼれ、ニヤニヤが止まらない。


「そうだ、ラプンツェル外へ出てみないかい?この近くに街があるんだ」


 シャーリーの情報によると魔女ババァが現れるのは、この塔のみで街や森では目撃情報は皆無らしい。

 その情報を信頼し、ラプンツェルに塔の外へ出る提案をした次第だ。それにクエストを出来るなら先に進むヒントでも探せたらと思ったのもある。


「えっ!でも、母さんに怒られないかしら」


 母さんと言うのは産みの親ではなく、育ての親である魔女ババァの事である。

 王子たかしは、もちろんラプンツェルを読んだ事あるので魔女ババァの本性を知ってるが、ラプンツェルはそれを知らない。









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