七十二話・ラプンツェル12
今回は時間があり、早目に更新出来ました。
日常編で委員長の約束を果たす話です。
王子パーティーメンバー全員がラプンツェルの塔でララと楽しく雑談してから三日経った。
ちょうど土曜日で王子がバイト休みという訳で宮崎シオンのとある約束を果たすため、王子は今場所の使命があったので来てみれば目の前に拡がるのは、豪邸と一言で言うと簡単だが何と言うか「俺、場違いじゃね?」と言いたくなる。
目の前の豪邸は、実は宮崎財閥が所有する別荘の一つであり今現在シオンが住んでる自宅という事になっている。
「はぁ~、宮崎財閥とは聞いていたがまさかここまでとは………」
門扉前で待って数分後、車に乗って迎えが来た。其ほど門から屋敷の距離があるってことなのか?どんだけの広さがあるんだよ、ここは!
「お待たせ致しました。天童王子様ですね。お嬢様のお部屋までご案内させて頂きます」
車から降りて来た者は何と執事であった。
おぅ~、本当の執事初めて見たぁぁぁぁぁぁ!マジで中世の時代ならまだ分かるが、今の時代に本物の執事がいるとは思わなかった。
「グスン、話には聞いておりましたが………お嬢様にお友達がいらっしゃるとは、このフランソワーズ感激でございます」
何故か感激されちゃてるし、委員長もしかして今までボッチだったのか?クラスでは他の女子生徒と仲良くお喋りしてる風だけどな。
まぁ宮崎財閥の御曹司が年齢が近い親しい友人を作る事事態出来ないかもな。
「天童王子様、お着きになりました」
フランソワーズは車のドアを開け案内される。まるでホテルのドアマンみたいだ。でも、そのドアマンよりも懇切丁寧で玄関が開くとメイドがズラーっと整列され、お辞儀していた。王子がここの主になった風になったみたいな感覚になる。
『お待ちしておりました、天童王子様』
「天童王子様、お嬢様のお部屋はこちらです」
フランソワーズの後をついていく。廊下を突き進む度、壁には高そうな絵画やツボが飾れており違う世界に紛れ込んだみたいだ。
コンコン
「お嬢様、天童王子様がお見えになられました」
『入れてちょうだい』
「はい、畏まりました」
フランソワーズがドアを開けると、その部屋は王子の部屋と比べると馬鹿らしく成る程広く一人だと逆に退屈しそうだ。
シオンはというと部屋の片隅に置いてある机にノートパソコンをカチャカチャ弄っており、ちょうど作業が終わったようでこちらに近寄って来た。
「ようやく来たわね。天童君遅かったじゃない」
「しょうがないだろう。自転車でも距離あったんだから」
いつもシオンは高級車だから理解出来ないだろうけど、こっちはいつも登校は徒歩なんだから。と、訴えても「パンが食べられないならお菓子を食べれば良いじゃない」という風に有名な格言みたいに言われて一蹴されるに違いない。
「まぁ良いわ。さぁ、色々衣装を用意したから」
俺はシオンに衣装がズラーリと並んでる衣装部屋と言うべき部屋へと案内された。
衣装部屋なんてたまにテレビのワイドショーの企画で芸能人のお宅に行ったりした時に見る位だ。身近に持ってる人がいるなんて思いもしない。
並んでる衣装は、大抵が女物だ。まぁそれはシオンが女性だから、それはしょうがないだろう。それは認めるにしても、何で俺はここに案内されたんだ?
交わした約束では、俺がモデルとして写真を撮りたいとシオンがお願いしたからだ。
「あっ、間違えた。それらは後で着てもらうとして、先に天童君に着てもらいたい衣装がこっちだったわ」
直ぐ隣のクローゼットに男物の衣装があった。まぁ分かっていたが大抵、普段着用したらコスプレだと思われる物ばかりだ。
約束だから仕方ない。シオンが満足するまで着せ替え人形と化してやるか。俺にも約束という項目だがバイト代が出る事になっている。流石は次期宮崎財閥御曹司の事だけはある。
「それで先ずは何を着れば良いんだ?」
男物でもざっと見た感じだと数百着はあるだろう。まさか、これ全部着ろとは言わないよな。これ全部だと1日では終わらないぞ。着替えて写真を撮るから、1着に付き十数分掛かるだろう。
「うーん、そーね………先ずはこれね」
シオンが手に撮ったのは、フランソワーズが着用してる風な執事服だ。一応警戒してたがシオンにとっては普通なのきたな。警戒し過ぎか?まぁ良い、このまま何もない事を祈り約束を果たすまでだ。
「そこのドアが更衣室だから。着替えたら写真室って書いてあるドアがあるはずだから来てね」
言われるままシオンが指したドアに入ると何故かメイドが二人いた!この展開、何かの漫画で読んだ覚えがある。合って欲しくないが俺の予想が合ってれば、おそらく━━━
「「天童王子様でよろしいですね?私達はこの度、天童王子様の着替えを担当する事になりました」」
「クララと」
「リリスです」
「「二人揃ってクラ○スです。以後お見知り置きを」」
二人のメイドは自己紹介後、こちらが自然にお辞儀する程ご丁寧に挨拶をしてきた。詳しくはないが、姿勢とか完璧だと思う。これを見ちゃうとメイド喫茶のメイドなんかゴミや虫に見えて来る。
まぁご丁寧なのは良いけど、言いたい事がある。着替えの手伝いがいるって聞いてないんだけどぉぉぉぉぉ!と叫びたい。
次回は今回の続きで王子が様々な衣装を着ます。