六十四話・ラプンツェル5
遅れてすみません。
時間が無くいつもより少ないですがご容赦ください。
「では、王子様とお呼びしますね。王子様♪ニコニコ」
うぐっ!その笑顔が俺の心臓にグサグサと刺さるよ。俺のHPはもうゼロよ(もちろん揶揄です)。
「あぁ、よろしく。えーと………ララ」
「うん、王子様♪」
王子は握手しよう手を差し伸ばしただけなのだが、ララは両腕を目一杯拡げ勢い良く想いっきり抱きついてきた。
不意討ちのこともあり、王子は後方に倒れ込んでしまう。
だが、咄嗟の判断で王子はララを庇いケガ一つも負ってないが、王子はというと………ここで気絶しないで護れたならとてもカッコ良く決められただろう。
しかし、壁に頭部を強打してしまい漫画みたいなタンコブが出来てしまう。うっすらと自分の名前を呼んでるララの声が聞こえはしたが意識を手放し気絶してしまう。ただし、王子は後悔はしていない。
だって、ララを庇った際にララの胸の感触を少しでも堪能出来たのだから。
「ううぅぅん………」
どの位時間が経ったのか分からないが、王子はゆっくりと瞳が開き、まだ少し頭はクラクラするが死んではいないようだ。
少し頭が冴えてきたところで周囲を確認しようとしたら、目の前にララの顔が間近にあった。どうやら膝枕をしてくれてたようだ。ララの太腿は柔らかく気持ちいい。毎回思うが再現度が半端ないと思う。
「ご無事ですか?王子様?」
とても心配してるようで王子の顔を覗き込んでる。少しでも王子が顔を上げればキスを出来るような距離だが、ララは涙目になっており今にも涙が落ちてきそうだ。
「大丈夫だから泣かないでおくれ」
と、王子は手を差し伸ばしてララの涙を拭う。やっぱり世界共通で女性には涙は似合わない。似合うのは笑顔だよね。
「良かった♪王子様が起きた♪」
と、王子の顔を自分の胸に引き寄せ抱き締める。男冥利につき嬉しいけど、この時に限って窒息しかけ気絶するのが約束だ。王子もその約束通りに再び意識を手放し気絶した。ただし、胸の感触は忘れないようにゆっくりと瞳を閉じた。
「うぐっ(危ない危ない、あんまりの気持ち良さに昇天しそうになってしまったようだ)」
「びぇぇぇぇん、王子様ごめんなさぁぁい」
さっきよりもララが激しく泣いてる。そのせいで涙の雨が王子の顔面に降り注いで、今度は溺れる感覚に陥ってしまう。立て続けに不運が襲ってHPよりも精神的にダメージが襲ってくる。GWO内では精神的ダメージは存在しないので、あくまで揶揄だ。
「だ、大丈夫だから。ほら、ティッシュ」
「チーン………グスン、ありがとう。王子様が死ななくて良かった」
GWO内で死んでも犯罪プレイヤーや迷惑なプレイヤー以外はそんなにデスペナルティは高くないし問題ない。
ただし、童話キャラを含めたNPCはデスペナルティの事は知らないという設定らしいので心配してくれるのは当たり前の事だろう。
「心配してくれてありがとう。よしよし」
小動物を撫でるようにララの髪を撫でてあげた。ララの髪ってついつい撫でてしまう魔力でもあるかの如く一回撫でてしまうと撫でるのが止められなくなる。
ララはララで王子の撫でる事が気持ち良いのか子猫のように瞳を細めて王子の太腿に顎を乗せてる。
「ふにゃぁ、王子様の手が………気持ち良すぎるのぉ。もっと………もっと撫でてぇぇ」
「もちろん了解だ」
甘えてくるララを見てモフモフしたいと思ってる。しかもここには二人しかいない。しても誰にもバレないはずだ。だが、気持ち良さそうにしてるララの顔を見ると罪悪感が増してモフモフを実行出来ない。
まぁ撫でてるだけで王子も癒され感があり我慢する事にした。一回の過ちでララに嫌われクエストが失敗する可能性があるしな。
もし可能ならララみたいな子猫を飼ってみたいなと王子はララの頭を撫でながら思い始めた。母である楓は猫アレルギーがあるので、独り暮らしになった時にでも飼ってみようかと後で計画するのである。
これで今年最後の更新なると思います。
少し早いですが、ハッピーニューイヤー