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六十話・ラプンツェル1

この話からラプンツェル開始です

「ふぁぁっ、おはよう」


 王子たかしは眠そうに教室のドアを開け、みんなに挨拶をする。教室には王子たかしの同じ位に眠そうなヤツが椅子に座っていた。


「ふわぁっ委員長、眠そうだな」


 聞いただけなのだが、何故かこちらをギロっと「誰のせいなのよ」とみたいに睨みつけられた。王子たかしは頭に???を浮かべている。


「怖いよ?委員長、どうして睨むのかな?」


「はあー、まぁ直接的ではあんたのせいでないのだけれど………間接的で言えばあんたのせいになるのかしら」


 うーん?直接ではなく間接と言うことは………別に俺が怒らせるような事はきっとやってないよな。うん、やったない事にしよう。

 俺以外だとすると………あっ!一つだけ心当たりあったわ。あー、これは確かに間接的だわ。


「もしかして………俺の妹が何かしたのか?」


 昨夜、王子たかしも寝ようとした時に杏が説教という拷問を深夜4時まで続いたのである。その経緯があり委員長━━━シオンも杏に何かされたと思った訳である。


「説教というか三人でシンデレラをクリアした事を永遠に説明されたわ」


 あー、我の妹ながらやりそうと思う。心の中でスミマセンと委員長に謝る。


「はい、キシリトールガム………眠気が吹き飛ぶわよ」


「うん?良いのか?」


「お互い犠牲者だもの。それに………妹ちゃんを怒らせないようにと改めて思ったわ」


 遠くの景色を見ながら委員長が呟くと王子たかしは苦笑を浮かべながら委員長から貰ったガムを噛んでいる。




 昼休みになり杏の拷問のせいで弁当を作ってこなかった王子たかしは食堂へと行こうとした時に委員長に声を掛けられた。

 いつもなら他のクラスメートと弁当を食べてるはずだが、珍しい事もあるもんだ。あっ、もしかして俺と同じ状況か?


「ねぇ、王子たかし君一緒に食べる人がいなかったら一緒に食べない。まぁ、先約━━━君の嫁と食べるなら邪魔しないけど」


 委員長まで杏璃の事を嫁って………昔なら兎も角、今は間違ってないが………


「杏璃なら生徒会の方で食べるようだから問題ないが、俺の妹のせいで弁当忘れたなら………その、スマン」


 王子たかし自身が直接やった事ではないが、何か知らないが謝ってしまった。まぁ、お互い弁当を忘れた仲間同士仲良く飯を食うか。


「別に王子たかし君は悪い訳ではないわよ。それにちょうど用事があったんだもの。気にしないでちょうだい」


 王子たかしと委員長は一緒に食堂へと行き、ラッキーな事にそこまで混んで無く楽々に席が取れた。話し易いように向かい合って座った。

 王子たかしが頼んだのはA定食(豚の生姜焼き)、委員長はB定食(サバの味噌煮)だ。両方共、美味しそうで逆に弁当を忘れて良かったかもしれない。


「それで、俺に用事ってのは何だ?」


王子たかし君にお願いがあるのだけれど、聞いてくれる?」


「聞くのはタダだし、それをするのは内容次第だ」


 委員長の事だし無茶振りは言わないだろうと王子たかしは思っている。だが、学校では真面目な委員長でもゲーム内の委員長━━━シャーリーのキャラとは真逆と言っても良い程なのを忘れていた。


「そう、助かるわ。実は王子たかし君におじいちゃんが会いたいそうなのよ」


 えっ!何で委員長の祖父が俺に会いたいという話になるんだ?危なく吐き出しそうなところを既でで飲み込んだ。

 珍しくふざけてるのかと思いきや委員長の顔は真面目で、これで断れる度胸は王子たかしには無く話は一応聞きはするけど最終的に了承するのが王子たかしという人物である。


「な、何で委員長の………おじいちゃんが俺に会いたいという話になるんだ?」


「当然の質問ね。私の家は知ってるわね」


 委員長の家というと━━━━もちろん住所とかどんな建物とかという話ではない。家族がどんな方達という話だ。


 委員長の家は宮崎財閥で、祖父はその現会長である宮崎源一郎氏だ。様々な会社を経営してる中でVRゲーム機アルタイルの開発・発売とGWOのサービス運営をやってる会社:ガルディン社も経営している。


「宮崎財閥だろ。詳しくは知らないが名前くらいなら」


「そう、ならガルディン社も経営してるって言ったら?」


「えっ!マジ…………ガルディン社ってGWOの運営やってる会社だろ?」


「えぇ、そうよ。そこの現会長おじいちゃんが一回でも良いから会いたいって言うのよ。もちろん、家族や友達も連れて来ても良いらしいわよ」


 俺会った事ないよな。初対面だよな。どう考えても分からん。というかいろいろな情報が頭にきてショートしそうだ。


「今直ぐの話ではなくてね。夏休み中でバカンスのついでに会って話をしたいって言っていたわよ」


 バカンス?バカンスって何だ?もちろん、意味は知ってるがそんな所に行く予定は今のところもちろんない。まさか………招待してくれるのか?それなら遠慮せずに行くけど………


「だから、宮崎財閥が所有してる………これは後で話す事にするわね。その方が楽しみ倍増でしょ」


 チョー気になるんですけど………やっぱりゲームの方が素なのか。きっとそうに違いない。

 そして、今話した事は他言無用と釘を刺された。理由はその方が楽しくなりそうということだ。委員長というかシャーリーらしい理由だ。

 今日もGWOにログインする約束をし、中で集合する事にした。杏は風邪が治り、渚と雫も用事がないようで全員でプレイ出来そうだ。

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