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五十四話シンデレラ41

「「「ハァハァ」」」


 あれから城に着くまで何回モンスターの群れが出現したんだろうか。途中までは数えていたが多過ぎて馬鹿らしくなってきて数えてない。

 数十㍍ごとにモンスターの群れというか波と表現した方が良いだろう。その波のせいで最初は時間的に余裕のはずがギリギリの到着になってしまった。これではまるでタワーディフェンスゲームをやってる感覚だ。

 それで剰りのモンスターの多さに、スタミナゲージが存在しないこのゲームでは疲労は感じないはずなのに三人共に疲れきっていた。それだけモンスターは多く、このクエストは三人(遠方に一人)でやるもんじゃないと全員実感していた。


「みなさん、ありがとうございました。無事に城へ着く事が出来ました」


 疲れて地面に座ってる王子たかし達にエラがお礼を言ったのが合図だったかのようにクエストクリアのアナウンスが聞こえた。


「あぁ楽しんで来な」


「はい、行って参ります」


 エラに手を振り城の中に入ったのを見届けるのと同時に、もう座ってるのも限界で思いっきり横になった。そして、みんなでエラが戻るまで眠る事にしたのだ。


 ━━━━城内━━━━


「招待状をご確認お願いします」


「はい、これよ」


「間違いありません、中へどうぞ」


 エラは兵士に招待状を見せ城の中へ入って見ると、そこはまるで別世界、豪華なステンドグラスで夜でも太陽が昇ってるかのように明るく、床は一面に敷かれており少し弾むような感覚を覚えた。


「まぁ、あの綺麗で美人な子、誰かしら?」


「…………何処かで…………見た事あるような」


 エラは初めての場所に戸惑いながらも優雅で可憐な佇まいで継母と姉二人には気づかずに進んで行く。

 エラが到着してから数分後、城専属の音楽隊が王子ご登場の曲を演奏し高く聳え立つ階段の奥から今日の主役、王子が現れ一歩ずつ階段を降りてくる。

 王子の出現によりザワザワと例外なく煩くなっていく。イケメンだから仕方ないというか、例外があるとすれば……………エラだけが冷静で静かにしてる事だけだ。


「おぉあれが噂の王子様、なんて格好いいんでしょ」


「踊っただけで天国に行けそう」


「二人共、良いですか?絶対に王子様を我がものにするのですよ」


「「はい、母様」」


 エラの継母と姉二人は絶対に我がものにしょうとハイテンションになるが有名な童話だからこそ、皆さんには絶対にこの姉二人に王子様をゲット出来るのは無理だとお思いだと思います。まぁその通りなんですけどね。


「よくぞ遠方から御足労お疲れ様です。リヨン王子、ご挨拶を」


 執事から挨拶があり、紹介された王子が前に出て来るがいなや黄色い声援が再び響き渡る。


「我のために良くぞ、来てくれた。最後まで楽しんで行ってほしい」


『きゃぁぁぁぁ、リヨン様ぁぁぁ』


 リヨン王子の挨拶が終わると、またもや黄色い声援が響き渡る。だが、エラだけは叫ばなかった。

 エラにとって、どうしてこんなに皆が騒いでるのか理解出来なかった。何故なら、エラはリヨン王子よりも……………王子たかしの方が好みだと今分かったのである。

 確かにリヨン王子は顔はイケメンだとエラも思うが、中身がスッカラカンで女たらしとういうか女好きだと思っていた。その理由が来ている女性を手当たり次第に言葉を少々変えながらも褒め称え手の甲にキスをしたり腰に手を当てたりして、それがエラは気持ち悪いと思っていた。


「はぁ(早く帰りたい、そして王子様に会いたい)」


 溜め息を吐いたエラの元へリヨン王子が来ると、他の女性にやったと同じ褒め称え手の甲にキスをしてきた。しかし、その後の行動が違った。


「私とどうかお踊って下さい」


「えぇ喜んで(いやああぁぁぁ、気持ち悪いぃ)」


 エラだけにリヨン王子はダンスを申し込み、十二時までだと渋々了承し、ダンスホールの丁度中心当たりまで来るとリヨン王子はエラの腰に左手を肩に右手を置き、ダンスをしたことないエラはそれを真似をした。

 演奏が始まりリヨン王子とエラのワルツが始まった。エラは『早く早く終わって』と思いながらダンスのステップに初心者ながらついていけていた。


「そう、上手だね。ダンス経験あるみたいだよ」


「あ、ありがとうございます(そんなに顔を近づけないで。臭いから)」


 ゴーンゴーンゴーンゴーン

 演奏も終盤に差し掛かり、一曲目が終了間近になった頃に十二時の鐘の音が鳴り響く。


「あっ(いけない!魔法が解ける時間だわ)」


 リヨン王子の腕を振りほどき出口の方へと駆けて行く。他の者は急な出来事で反応出来ないでいたがリヨン王子だけはエラを追いかけた。





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