表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/98

五十一話・シンデレラ38

「ふ~ん、妹ちゃん風邪引いたのかにゃ。側についていにゃくて大丈夫にゃ?」


 学校が終わりバイトの帰りにマスターから杏が風邪を引いた事を話したらレモンの蜂蜜浸けを渡され帰路に着いた。

 マスターに貰ったレモンの蜂蜜浸けを母さんに渡し杏の事を頼み、女は女同士の方が良いだろ。

 そして、俺は自分の部屋へ戻りGWOへとログインして今に至る訳だ。今のところログインしてるのは、俺、アテナ、シャーリーの三人だけだ。


「俺が側についていたら風邪が移るかもしれないからな。そうしたら一晩中、寝ないで看病するだろうな」


「あの杏の事だから、きっと添い寝で温めようとするんじゃない。自分の体温で」


 杏璃がそう言うと、王子たかしが顔を背け空の彼方を見つめてため息をついた。


「あぁ、確かに。そんな事が昔あったような」


 隠居した年寄りのように昔の事を思い出している。そうして再びため息をつき、二人の方へと向き直る。


「ねぇ、そのお話聞かせて(スクープの予感♪)」


「却下だ。もし、情報を売るならこちらも情報売るからな」


「そ、そんなぁ(折角のスクープのチャンスが)」


「他のメンバーは?」


「うーんとね、今日残念ながら家の用事で来れないって」


「どうするにゃ?」


 今日はこの三人でどうするかと王子たかしは考える。シンデレラのクエストを進めるか、それともレベル上げや素材集めをするか悩ましいとこだ。


「よし、クエスト進められるか一度行ってみるか」


 何故かは分からないが、進めるような予感がするんだよな。こういう感じは昔から良く当たるんだよ。

 良く考えれば、この三人だけで行動するの初めてか。最初は俺一人だけで、後はみんな一緒だったから新鮮な気がする。


「あそこの家だな」


「ふーん、シンデレラの家にゃんて聞いてみたけど、普通にゃ」


「それでシンデレラは何処にいるのかな?」


 シンデレラを探そうとしたところに「シクシクシクシク」と泣き声が聞こえてきた。裏庭の方からだ。


「あっちの方から聞こえるよ」


 三人で裏庭の方へ廻ると、そのには地面に座り込み泣いているシンデレラのエラがいた。


「エラどうしたんだい?」


 王子たかしが真っ先にエラの元へと駆け寄り顔を覗き込む。エラの手にはビリビリに引き裂かれたドレスと無惨に壊されたティアラとイヤリングが握られていた。


「お、王子様、わ、私どうしたら、ヒックヒック」


「エラ、これどうしたんだい?」


 王子たかしはエラに胸を貸し泣き止むのを待った。王子たかしには、これをやった犯人の目星はついている。おそらく、姉二人と継母の誰かかその三人だろうな。


「ヒックヒック、折角、王子様がプレゼントしてくれたドレスを姉様達に見つかってしまい、ビリビリに破かれしまったの」


 エラが抱き着いてきた。悲しんでるエラには悪いが、王子たかしは煩悩に満たされている。抱き着いてくる際に押し付けられる胸の気持ち良さを堪能していた。

 エラと抱き合ってる最中に後ろから殺意を感じるが…………誰かは言わずもながら一人しかない。が、前のエラにも離れてくれとは言えない。前門の虎、後門の狼ならぬ前の幸福、後ろの恐怖と言ったところか。


「ヒックヒック、これで舞踏会は行けなくなってしまったわ」


 原作では、もうそろそろのはずなんだがまだか?シンデレラに新しいドレスやカボチャの馬車を用意してくれる魔女か魔法使いは。

 作者によって、魔女か魔法使いなのかが違う。しかも、必ずカボチャの馬車ではないし、ガラスの靴が木の靴の場合があり結構バリエーションがある童話の一つである。

 さてと、この場合は魔女か魔法使いか、はたまた妖精という可能性もある。誰が来るのか童話好きとしては楽しみである。


「おや、お困りのようだね」


 うん?何処かで聞いた事のある声だ。それもつい最近聞いたような……………

 何故だろうか?思い出したくない衝動に駆られるのは、思い出したら不幸が訪れるような予感がさっきからしている。


「貴女様は、もしかして妖精ですか?」


 キュピィン、とエラの言葉が頭に引っ掛かた。その単語、何処かで聞いたような聞かないような、こう思い出せなくてムズムズとむず痒くなるような感覚が王子たかしに襲う。


「そうだよ、妖精フェアリーだよ」


 ゴホゴホと王子たかしは咳き込む。エラの目の前に浮遊する羽が生えた小さな生物は、確かに妖精フェアリーと名乗った。

 王子たかしが知ってるフェアリーと言えば、クエストで行った事のある装飾職人フェアリーだ。

 ただ単に同名なだけか?それとも、同一人物なのか?もし、同一人物なら関わりたくないな。アップルパイゾンビ事件を思い出すからだ。それでも、念のためというか確かめられずにはいられない。


「おい、そこの妖精」


「は、はい何で………すか?」


 少し間があったな。当たりだったか?


「前に会った事あるか?」


「…………!!いいえ、会った事ありません」


「そうか、そう言う事にしとこう」


 お互いに関わらない方を選び、王子たかしは話が進みクエストを発生するのを待っていた。


最近、仕事が忙しく執筆が思うように進められてないので、更新遅れたらごめんなさい。

不定期になるかも

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ