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五十話・シンデレラ37

更新遅れてすみません。

「うぅん、もう朝か?」


 珍しく目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた王子たかしは寝返りをした際に何か柔らかい物に手が触れた。何か既視感が感じた。いや、最近にも似たような事というか同じ場面が本当につい最近あった。


「あぁん」


「おい、起きろ!」


「うぅん、おはよう。タカちゃん、そして、お休み」


 王子たかしの声に目を覚ました杏璃は起きたと思ったが再び布団に潜り二度寝をしだした。


「寝るな寝るな、学校があるぞ」


「じゃあ、タカちゃんが頭を撫でてくれたら起きる♪」


 杏璃が甘えてきたのは王子たかし自身嬉しいので頭を数秒間撫でてあげた。シャンプーの匂いだろうか良い匂いが王子たかしの鼻孔をくすぐった。


「ふにゃぁ、タカちゃんのチューで起きる」


「調子に乗らない」


「痛っ、ぶすぅ。まぁ頭を撫でてくれたから許す」


 そう言うと杏璃は部屋から出て行った。断ってしまったが王子たかし自身後から惜しい事をしてしまったと思っていた。しかし、あのまましていたら歯止めが効かなくなっていたかもしれない。なので、断って正解だったと言わざるえない。


「父さん母さん、おはよう」


「おはよう。あら、杏がまだのようね」


 どうやら、今日の朝食当番は杏のようで、まだ一階に来ていないようだ。俺は母さんに頼まれ杏起こすために部屋の前まで来た。


 コンコンっコンコン


「杏、起きてるか?」


 ガチャっと鍵は掛かっておらずドアが開いた。中は電気がついておらず真っ暗に近い。


「おい、入るぞ」


「うぅん、あれ兄さんですか?何故入ってるんです?」


 久しぶりに杏の部屋に入ったが…………王子たかしにとって恥ずかしい光景が広がっていた。

 壁には俺のバイト時や学校生活の写真が引き伸ばされポスターとして飾られていた。他には手作りなのか俺のぬいぐるみやキーホルダーなんかもあった。

 極めつけはベッドに等身大の抱き枕があり、上半身裸でポーズをきめている。こんな写真撮った事ないんだが…………合成か?


「母さんに頼まれてな。まだ起きて来ないから見てくれって」


「母さんですか、それはご迷惑をおかけしました。うぅんと、あれ………」


「うん?どうした?」


「体がうまく動きません」


「どれ…………」


 杏の額に王子たかしが自分の額をくっつけ熱を計った。そうすると、顔がとても近くなる訳で━━━


「な、なななななな」


「ふむ、さらに熱くなってないか?」


 杏の顔全体がヤカンを瞬間沸騰出来そうと思わせる程、真っ赤になっている。


「な、何をやってるのですか!ゴホゴホ」


「うん?熱を計っただけだけど………やっぱり風邪じゃないか」


「うぅ、私の気持ちを知りもしないで」


 昔なら今の熱の計り方や添い寝等では動揺しなかったが、王子たかしは杏璃という恋人が出来てから妙に意識しだした次第である。


「最初の頃は意識しなかったのに━━━ゴニョゴニョ」


「何か言ったか?」


「いえ、何でもありません」


「そうか、後で濡れタオルとか持って━━」


 バアァン

 と、ドア勢い良く開かれ、そこにいたのは杏璃だ。良く見ると杏璃の手には桶があった。


「チッ、何をしに来たんですか?(折角、兄さんと二人きりなのに)」


「今舌打ち打ったよね!もう、折角濡れタオル持って来たのにな」


「おっ、サンキュー」


 気が利く杏璃にポンポンと頭を撫でる。当の杏璃はゴロニャンと王子たかしに体を擦り付ける。まるで自分の匂いを付ける犬や猫みたいに。


「ぐぬぬぬぬっ、ふぁわ、冷たくて気持ち良いです」


 濡れタオルを絞って杏の額に乗せ、頭の下に氷枕を置いた。後はお粥でも食べて薬を飲めば、ばんちOKだろ。


「あっ、兄さんもう行っちゃうんですか?」


「まぁ学校遅れるからな」


「今日位、休んでも良いじゃないですか?」


「風邪くらいで…………」


「それで私を置いてきぼりにするんですね。グスン」


 嘘泣きまでする杏。そんな事は過去に前科があり、王子たかしと杏璃にはバレバレである。


「じゃぁ、学校行ってくるからな」


 ワシャワシャと頭を撫でて部屋を出て行こうとする。


「えっ!本当に行っちゃうんですか?」


「そんなに話せるから大丈夫だろ」


「そ、そんなぁ」


 バタンとドアを閉めた後からも何か呪いをかけてるみたいな声が聞こえ母さんが脅えていたと後から知った。



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