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三話・赤ずきん2

 赤ずきんシャルルの護衛クエストを進めるために、オオカミの森入り口まで来た王子たかしと赤ずきんシャルル。


「森の近くまで来ると本当に大きいな。道はこっちで合ってるか?」

「合ってるわよ....ボソッ....これでおばあちゃんにも紹介出来る....」

「ん、何か言った?」

「な、なんでも無いわよ。さっさと行くわよ」

 赤ずきんシャルルは頬を紅く染めてるが、王子たかしは女性経験が全くないので気づかない━━━というか、ヘタレだけなのかもしれないが....


 ━━━━━オオカミの森━━━━━



 オオカミの森内は予想以上に深く暗い。赤ずきんシャルルは怖いのか王子たかしの裾掴み慎重に進んでいく。


『ぐっへぇへぇ、美味しそうな女子オナゴじゃな。おい、人間の男、その女子オナゴをワシに寄越せ』


 急に言葉を話すオオカミ系モンスターが現れた。モンスターネームを見るとワーウルフとなっており、二足歩行と言葉を話すことが出来るようだ。


「シャルル、おばあちゃんの家までどのくらいなの?」

「え、そうね。このまま、一本道だからそんなに掛からないわよ」

 目の前にワーウルフがいるのに、王子たかしは赤ずきんシャルルと雑談している。

 赤ずきんシャルルは目の前のワーウルフが気になるが王子たかしに合わせる。


『おい、ワシを無視するな!』


 えっ、まだいたの!と表情をする王子たかしは赤ずきんシャルルと腕を組み、雑談を再開するとワーウルフの前を通りすぎたら声を掛けてきた。


『た、頼むから無視しないで』


「ん、何か用か?」


『だから!さっきから赤ずきんを渡せって言ってるんだろ』

 少し涙目になってるワーウルフ。


「それは断る!さぁ、行こうか。シャルル」

「う、うん」

 赤ずきんシャルルは一瞬ワーウルフを見たが、王子たかしの言う通り歩きだした。


『待て、いやお待ち下さい。お願いします』


「まだ、何か用か?こっちは忙しいんだが....」


『あ、いや、すみません....そうじゃなくて!赤ずきんを懸けてワシと戦え!』


「ふむ、いいだろう。でも、もう終わったけど....」

 いつの間にか、刀を抜刀しており右手に持っていた。


「えっ!」『えっ!』

 いつの間に!と赤ずきんシャルルとワーウルフは驚愕の声が重なるが、ワーウルフの顔が鼻から半分ズレテいき地面に落ちると血が大量に噴き出した。


「王子様、一体どうやったの?」

「ん、話してる内に斬った。ただ、それだけだよ。まぁ、実際は難しいと思うけどね」

 剣術に疎い赤ずきんシャルルでも王子たかしが目の前でやった事に畏怖を感じた。だが、同時に仲間の内は頼もしい━━━━赤ずきんシャルルの場合、さらに惚れてしまった感じである。


 ワーウルフを瞬殺して歩いていると一軒家があった。おそらく、あれが赤ずきんシャルルのおばあちゃんの家なのだろう。


「王子様、あれがおばあちゃんの家です。名残惜しですが着いてしまいましたわ」



 ・クエストクリア


 ・クリア報酬:EXP1000、1500ゴル、シャルル好感度+5




 コンコンっガチャ


「おばあちゃん」

「シャルルや。無事だったかえ」

「王子様がここまで連れてくれたの」

 赤ずきんシャルルの言葉で王子たかしの方を向き近づいてきた。


「シャルルがお世話になったね。ありがとう」

 おばあちゃんと握手すると、もう一人いることに気づいた。

「あ、猟師さん」

「やぁ、赤ずきんちゃん無事で良かった。最近はオオカミの活動が活発になってるから」

 猟師は立ち上がると王子たかしと握手した。

「赤ずきんちゃんをオオカミから守ってくれてありがとう。では、儂はこれで失礼する」

 猟師は猟銃を持ち出ていった。


「ほほほほっ、それにしても、シャルルが男を連れてくるとはの」

おばあちゃんは王子たかしを品定めする様に頭から爪先まで念入りに視られた。その間、金縛りに合ったかのように動けなかった。


「お、おばあちゃん何言ってるの!」

「ほほほほっ、何も恥ずかしがるこちゃないよ。ワシの若い頃も良い男を何人も引っ掻けたものだよ」

「もうもう、おばあちゃん静かにして」

「シャルルを助けてくれた礼だ。食事をご馳走しよう」

赤ずきんシャルルの抗議を無視してキッチンの奥に引っ込んだ。


「す、すみません。ウチのおばあちゃんが失礼なことを」

「いやいや、孫が連れて来た男に興味津々なんだろう」

「王子様もそんな事言うのですか。意地悪です」

赤ずきんシャルルの頬が僅かに紅く染まり、内心では嬉しいが羞恥心の方が勝ってる模様だ。


「シャルルやい。運ぶの手伝っておくれ」

「はーい、今行くわ」


赤ずきんシャルルとおばあちゃんがお盆に某アニメで見る様な素朴で温かい料理が運ばれてきた。


「たーんと召し上がれ。シャルルが男の人を連れて来るなんて珍しいからの」

「もう、おばあちゃん、その話はいいの」

おばあちゃんが俺を連れて来た事を蒸し返され、赤ずきんシャルルは瞬間湯沸し器の様に真っ赤である。


「ほほほほっ、では、いただくかの」

「「いただきます」」

うん、素朴な様だけど味はきちんと出ており、なんか懐かしいと感じさせる料理だ。


「美味しいです」

「そうかいそうかい。ほら、御代わりだよ」

孫が増えたようで嬉しいようだ。


「王子様、また来てくれる?」

王子たかしの手をうっとりと潤んだ目で見詰め合いながら握ってる。

こんな風に現実では見詰められた事は経験ないから、ちょっと居心地が悪い。

「あぁ、また来るよ」

赤ずきんシャルルは名残惜しそうに、なかなか手を離してくれなかったが必ず来ると指切りをして約束したのであった。

王子たかしはオオカミの森を抜け草原から世界の中心都市(セントラル)に戻りログアウトするのであった。

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