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三十七話・シンデレラ24

「さーて、クエストの続きとして採掘となります。みんな、準備はよろしいですか?」


 王子たかしの号令に全員ツルハシを持って頷く。最初のホワイト・スパイダーが強すぎたせいで、拍子抜けだが油断大敵である。

 シンデレラの話世界ストーリーワールドで唯一鉱石が採れるというベルの洞窟に向かう。

 途中のベルの森を抜けるが、前日にホワイト・スパイダーの糸をフローラとシャルルのお陰で必要数集まった。そのせいか、ホワイト・スパイダーは出現しなかった。


「ふぅ、昨日が大変だったから今日は呆気なく感じるな」


「やっぱり、昨日のホワイト・スパイダーはクエスト限定だったか。あんなの普通は新人ニュービーには無理だよね」


 古株ベテランと言えるのは、シャーリーの一人しか居なかったのは辛かった。

 メリッサとニムエは新人を抜け出した程度で、レベルは全然足りてなかったと今ではそう思う。


「これから行くベルの洞窟には、どんなモンスターがいるんだ?」


「それは━━━」


「えーとですね、コウモリ系モンスターの中でも低レベルのはずだから問題ないはずです。王子様」


 シャーリーが教えようとした矢先にニムエが教えてしまった。


「むぅ、どうして言うにゃ」


「だって、お金取るんですもの」


「ニムエ良く言った。知ってる事があったら教えてくれ」


「王子様に誉められちゃった♪」


「私の情報というアイデンティティーが失われるにゃ」


「お金取らなきゃ良いよ」


「むっむむむむ、仕方ないにゃ。パーティー組んでる間は、サービスするにゃ。これで私のアイデンティティーが失われずに済むにゃ」


 お金よりも情報屋というプライドを取ったシャーリーは、パーティー組んでる間は無料で教えてくれる事になった。

 そうなると、直ぐには無理だがギルドを設立し、そこに入ってもらうっていうのも手か。


 ギルドを設立するには、ギルド設立局という施設にお金を払う必要があり、ギルドの建物によってはピンからキリまである。

 安い建物は狭いし必要最低限の物しか置いていない。後、ギルドの建物の大きさによるが、ギルドに箔が付いたりもする。


 まぁ、俺らにとってはまだまだ高嶺の花みたいな感じだ。話によるとシャーリーは、今までどこのギルドにも属した事がないらしい。俺らにもチャンスは残ってる。時間は掛かるだろうが、ギルドは持ちたいもんだ。


「ここが、ベルの洞窟にゃ。そんなに奥深くにゃいけど、一応灯り(ライト)の魔法をお願いにゃ」


「はい、分かりました。灯り(ライト)


 ニムエが灯り(ライト)を唱えると、洞窟が明るくなったといよりはパーティーメンバー全員の瞳に暗視カメラのような機能を備わった感じだ。


「うぉ、洞窟が明るくなったよ」


「一回唱えれば、洞窟を出るまで続くからな。今日で収集するつもりで掘りまくるぞ」


「あっ、兄さんそこに採掘ポイントがあります」


 フローラに指を指した場所を見ると、?とマークが出てる岩があった。

 採掘に限らず、草原なら"?"と草や花に出ていたなら薬草系が採取が出来る。もちろん、採取系スキルを取得してる必要はある。スキルレベルにより高ランクアイテムが手に入る。


 カキーンカキーン、とツルハシで何度か掘り出す。すると、鏡が反射するかの如く綺麗な石が転がった。アイテム名を見たら、鉱石?としか書いていない。


 鉱石や宝石は鑑定スキルで鑑定しないと、アイテム名が明らかにならない。故に、鑑定系スキルを取得して鑑定しないと、ただの石ころにしかならない。このままでも売れるが、かなり安い。そうなると、鑑定した方が儲かるのだ。というか、鑑定しないと割に合わない。


 生産職の内、宝石加工職人ジュエデザは鑑定系スキルの宝石鑑定と鉱物鑑定は必須な分、高額な装備アイテムを作成出来るのも夢ではない。その他に加工系スキルの宝石加工と鉱石加工等も必要になるが、それは別の話である。


「鑑定スキル誰か持ってないか?」


「しょうがないにゃ。私がやってあげるにゃ。出張大サービスにゃ」


 えっ!あの情報屋シャーリーが自ら進んでやるだと!あのお金に、がめつそうなシャーリーが最初に手を挙げて無料でやるとは信じられないな。


「うん?何か言ったかにゃ?」


「何も言ってないけど………」


「そうかにゃ。何か失礼な事が聞こえた気がしたにゃ」


 ギクッと王子たかしは目を軽く泳ぐ。それにはシャーリーは気づかなかったようで、鑑定の作業を続ける。


 何回目だろうか、俺の周りの女性達は勘が鋭い人が多過ぎじゃないか?カキーンカキーンと掘りながら、うーん、と考ていると………


「それは兄さんが顔に出やすいんです。これ何回言ったか分かりませんが」


「そうだよ。タカちゃんは分かりやすいよ」


「なぁ、俺って分かりやすいかな?」


 隣で掘っていたメリッサに聞いてみた。こいつも幼なじみの一人だからフローラとアテナが異常なのか、それとも俺が単純に分かり安いのか分かるだろう。


「………その二人が特殊なだけだと、オレは思うけどな」


「メリッサさんの裏切り者、兄さんの事なら━━━」


「それ以上喋るな」


 メリッサがフローラの口を押さえ、モゴモゴと口は動きバタバタと手足を動かし抵抗したが、次第に動きがゆっくりになり、顔が蒼白になった。


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