三十四話・シンデレラ21
日常編です。
あれからエロい方向で騒動があったが、どうにか収めた後クエストは後日にまわし、ログアウトする事になった。
「はぁー、何か精神的に疲れたから寝るか」
王子は、勉強机の上にアルタイルを起き、ドアの鍵をガチャンと掛けベッド上に横になると、よっぽど疲れたのだろう気絶する様に数秒で寝息を立てた。
カチャカチャ………ガチャン
(………失礼しまーす。兄さん………は寝てますね)
ソローリソローリ━━━
(………おっ、タカちゃんの寝顔………カワユス……)
パシャ……パシャ
(あっ!ズルいです。私のスマホに後で送ってくださいね)
(うん、もちろん)
「うーん………」
((ギクッ!!シーッ))
杏と杏璃はお互いの唇に人差し指を当てて息を吐く僅かな音だけが聞こえる。
「グーグー」
((セーフ))
もう少しで王子が起きそうになり、二人は心臓バクバクである。
心臓が落ち着くのを待ち、王子の掛け布団を下側から捲り、二人で潜り込むのであった。
━━━━朝6時頃━━━━
『お兄ちゃん、早く起きないと………キ・スしちゃうぞ』
(されてみたい)と脳内で思いながら、重い目蓋を開けると………目の前には甘そうな果実が二つ存在していた。
一見、メロン?だと思い軽く触ってみた。その物体は妙に柔らかく手触りが気持ち良かった。
モミモミプニプニ━━━
すると、やや斜め上から「あぁ~ん」と甘い声が聞こえてきた。
声が聞こた方向へ目を向けると、声の主らしき人の目と目が合ってしまった。その声の主とは俺の幼馴染みの杏璃だった。
「………お、おはよう。杏璃」
「………タカちゃんは甘えん坊ね」
「ご、ごめん」
「何謝ってるの?私達は………恋人になったのだから」
杏璃は照れながらそう言った。
そうなのだ、俺と杏璃は恋人になったのだ。昨夜、GWOの中で杏璃の本音を予想外な方法で知ってしまい、晴れて恋人になれた。
杏璃の姿を良く見ると、パジャマのボタンは全て外れはだけており、ズボンもほぼ脱げてる状態だった。そうすると、今の状態はほぼ下着が丸見えな感じである。
王子は杏璃と恋人になったが、なったばかりで目のやり場に困っていた。
引き締まってるとこは、きちんと引き締まっており、出るとこは出て女としては理想的な体型に近いだろう。モデルやアイドル等って言われても納得だ。さすがは、元陸上部、無駄な脂肪が無い。いや、一ヶ所だけ脂肪はあるか、胸である。王子は詳しくないが、おそらくDカップはあるだろう。
ていうか、杏璃のパジャマははだけてる現実に王子は、まさかやってしまったのかと冷や汗が溢れ出ていた。恋人同士になったとはいえ、やったとなれば早すぎだと、ヤバいと王子は思っていた。そう思い勇気を出して聞いてみた。
「………杏璃、つかぬ事聞いていいかな?」
「うん?なーに」
「俺、やったのかな?」
ドキドキバグバク━━━
「………どっちだと思う?」
クスクスと小悪魔的な笑顔で微笑する。
逆に問わられ、ますます冷や汗が出、顔が蒼白になっていくのが自分でもわかる。
「あっ、ウソウソそんな泣きそうな顔をしないで」
王子の様子を見て、からかった事を詫びるついでに自分の豊満な胸を押し付けムチムチな太股を王子の足に絡める。
「寝てる間に着崩れただけだから………本当はしたかったのかな♪」
「昨日の今日では………さすがに………」
現実では、さすがに恋人になったばかりで俺でもやるわけねぇだろ。もっと………こう………ロマンチックなとことか、順番を大事にしないといけないと思うわけで。
まぁ、ゲームでは、赤ずきんのシャルルと直ぐやってしまったけどよ、現実では同じ事すると、杏璃のおじさんに顔向け出来なくなるからな。
本当は思う存分に、愛して挙げたいが自分達はまだ学生だ。今は清い付き合いをしていくつもりだ。
「お父さんに昨日話したら、泣いてたよ」
おじさん………一人娘を取られたと思って泣いたのかな。端から見ても引く程の溺愛っぷりたがらな。
「それがね、『今日は遅いから明日赤飯だ。早く帰って来るから王子君も呼んで来い。こんな目出度い日は他にないぞ』って嬉し涙を流してたよ」
さすが、杏璃のおじさんだ。全くブレないな。杏璃の物真似があまりに似てたものだから、笑いを堪えて笑った。
杏璃と話━━━イチャイチャしていたら背中に柔らかいものが当たっている。杏璃とは別の意味で気持ち良いかも
「二人でイチャついて私は除け者ですか」
何か後ろを振り向くのが怖い。居たのは気づいていたけど………妹と恋人をどっち優先するといったら………誰だって恋人じゃないかな。
少数かもしれないが、シスコンやマザコンの人もいるけども俺はそのどちらでもないから、恋人を優先してもらうが━━━
「私が杏璃さんを兄さんの恋人として認める条件………もしやお忘れではないですよね」
「あぁ、忘れてないよ」
その条件とは━━━
その1、杏璃さんを優先してもいいが、私も構う事。
その2、今まで拝借した兄コレを黙認する事。
その3、兄さんの手料理を定期的に作る事。
その4、私と入浴する事。
その5、将来的に杏璃さんと同棲する場合は私もそこに住まわせる事。
その1とその3は良いとして、その2の兄コレだ。艦○レみたいに言われても困る。どうやら、俺の私物をばれない様に持っていってるみたいだ。何に使ってるか不明だが、それを黙認しろということだ。
少し話し合いをし、その2に関しては俺が折れる形で決まった。その4は断固拒否をした。下手したら社会的抹殺になるからだ。杏は不満そうだったが、しょうがないだろうと説得した。
その5に対しては、まだ早くても三年後位の話なので決めてない。というか、杏まで出て行ったら父さんが泣きそうだ。
「はぁ、とりあえず着替えるから」
「「うん、わかった」」
「『うん、わかった』って、何で二人一緒にこっちを見てるわけ」
「それはタカちゃんの着替えを見るためだよ」
「そんな事も分からないの。兄さんって意外にバカ?」
この二人は………本当にブレないな。しょうがないので二人の襟元を掴みポイっポイっと部屋の外に追い出した。