二十九話・シンデレラ16
「ふぅ、邪魔者排除したとこで」
「再開しましょ」
シャルルが二丁拳銃をホリスターに仕舞う。
「あら、諦めましたのですか?」
「そんな訳ないじゃない。やっと、冷却したのよ」
シャルルが取り出したのは、30㎜口径ガトリングだ。打ち出したら毎分4000発は撃てるだろう。常人では、まず避けられず風穴空きまくりになるに決まってる。
だが、ここはゲーム内で目の前の相手は普通ではない。素人の筈なのに。
「チッ!まだ、それですか。いい加減にしてください」
「それはこっちのセリフです。先程、これを避けきった口で言いますか?いい加減に当たって下さい」
喧嘩の巻き添えで倒されたモンスターのお陰でスキルポイントが、たんまりと手に入った。
そのスキルポイントを使用し、フローラは盗賊系職種の固有スキル分身移動を取得した。
分身移動とは、移動する時に体が二重三重にと見え回避を上昇するスキルである。このスキルのお陰で避け安く、取得する前と比べると、随分楽になった。
シャルルがガトリングのトリガーを引くと甲高い音が響き、銃口が回り始めた。
「オラオラオラ、死ね死ね死ね死ね」
ウイィィィンドドドドドドドカンカンカンカンドドドドドドドカンカンカンカンドドドドドドドカンカンカンカンドドドドドドドカンカンカンカンバキバキドカーンドドドドドドドカンカンカンカンドドドドドドドカンカンカンカンバキバキドカーンドドドドドドドカンカンカンカンドドドドドドドカンカンカンカンバキバキドカーンプシューガッガッガ
ガトリングが熱暴走により、停止してしまった。この大きな隙を盗賊のフローラが見逃す筈もない。ナイフを投げる、軌道上は必ずシャルルの頭が当たる筈だった。
ヴゥシュっ
だが、ナイフは原型を留めない程にドロドロに蕩けて地面にドヴァと落ちた。
「なっ!」
シャルルが手にしてたのは、近未来的なホルムの銃だった。
「それは何なんですか!」
「これ、良いでしょ。これは光線銃、今まで使ってた弾を撃ち出す銃とは大違い。殺傷能力は幾分か下がる代わりにスピードが段違いだよ」
シャルルが光線銃を構えて発射する。間一髪で避けたと思ったが、頬に掠りスゥーッと血が流れる。かすり傷とはいえ、初めて当たってしまった。
「速い代わりに軌道が読みやすいです」
「そう、言うなら避けてみたら?」
バッシュバッシュバッシュバッシュ
シャルルが撃ってくる光線銃を木を盾にして上手く避けつつ、イベントリからとあるアイテムを取り出しチャンスを待つ。
「フッハハハハ、死ね死ね死ね死ね」
「甘いですね」
キラーンとフローラが手に持ってるのは手鏡である。手鏡で光線をガードをした。そうすると、光線は謂わば光の集合体みたいな物だ。光なら鏡で跳ね返る事は道理、跳ね返った光線は、フローラの手に持ってる光線銃にピンポイントに当たり、逆に溶けてしまった。
「きゃぁっ!熱いですの」
至近距離で光線銃が溶けたせいで、熱がほぼ熱伝導してしまった。ブンブンと手を振り、熱を冷まそうと必死である。それが大きな隙を作り、近くまでフローラが近寄って来るのを察知出来なかった。
「これで勝負ありです」
ナイフをシャルルの首筋に、ヒンヤリと軽く当て勝利宣言を発言した。
「……参ったですの」
両手を挙げ負けを認めた瞬間、ヒュルヒュルと音が聞こえ周りを二人で確認するが何も見当たらない。
「往生際悪く、何かヤル気ですか?」
「いやいや、私じゃないよ!」
「他に誰が居ると言うんですか?」
再度、ナイフを突き付け尋問しようとした瞬間、フローラの両腕をロープ状な物で縛られ空中に宙吊り状態になってしまった。
「なっ!何よ、これは。早く降ろしなさい」
ヒュルッヒュル
「えっ!きゃぁぁああ」
シャルルもフローラ同様に両腕を縛られ宙吊りになった。
「自分で仕掛けた罠に引っ掛かてんるんですか!」
「ち、違うの。私ではないの」
「それじゃ、他に誰がいるって言うんです………か」
ヒュルヒュル 、とロープと思っていたが、これは植物の蔓が動物の様に動いていたところを目撃した。
「植物系モンスターですね。何か言いたい事はありますか?」
「……ごめんなさい。シャルルのせいじゃなかったです」
「分かればよろしい………それで、どうしますか?」
「もちろん、倒しひゃい」
ヒュルヒュル、とフローラを縛ってるのとは別の蔓が動き人の手の様にフローラの体を弄ってる。
「イヤァ、そこはダメ!○○○と×××は兄さんだけに……捧げたいのに」
蔓がフローラの露出してる太腿から徐々に這う感じで上に昇っていき、短パンの中に入り込み蠢いている。
「くぅっはぁあん、ダメダメ……本当にダメだってば……そこはゲームでも……シャレになんないです」
「きゃぁきゃぁ」と嫌がってるフローラが蔓に陵………弄られるとこを、ジーッとシャルルは見ていた。声を荒げるのを聞いて、「ハァハァ」と興奮してるシャルルにも蔓が迫っていた。
「えっ!何でこっちにも来るの!ちょっ、待って。いっやぁぁあぁ、ヌメヌメして気持ち悪いよ。はぅ、中まで入って来ないで。そこは王子様専用だからダメですよ」
蔓を人間の手の様に動かす"ヒューマンツリー"に辱しめを受けながら、どうにか二人の連携プレイで倒すのであった。