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二十七話・シンデレラ14

「すすすすすみませんでした」


 シャーリーが勢い良く土下座をした。見事な土下座だ。

 シャーリーが認めたためシャルルは銃をスカート内にあるホルスターに仕舞った。


「チッ、撃てなかったのが残念です。王子様の女候補が消せると思ったのに」


 仕舞う際に一瞬シャルルが履いてる大人な黒いレースのパンティが見えたのを王子たかしは見逃さなかった。チラっと見た━━━見えてしまったのだ。決して、見たかったからではない。王子たかしの向きだと高確率で見えてしまうのだ。まぁ、ラッキースケベだと思ってほしい。


「それじゃ、委員長なんだね」


「「……兄さん(タカちゃん)ちょっと待って」」


 王子たかしがシャーリーに同じクラスの委員長かどうか質問しているとフローラとアテナが待ったをかけた。


「うん?なんだい?」


「今、シャルルのパンティ見たよね?」


「えっ!見てないよ」


 王子たかしは動揺して目が泳いでしまった。マズイ、バレる。


「嘘だ!どうして嘘をつくのかな?かな?」


 フローラが某アニメの様な迫力に圧され王子たかしが後退すると、それに合わせてフローラもジリ……ジリと徐々に迫ってくる。

 以前、怒らせた時に見せた般若もうっすらとフローラの背後から顔を覗かせる。


 般若を見た王子たかしの他にフローラと一緒に怒ろうとしたアテナや初見のはずのシャーリーまでもがガタガタと体が震え王子たかしを置いて100㍍程まで後退した。

 その数分後、王子たかしの悲鳴がアテナ達が後退した先まで聞こえてきたのは別の話である。


「………タカちゃん……大丈……夫?」


 王子たかしは白く生気が吸われたかの様に白眼になっており、口から人魂らしき物体?が出ていた。


 逆にフローラはゲーム内なのに肌が艶々と生気に満ち溢れている。何が合ったのかは気になるが聞かない方が身の為だろう。


「きゃああぁぁぁ、王子様!ヒラリク」


 ニムエが王子たかしに蘇生魔法を掛けてあげると人魂?は王子たかしの口に戻って行き顔色に生気が戻ってきたのか白から肌色に変化していく。


「はっ!俺は一体何をしてたんだ?」


 目を覚ました王子たかしは立ち上がり、周りにいるアテナ達に何があったのか聞いたが━━━


「ごめん、私達はフローラが………その怖くて避難してたから何があったかわからないの」


「そんな!俺を見捨てたのか………いや、悪い。あれはしょうがないよな」


 最初は気持ちが高ぶり、逃げた仲間達を責めたが直ぐに頭が冷え冷静になった事で仕方がない事だと悟った。


「いえ、王子様が悪いんじゃありません。王子様を置いて逃げた私が悪いのです」


 NPCで恋人のシャルルが自分が悪いと王子たかしを慰め背中越しから抱き締めてきた。

 もちろん、その時に背中越しにシャルルの胸が当たり柔らかく気持ち良い、今この事を言葉にしたら本当に現実リアルでも殺されるかもしれない。いや、社会から抹消されると王子たかしは内心ビクついている。


「……赤ずきんの分際で私の兄さんにくっつかないで下さい。二人で協定を組んだはずなのに、この泥棒猫」


「何の躊躇いもなく私のって言ったよね。言ったよね、ニムエ」


「えぇ、凄いです。私だったら言えないです」


 アテナとニムエはフローラが発した言葉にきゃあっと頬を赤く染めた。


「そっちこそ妹じゃないのよ。私は王子様の恋人なのよ。こんな事しても良いのよ」


 シャルルが腕に力を込め、王子たかしと皆が見ている中で唇と唇のキスをやってしまったのである。


「チュッ」


「「「「「なっ!」」」」」


「なんて羨ましい」


「………」


 杏璃はあまりに驚愕しすぎて無言で口をパクパクと言葉が出ない様子だ。


「これはこれは……」


 シャーリーはカメラ機能を使ってパシャパシャとパパラッチの様にフラッシュが眩しいくらい点滅する。


「……キスってどんな味するんだろうな?」


「メリッサも王子様とキスしたいの?」


「なっ!そ、そんな訳ないだろう。つうか、何でそこに王子たかしの名前が出て来るんだ!?」


「えっ、だって羨ましそうに王子様の方を見ながら言ったから」


「そう言うニムエはどうなんだ?王子たかしとその……したいのか、キス………」


「えっ、私!私は、その……ロマンがあるとこでなら」


 ポワポワワンとスイッチが入ったかの様に妄想を浮かべている。ニムエの妄想の中はロマンチックな夜景が見えるレストランでワインを片手に乾杯をしてる風景であった。


「おーい、戻ってこい」


「はっ、何を言わせるのよ!」


 ニムエは我に返りバシバシと何故か渚の背中を叩き頬を赤くしている。

 一方、ニムエに叩かれているメリッサは直ぐにくる痛みではなく、ジンワリと後からくる痛みに後で悶絶していた。とばっちりを受けた感じである。


「こーの、なにやってんだ。このブタ野郎が」


 メラメラと怒りだしたフローラは普段絶対に使わない口調でナイフをシャルルに投げた。


「ちょっ、フローラ止めて!俺もいるんだよ」


「なら、そのブタから早く退いて下さい」


「あのサルよりも私よりも大事ですよね」


「私ですよね。兄さん━━━いえ、王子たかしさん」


「え、えーと、どっちもじゃダメ?」


「「あぁーん(怒)」」


「す、すみませんでした」


 二人の気迫に圧倒され、思わず王子たかしは謝ってしまった。

 しょうがないよね、こんな状況じゃ謝ってしまうよね。決して、俺のせいじゃないよ?


 フローラの投げナイフをシャルルが銃で打ち落としナイフが地面に突き刺さる。


「チッ、やりますね」


「そっちこそ」


「「ふっ」」


 シャルルが王子たかしを解放し走り出した。それに合わせフローラも走り出し、二人共森の奥に消えていった。

 フローラとシャルルが消えた森の方を見ると、なにやらドカドカと本来壊れるはずがない木々が次から次へと壊れていく。

 うん、見なかった事にしよう。きっと、倒れていく木々とこの音は幻覚と幻聴なんだ。きっと、そうなんだ。

 戦闘中のフローラとシャルル以外のみんなで、そう決めつけたのだ。そうしないと、この現実(ゲーム内だけど)頭がついていけない。

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