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二十六話・シンデレラ13

 ツルハシを持ってない王子たかしとフローラはシャーリーのオススメで銀のツルハシを購入した。そして、シャーリーをパーティー登録しベルの森とベルの洞窟へと移動した。


「ベルの森では主に"ホワイト・スパイダー"と呼ばれる蜘蛛モンスターを討伐し、その糸を集めて欲しい」


「「「「「「了解」」」」」」


 王子たかしの指示に皆が返事しベルの森の奥へと進んだ。

「そういえば、ホワイト・スパイダーってどんなモンスターなんだ?」


 ズゴッとメリッサとシャーリーがコントの様に転けそうになるが踏ん張った。


「知らないのかよ」


「あはははは、初めて聞くモンスターだからさ………すまん」


「はぁ、兄さんはしょうがないですね。ホワイト・スパイダーは名前の通り白い蜘蛛ですが3㍍程大きいです。油断してると糸に捕獲されてしまうんでご注意を」


「おっ、妹ちゃんはしっかりしてるね」


「……シャーリーさん、私にはフローラとちゃんとした名前がありますのでそう読んでくださいませ」


「まぁまぁ、そう言わずに良いじゃん。妹ちゃんって可愛いと思うよ」


「だから、私はフローラと言ってるんじゃありませんか。まったくもう(怒)」


「あぁーん、そう怒らないで。でも、そんな怒った顔も可愛いよ」


「ちょっと、撫でないでください。何処をどさくさに触ってるんですか」


 何かつまらない言い争いをしながらフローラとシャーリーはズンズンとベルの森を進んでいく。


「……うーん」


「アテナどうしたんだ?」


「やっぱり、シャーリーさんに以前会った事がある気がして」


「既視感というヤツか。動画でも見たんじゃないか?攻略組として活躍してた時も合ったらしいから」


「そういうんのじゃなくて……現実リアルで会った気がして……」


 そう考える中、先に進んで行ったフローラとシャーリーの後を追う四人は二人に追いついた矢先にフローラとシャーリーは既に戦闘を開始していた。


「くぅ……兄さん、遅いですよ」


 ガキンガキン小太刀らしき刃物でフローラがホワイト・スパイダーらしき白い巨大蜘蛛に斬りかかり、後衛でシャーリーが援護魔法をフローラに掛け続けていた。

 だが、素人のフローラならともかくとして、ベテランのシャーリーまでもが息をきらしていた。


「悪い悪い、今加勢に入る」


「ハァハァ、本当に遅いです。気をつけてください。クエスト専用なのか分かりませんが、普通よりも固くて早いです」


 シャーリーがそう言うとホワイト・スパイダーが消えた━━━いや、木の枝に糸を飛ばし目に見えない速度で糸を縮めたのだ。常人にはまず目で追う事すら出来ないだろう。

 だが、ここはゲームの中だ。全てではないがレベルで強さが決まる世界だ。


バンバンバンバン━━カキカキンとシャルルが銃で狙い撃つが数発しか当たらず、当たった弾もホワイト・スパイダーには弾かれ大したダメージにはならなかった。


「……はぁぁぁ、そこだ」


 格闘家であるメリッサの打撃が糸で高速移動しているホワイト・スパイダーに見事命中、外骨格にヒビが入り地面に墜落した。


 メリッサが選んだ格闘家という職種は武器はグローブ系の武器というか防具に分類される、つまり武器が一切装備出来ない職種なのだ。

 その代わりに回避や速さが他の職種と比べ、ずば抜けている。ただ、防御は紙なので当たったら終わりだ。


 メリッサが地面に落としたホワイト・スパイダーを一斉攻撃して数十分後やっと一匹を討伐する事が出来た。

 息が絶えたホワイト・スパイダーから糸らしき物がドロップした。確認してみるとホワイト・スパイダーの糸でクエストに必要なアイテムだった。


「やっと一個か……はぁ、疲れた。こんなに強いものなのか」


「「そんな訳ないじゃないか」」


 メリッサとシャーリーが見事にハモって仲良く地面に横になっている。今は安全地帯まで下がって休憩中だ。神官であるニムエにヒーリングで回復させて貰い、皆で地面に寝そべっている。


「あれは一人だと自殺行為だね。ボスレベルとは言わないけど、中ボスレベルはあると思った方が良いね」


 シャーリーの言葉に皆でコクリと頷く。


「それで後何個だい?」


「後19個ですね」


 あんなのと最低19回戦うのか。そう考えると、いやになって来る。が、やるしかないのだ。


「まぁ、何かの縁だ。このクエストが終わるまではパーティー組むつもりなので安心してね」


 ベテランのシャーリーが百人力と言いたいところだがホワイト・スパイダーの強さを知った今では微妙なところだ。居ないよりはマシな程度である。


「ん?何か何処から失礼な言葉が聞こえたような?」


 きっと、気のせいです。そう、気のせいですよ。大事?なので二回言った感じである。


 今回は解散しようかと話してる途中、ジーーーっとアテナがシャーリーの事を見詰めてこう言ったのだ。


「ねぇ、委員長」


「うん?何です?アテ……ナ」


「………」


「………」


 アテナとシャーリーはお互いに見詰めて合ったまま固まり、アテナがニコリと微笑んだ。


「委員長、このゲームやってたんだね」


「人違いデスヨ」


 何か中国人が日本語話すような喋り方になっている。動揺してるのがバレバレである。


「既視感じゃなくて、本当だったんだ」


「たがら、その委員長デハナイデスヨ」


「もう、諦めなよ。バレバレだよ」


「日本語ワカンナイデスネ」


「「嘘つけ」」


「ねぇ、この際だから撃っちゃって良い?」


 ガチャリとシャルルが銃をリロードし、銃口をシャーリーに向けた。




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