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二十五話・シンデレラ12

 王子たかしと皆で数分間押し問答を繰り返されるが王子たかしは口を濁している。

 そしたら、王子たかしの希望の光になるのか違う方向から声を掛けられた。


「おや、あの時のお客さんじゃないの。確か、王子たかしだったわよね」


 声を掛けて来たのは王子たかしが防具を作成依頼した事のある裁縫屋の女主人・シャーリーである。


「うん?あの時はありがとうございます」


「あのー、何処かでお会いしませでしたか?」


 アテナがシャーリーを見ると既視感に見舞われたようで、前に会った━━━いや、知ってる人に思ったようだ。しかし、後日この既視感が現実になるのである。


「ひ、人違いではありません?」


「そうですよね。失礼しました。誰かに似てる様な気がしまして」


 誰も気が付かなかったが、この時シャーリーはひっそりと冷や汗をかいて動揺しまくりであった。


「それで、シャーリーはどうしてここにいるんだ?店からかなり距離があると思うんだが?」


「それは━━━」


「シャーリー、シャーリー………うーん、何処かで聞いた覚えが………あっ、思い出した。もしかして、情報屋シャーリーか」


 メリッサがポンと手を叩き記憶の底から思い出し叫んだ。


「有名なのか?」


「ベテランプレイヤーの中では有名だね。知る人ぞ知るって感じ…………しかし、最近は情報屋の活動をしていると聞いてないから廃業でもしたかと」


「ばれたらしょうがない。そうだ、何を隠そう私が情報屋シャーリーだ。最近はお金になるような情報がないからね。それで情報屋としての活動は休業中ってわけさ」


「なるほど……お会い出来て光栄です」


「光栄と言われる程大した事ではないと思うけどね。こっちは商売でやってるだけさ」


 珍しく目を輝かせ興奮するメリッサと情報屋シャーリーが握手を交わし、メリッサが興奮してるせいかシャーリーの手がビキビキと音が聞こえそうな程力強く握り締めてるようでシャーリーがこちらに涙目で助けを求めてきたのだ。


「すまない、つい興奮してしまって」


「何か怨みでも抱かれてるんだと思いましたけど、そうじゃないなら大丈夫ですよ」


「普段から男っぽい言動や行動をしてるからそうなるんだよ」


「あぁーん(怒)、何か言ったか?王子様よ」


 あっ!ヤバい、つい本音が出ちゃったよ。これを言うと本当に怒りそうだから言わない事にする。もし、言ったら現実で何をされるかわかったもんじゃないからな。


「いや、何も言ってないよ」


 冷や汗をかきながら否定するが肩を捕まれて、痛い痛いよ。

 ここ本当にゲームの中だよね。VRMMOだからリアルなのは良い箇所だけどさ、痛覚や触覚等をリアルに再現しなくても良かったではないかと思うわけでさ。

 と、思ってると助け舟かシャーリーが止めてくれた。


「まぁまぁ、それまでにして。それで、これからクエストに行くんでしょ」


「クエスト?」


「あら、違ったかしら。新しいシンデレラのクエストが発生したはずだけど」


「「そんなの聞いて無いけど、どういう事かな?」」


 フローラとアテナに詰め寄られる。二人共、顔近いよ。近いから離れて。


「それはその……言う暇無かったんだよ。発生したの、合流するほんの少し前だよ」


 嘘は言ってない言ってないはずだ。それに、何でシャーリーは知ってるんだ?流石は情報屋というとこか、敵に廻したら恐ろしい。


「どう思う、アテナさん」


「うーん、嘘は……言ってないと思うけど微妙ね」


 そうだよ、嘘は言ってないよ。だからね、二人共そんなに睨み付けないでほしいなぁ。と、心の中で祈るが王子たかしの疑惑はフローラとアテナの中では残ってるようである。


「あっはははは、君達面白いね。よし、決めた。一時的だけど、パーティー組まない?」


「パーティーですか?俺は良いけどな。憧れのシャーリーと組めるチャンスはなかなか無いしな」


 あのメリッサが憧れとか似合わねぇ。どちらかというと、同性にラブレターや告白される側だろうにな。


王子たかし……いや、王子様よ。何か言ったか?」


 何!この勘の鋭さは!というか俺の周りには勘の鋭い女達ヤツラばかりで俺のプライベートは無いのと同義だよ。


「それで、どんなクエストなんですか?」


 フローラが優等生らしく質問してくる。学校では創立以来の天才と呼ばれてるらしい。俺も噂で聞いた位程度しか知らないが、この前内緒でフローラの成績表を見たらオール5なのを覚えてる。

 えっ、フローラの部屋に入ったのかって……妹の部屋に入る真似怖くてやるはずないじゃないか。リビングのテーブルに置いて合ったんだよ。


「そうだね、簡単に言えば鉱石発掘とモンスター討伐だよ。うん?どうしたんだ、そんな真剣そうな顔をして」


「いえ、少し考え事を。クエストの内容は分かりました。しかし、鉱石採掘ってどうやるんです?」


「おっ、良い質問だね。スキルに採取系があってね、その中に採掘っていうスキルにスキルポイントをふれば使えるよ。後はツルハシが必要だ」


 王子たかしとフローラはシャーリーに教わった通りに採掘スキルを取得した。


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